わたくし流モダンジャズ道へ


1950年代のソニーロリンズ

・・・冴えたアドリブとあふれる歌心


1950年代のソニーロリンズ、栄光の軌跡その1


ソニーロリンズ・サキソフォンコロッサスジャケットから われわれロリンズファンにとって、いつになってもあの「サキソフォンコロッサス」のロリンズが忘れられないのですね。

 60年代以降現在に至るまでの、老練なロリンズもそれはそれでいいのだが、初めこそ少しぎこちなさがあったものの、つぎからつぎと止め処もなく湧き出てくる、歌心がたっぷりのロリンズ節を聴くと、すんなりとあのワクワクするようなハードバップの時代に、タイムスリップさせてくれるんですね。

 ここでは、そのもっとも油が乗ったギラギラとした50年代の彼を、ピックアップして以下に紹介することとしたい。

 ロリンズ本編でも紹介したのだが、1940年代後半、彼はまだ十代、ファッツナバロ、バッドパウエルなど今や伝説的な大物プレーヤーと共演しているんですね。
 そして、マイルスと共演した「マイルスデイビスアンドホーンズ」「ディグ」を経て、彼の初リーダーアルバム「ソニーロリンズウイズモダンジャズカルテット」(アルバムタイトルは、いずれも12インチLPになってからのもの)が、プレスティッジレーベルから出されたのです。

 なんでもマイルスがロリンズの将来性を見込んで、ボブワインストックにそれとなく口利きしてくれたのだという。もちろんワインストックも気に入ったのでしょう。ロリンズの人気上昇とあいまって、このあとつぎつぎとアルバムが出されることになります。プレスティッジとの契約が終わった後も、ブルーノート、コンテンポラリー、リバーサイドなどから、名作がつぎつぎとリリースされたのですね。

 なんと、この時期、上り坂を駆け上がっていた人気絶頂のロリンズは、彼自身の諸事情から二度も雲隠れしたことも、われわれファンにとっては、忘れられない出来事でしたね。
 諸事情とは、なんだったのか。後年、彼は彼自身の健康問題と音楽の勉強にあったと述壊している。ステージ上では、常にベストでなければならないと言った音楽への真摯な態度と自己に対する厳しさには、いつもこころを打たれるものがある。今のロリンズは、その延長上にあることを決して忘れてはならないのだ。

 *曲目欄の青字番号は、アナログレコードのB面に収録された曲です。

Miles Davis And Horns MILES DAVIS AND HORNS
1.Tasty Pudding**
2.Floppy**
3.Willie The Wailer**
4.For Adults Only**
5.Morphes*
6.Down*
7.Blue Room*
8.Whispering*

Prestige
1951.1.17(5-8)
1953.2.19(1-4) 録音
マイルスデイビス(tp)
アルコーン**(ts)
ズートシムス**(ts)
ソニーロリンズ*(ts) 7.抜ける
ソニートルーイット**(tb)
ベニーグリーン*(tb)
ジョンルイス(p)
レオナードガスキン**(b)
パーシーヒース*(b)
ケニークラーク**(ds)
ロイヘインズ*(ds)
マイルスのプレスティッジへの初吹込みだという。そして、ロリンズとの初共演だともという。後年、ロリンズをマイルス自身のレギュラーコンボに引き込もうとした理由も、このアルバムを聴くと分かろうというもの。ロリンズのぎこちない堅さが、なんとも初々しいですね。でも、ただ者ではない片鱗をすでに見せているのだ。
Sonny Rollins With The Modern Jazz Quartet(CD) SONNY ROLLINS WITH THE MODERN JAZZ QUARTET
1.The Stopper***
2.Almost Like Being In Love***
3.No Moe***
4.In A Sentimental Mood***
5.Scoops**
6.With A Song In My Heart**
7.Newk's Faidaway**
8.Time On My Hands**
9.This Love Of Mine**
10.Shadrack**
11.On A Slow Boat To China**
12.Mambo Bounce**
13.I Know*

Prestige
1951.1.17(13)
1951.12.17(5-12)
1953.10.7(1-4) 録音
ソニーロリンズ(ts)
ジョンルイス***(p)
ケニュードリュー**(p)
マイルスデイビス*(p)
ミルトジャクソン***(vib)
パーシーヒース(b)
ケニークラーク***(ds)
アートブレイキー**(ds)
ロイヘインズ*(ds)
上記の盤の収録のさい、マイルスがボブワインストックに、有望な新人としてロリンズを売り込んだという美談は、知る人ぞ知る伝説。これが有名なこの盤の中の「13.アイノウ」だ。つまり、これぞロリンズの初リーダーアルバムなのです。
おもしろいのは、この曲、マイルスがジョンルイスの代わりに、ピアノでバッキングしているんですね。
それにしても、天性のひらめきが冴えるロリンズの歌物は、ロリンズだけの独特の世界に、われわれを引き込んでくれる。そして何より、生きることのすばらしさ、楽しさを教えてくれているのですね。
「11.オンナスローボートトゥチャイナ」をはじめ、「4.インナセンチメンタルムード」「6.ウイザソングインマイハート」などに、歌心とユーモア精神(いずれも彼のトレードマーク) を聴くことができる。
Dig DIG / MILES DAVIS
1.Dig
2.It's Only A Paper Moon
3.Denial
4.Blueing
5.Out Of The Blue

Prestige
1951.10.5 録音
マイルスデイビス(tp)
ソニーロリンズ(ts)
ウォルタービショップJr.(p)
トミーポッター(b)
アートブレイキー(ds)
ウェストコースト全盛の時代に、イーストコーストでハードバップがまさに産声を上げた瞬間、であったのかもしれませんね。
このころニューヨークを中心としたイーストコーストは、大不況の真っ只中、ミュージシャン達にも活躍する場がなかったのです。これからモノになるか分からない音楽・ミュージシャン達を、これまたマイナーなプレスティッジが、細々と収録してくれた先見性に、まずは感謝、感謝の1枚だ。
でも、今聴いても、これがちっとも古くないのですね。ブレイキー、そしてマイルス、ロリンズの意気込みが、とにかくすごい。
Trumpet Giants TRUMPET GIANTS
Miles & Rollins
5.My Old Flame
6.Comception*

Prestige
Miles & Rollins 1951.10.5 録音
マイルスデイビス(tp)
ソニーロリンズ(ts)
ジャッキーマクリーン*(as)
ウォルタービショップJr.(p)
トミーポッター(b)
アートブレイキー(ds)
ファツナバロ、マイルスデイビス、ディジーガレスピーの三大トランペッターのオムニバス盤。
マイルスグループは、上記の「ディグ」と同じ日のセッションで演奏した二曲がここに収録された。思えば、マイルスもロリンズも、このころはもっともドン底にいた時期なんですね。 でも、志は高かった。
オャ、と上記 DIGの収録曲を見て思われた方、ご安心あれ。CDには現在この二曲も全部 DIGに入っています。
Colector's Items MILES DAVIS / COLLECTOR'S ITEMS
1.The Serpent's Tooth(Take1)*
2.The Serpent's Tooth(take2)*
3.'Round Midnight*
4.Compulsion*
5.No Line**
6.Vierd Blues**
7.In Your Own Sweet Way**

Prestige
1953.1.30(1-4)
1956.3.16(5-7) 録音
マイルスデイビス(tp)
ソニーロリンズ(ts)
チャーリーパーカー*(ts)
ウォルタービショップJr.*(p)
トミーフラナガン**(p)
パーシーヒース*(b)
ポールチェンバース**(b)
フィリージョージョーンズ*(ds)
アートテイラー**(ds)
A面はマイルス、そしてロリンズのお師匠さんである、チャーリーパーカーと共演している貴重盤。(アルバムタイトルのCollector's Items=珍品?)
残念ながら往年のあのパーカーの面影はないが、弟子達の成長に目を細めていたに違いない。マイルスとともに、ロリンズ人気も上々の時期の収録だ。
B面の収録(1956.3.16)が、あの「サキソフォンコロッサス」吹き込みの三ヶ月前なんて聴くと、聴き方がちと変わってきますかね。ロリンズの成長ぶりも聴きどころ。トミーフラナガンがいいですね。
1-4.の収録後、マイルスは健康を回復させて、いよいよ新時代幕開けの雄たけびとなるのです。(「ブルーヘイズ」1953.5-54.5、「ウォーキン」1954.4録音)
Thelonious Monk Quintet(CD) THELONIOUS MONK QUINTET
1.We See**
2.Smoke Gets In Your Eyes**
3.Locomotive**
4.Hacken Sack**
5.Let's Call This*
6.Think Of One (Take 2)*
7.Think Of One (Take 1)*

Prestige
1953.11.13(5-7)
1954.5.11(1-4) 録音
セロニアスモンク(p)
ソニーロリンズ*(ts)
フランクフォスター**(ts)
ジュリアスワトキンス*(frh)
レイコーブランド**(tp)
パーシーヒース*(b)
カーリーラッセル**(b)
ウィリージョーンズ*(ds)
アートブレイキー**(ds)
ロリンズもコルトレーンも、マイルスまでもが、このひと(モンク)のバッキングが入ると、モンクになっちゃうと文句を言ったか、言わなかったか(信州の方言では、せったか、せわねか、せってみろやとなる) 知りませんが、やっぱりアドリブがしにくかったのでしょうね。でも、誰もがモンクから音楽的に大きな啓示を受けたというから、すごいことです。
このアルバムでは、ロリンズは、5-7.のセッションのみ参加している。
Thelonious Monk And Sonny Rollins THELONIOUS MONK AND SONNY ROLLINS
1.The Way You Look Tonight***
2.I Want To Be Happy***
3.Work**
4.Nutty**
5.Friday The Thirteenth*

Prestige
1953.11.13(5)
1954.9.22(3,4)
1954.10.25(1,2) 録音
セロニアスモンク(p)
ソニーロリンズ 3,4.抜ける(ts)
ジュリアスワトキンス*(frh)
パーシーヒース 1,2.抜ける(b)
トミーポッター***(b)
ウィリージョーンズ*(ds)
アートブレイキー**(ds)
アートテイラー***(ds)
曲目5.のみ前記アルバムのセッション(1953.11.13)と同一日の収録。
ロリンズのサックスの音も、アドリブの安定感も、一年の間に格段に良くなっています。とくに「2.アイウォントビーハッピー」がいいですね。自信と余裕さえも感じる。この日のセッション(1954.10.25)は「MOOVING OUT」にも一曲分散収録されている。
Early Art EARLY ART / ART FARMER
1.Autumn Nocturne
2.Soft Shoe*
3.Confab In Tempo*
4.I'll Take Romance*
5.Wisteria*
6.I've Never Been In Love Before
7.I'll Walk Alone
8.Gone With The Wind
9.Alone Together
10.Preamp

Prestige
1954.1.20(2,3,4,5)
1954.11.9(1,6-10) 録音
アートファーマー(tp)
ソニーロリンズ* 5.抜ける(ts)
ウイントンケリー(p)
ホレスシルバー*(p)
パーシーヒース*(b)
アディソンファーマー(b)
ケニークラーク*(ds)
ハービーラブレ(ds)
アートファーマーのプレスティッジ二作目のリーダーセッション。
イーストコーストジャズがまさに目を覚まそうとしていた時期の作品。トランペッターは、何もマイルスだけではないということを、知ってもらいたい1枚だ。ファーマーのトランペットは、あくまでもソフトで、暖かくて、美しい。
曲目2-4.を聴くと、この時期(1954年初頭)、ロリンズにはまだ堅さがありますよね。
Bag's Groove BAG'S GROOVE / MILES
1.Bags Groove(take1)**
2.Bags Groove(Take2)**
3.Airegin*
4.Oleo*
5.But Not For Me(Take2)*
6.But Not For Me(Take1)*

Prestige
1954.6.29(3-6)
1954.12.24(1,2) 録音
マイルスデイビス(tp)
ソニーロリンズ*(ts)
ミルトジャクソン**(vib)
セロニアスモンク**(p)
ホレスシルバー*(p)
パーシーヒース(b)
ケニークラーク(ds)
この盤を聴くと、どうしてもクリスマスイブの喧嘩セッションの情景が、妙にリアルにまぶたに浮かんできてしまうから、不思議ですね。(「1,2.バグスグルーブTake1,2」)
実際はそうではなかったというのですが、伝わってくるこの緊張感がたまらない。残念ながらわがロリンズは、この歴史的な事件?を目撃していないんですね。実は、ロリンズはモンクと前掲のセッション(1954.10.25)の後、何を思ったか突然消息を絶ってしまったのだ。
Moving Out MOVING OUT /SONNY ROLLINS
1.Moving Out*
2.Swinging For Bumsy*
3.Silk 'N' Satin*
4.Solid*
5.More Than You Know**

Prestige
1954.8.18(1-4)
1954.10.25(5) 録音
ソニーロリンズ(ts)
ケニードーハム*(tp)
エルモホープ*(p)
セロニアスモンク**(p)
パーシーヒース*(b)
トミーポッター**(b)
アートブレイキー*(ds)
アートテイラー**(ds)
ロリンズにとって第二作目のリーダーアルバム。1〜4.までは、すべてロリンズのオリジナル。マイルスとともに世間の注目を浴び、ウェストコーストからイーストコーストに主導権が移りつつあった(奪い返す)時期の作品ですね。
ハイテンポな「1.ムービングアウト」、スローバラードの「3.シルクとサティン」がいい。
モンクとのこの共演(1954.10.25)を最後に、ロリンズは1年間、(最初の)雲隠れすることになる。
Worktime WORKTIME / SONNY ROLLINS
1.There's No Business Like Show Business
2.Paradox
3.Rain Check
4.There Are Such Things
5.It's Alright With Me

Prestige
1955.12.2 録音
ソニーロリンズ(ts)
レイブライアント(p)
ジョージモロウ(b)
マックスローチ(ds)
なんとロリンズの雲隠れから、ジャズシーン復帰第一作目が、このリーダーアルバムなんですね。シカゴで働いていたロリンズは、巡業中のマックスローチ、クリフォードブラウンに声をかけられて、またヤル気を起こしたのだと言う。ホント喜びに満ちたロリンズが直に伝わってきます。
「1.ショーほど素敵な商売はない」があまりにも有名ですが、「2.パラドックス」、ものすごいスピードの「5.イッツオーライトウイズミー」もおすすめ。
Brown Roach At Basin Street CLIFFORD BROWN AND MAX ROACH AT BASIN STREET
1.What Is This Thing Called Love
2.Love Is A Many Splendored Thing
3.I'll Remember April
4.Powell's Prances
5.Time
6.The Scene Is Clean
7.Gertrude's Bounce

EmArcy
1956.1.4(4,5,7)
2.16(1,2) 2.17(3,6) 録音
クリフォードブラウン(tp)
ソニーロリンズ(ts)
リッチーパウエル(p)
ジョージモロウ(b)
マックスローチ(ds)
ハロルドランド(ts)の後釜として加わったロリンズに、ブラウンは大いに歓喜したに違いない。ブラウンに触発されて、ロリンズも原曲以上に楽しく美しい歌を聴かせてくれる。この縦横無尽なアドリブを称して、人は「ロリンズ節」というのだ。ドキドキするようなテーマの編曲もすばらしい。
映画「慕情」(2.がそのテーマ曲、ナント、テーマ部分はジャズワルツ)を、観ました? わたくしは、涙を流しながら、数え切れないほど観ました(歳がバレちゃう)。近年では「タイタニック」が忘れられませんね。(余談)
Sonny Rollins Plus Four SONNY ROLLINS PLUS FOUR
1.Valse Hot
2.Kiss And Run
3.I Feel A Sons Comin’On
4.Count Your Blessings
5.Pent-Up House

Prestige
1956.3.22 録音
ソニーロリンズ(ts)
クリフォードブラウン(tp)
リッチーパウエル(p)
ジョージモロウ(b)
マックスローチ(ds)
ローチ=ブラウンクインテットの契約レーベルがエマーシーだったことから、タイトルがこうなったんですと。(かつて「3ジャイアンツ」のタイトルで出されたこともある)
ブラウンにとってはこのアルバムが、最後のアルバムになるのですが、やはりローチ=ブラウン=ロリンズの掛け合いを聴くにつけ、このまま続いていれば、モダンジャズの歴史は、また少し違っていたかもしれない、とつい思ってしまう盤でもあります。ところで、3/4=waltz はいいとして、「Valse Hot」のvalse=waltz って知ってます? 仏語なんですね。
Tenor Madness TONOR MADNESS
1.Tenor Madness*
2.When Your Lover Has Gone
3.Paul's Pal
4.My Reverie
5.The Most Beautiful Girl In The World

Prestige
1956.5.24 録音
ソニーロリンズ(ts)
ジョンコルトレーン*(ts)
レッドガーランド(p)
ポールチェンバース(b)
フィリージョージョーンズ(ds)
ロリンズとコルトレーン共演(競演)の唯一のアルバムだという。しかもこのバトルセッション、まったくの偶然の産物というから、更におもしろい。
A面一曲だけの共演ですが、マイルスグループに加わったばかりのコルトレーンを、ロリンズがどう見ていたか、心中やいかに? しかも、マイルスの最初の狙いは、ロリンズだったというのですから。そんなこんな、つい余計なことを思い起こさせてくれる盤でもありますね。(ジャズは、無心になって聴きましょう)
SAXOPHONE COLOSSUS SAXOPHONE COLOSSUS
1.St.Thomas
2.You Don't Know What Love Is
3.Strode Rode
4.Moritat
5.Blue Seven

Prestige
1956.6.22 録音
ソニーロリンズ(ts)
トミーフラナガン(p)
ダグワトキンス(b)
マックスローチ(ds)
いまさら解説はいりませんね。これ1枚あればいい、なんて誰ですか。失礼な。
「1.セントトーマス」は、過日の日本ファイナルコンサートでも聴かせてくれました。セントトーマス島(カリブ海、カリプソリズム)は、母方のふるさとなんですと。わたくしは、この曲と、しっとりと聴かせてくれる「5.ブルーセブン」が好きなんです。(4.モリタートと言わないところが、奥ゆかしいかな? あまりにも有名すぎて、ヤボと言われそう) サポートする歯切れのいいリズム陣も、これまたいいですね。
ところで、あのメロディアスなロリンズ節は、「テーマにもとづく即興演奏(Thematic Variation)」というのだそうです。コード進行の分解だけでは、あのようにはならないというのです。コーラスに入っても、テーマ(原曲)がどんどんと進化していくので、これはもう原作を超える立派なメロディメーカーですよね。
Max Roach +4 MAX ROACH + 4
1.Ezz-Thetic
2.Dr.Free-Zee
3.Just One Of Those Things
4.Mr.X
5.Body And Soul
6.Woodyn’You

EmArcy
1956.9.17(3-5),
9.19(1,2,6) 録音
マックスローチ(ds)
ケニードーハム(tp)
ソニーロリンズ(ts)
レイブライアント(p)
ジョージモロウ(b)
油が乗ってきたローチ=ブラウン=ロリンズのレギュラーグループも、ロリンズの「サキコロ」収録四日後に、ブラウン(tp)とリッチーパウエル(p)が交通事故で亡くなってしまうんですね。
失望と悲しみを抑えての追悼演奏アルバムということになるのでしょうか。(黒服?のジャケット写真を見ると、いつもそう思ってしまう)
「1.エズセティック」、ハイテンポの「3.ジャストワンゾーズシングス」がいい。ケニードーハムのクールで、いぶし銀のようなトランペットも聴きどころ。ドーハムは、ブラウンの後継トランペツターとしてローチのコンボに入った。
Jazz In 3/4 Time MAX ROACH / JAZZ IN 3/4 TIME
1.Blues Waltz
2.Valse Hot
3.I'll Take Romance
4.Little Folks
5.Lover
6.The Most Beautiful Girl In The World*

EmArcy
1956.9.19(6)
1957.3.18(1,3),
3.20(2,4),
3.21(5) 録音
マックスローチ(ds)
ケニードーハム(tp)
ソニーロリンズ(ts)
レイブライアント*(p)
ビルウォーレス 6.抜ける(p)
ジョージモロウ(b)
今でこそ、変拍子ジャズは当たり前ですが、この時代、変拍子も十分にスゥイング?して、ジャズっちゃうっていうことを、テクニシャンのローチが、身をもって示してくれたんですね。全編がジャズワルツ集。
「6.絶世の美女」のみ、上記アルバムと同一収録日。「2.バルスホット」は「ロリンズプラスフォー」のアルバム(1956.3.22録音)でも収録しているが、こちらのほうがテンポが速く、ロリンズも快調に飛ばしている。
Rollins Play For Bird ROLLINS PLAY FOR BIRD
1.Medley
 I Remember You
 My Melancholy Baby
 Old Folks
 They Cant Take That Away From Me
 Just Friends
 My Little Suede Shoes
 Star Eyes
2.Kids know
3.I've Grown Accustomed To Your Face

Prestige
1956.10.5 録音
ソニーロリンズ(ts)
ケニードーハム 3.抜ける(tp)
ウェイドレッグ(p)
ジョージモロウ(b)
マックスローチ(ds)
ロリンズは、チャーリーパーカー(愛称バード)から音楽的に大きな影響を受けたという。一方、ジャズ界に復帰したばかりのロリンズは、共演したクリフォードブラウンから、人間としての生き方に大きな啓示を受けたという。
このパーカーは1955.3.12に亡くなり、ブラウンも1956.6.26 突然に亡くなってしまうんですね。このアルバムは師であるパーカーに捧げたことにはなっていますが、間違いなくブラウンの死もダブっていたことでしょう。
パーカーがよく演奏していたナンバーの「1.メドレー」、「3.アイブグロウンアカスタムド・・」がいいですね。同日セッションは、アルバム「SONNY BOY 」にも分散収録されている。

◎パーソネル欄の楽器の略称。tp=トランペツト cor=コルネット flh=フリューゲルホーン frh=フレンチホーン ts=テナーサックス as=アルトサックス bs=バリトンサックス tb=トロンボーン fl=フルート vib=ビブラホーン p=ピアノ g=ギター b=ベース ds=ドラムス perc=パーカッション vo=ボーカル

 余談になりますが、1950年代、とくに前半はいったいどんな時代だったんだろうか、と思って調べてみたのですが、あの第2次世界大戦が終わってまだ数年経ったばかりなんですね。敗戦となった日本は、まだ進駐軍がいて、復興へ向けて歩き出していたとはいえ、物不足・インフレなど混乱の真っ只中にあったのです。(講和条約締結は1952年)

 ところが、終戦間もなく世界は、米国・ソ連の二大国が真っ向から対立する新たな冷戦時代にすでに入っていたのです。そしてあの朝鮮戦争(1950.6-53.7)が勃発したのです。このとき、アメリカは西海岸に軍需産業が集中しており、軍需景気に沸くことになります。このころハリウッド映画も黄金時代を迎えるんですね。ミュージシャンたちにもたくさんの仕事場があり、ロサンゼルスなどを中心に、いわゆるウェストコーストジャズが盛んになるのです。

 一方、ニューヨークなどイーストコーストは、この反動で沈滞し、不況風が吹いていたのです。黒人への人種差別も強くあった時代ですから、とくにミュージシャンたちには仕事がなく、アルコールと麻薬に頼るしかない過酷な状況に追い詰められていくのですね。そんな10インチLP・ソニーロリンズカルテット中で、希望をもって頑張っていたのがマイルスであり、ロリンズたちであったわけです。

 マイルスデイビスがそうであったように、ソニーロリンズも、プレスティッジのボブワインストックに早くから目をかけられ、彼の初リーダーアルバムは、右のジャケット写真の10インチLP「SONNY ROLLINS QUARTET」(1951.1.17,12.17録音 PRLP-137) となりました。
 この中の収録曲は、上記に紹介した12インチLP「SONNY ROLLINS WITH THE MODERN JAZZ QUARTET」のNO.5-13に入っています。ハードバップの萌芽が見られた時期なのですね。

 50年代後半になって、この状況が一変して、マイルス、ロリンズ、コルトレーンらを中心とするイーストコーストジャズ、いわゆるハードバップ全盛の時代を迎えることになったことは、ご承知のとおりです。

 ロリンズにとっては、上記に紹介したアルバム「サキコロ」(1956年6月に収録)あたりが、ひとつの極みに達したといえるのですね。人気、実力ともにジャズ界のトップテナーに君臨したときでした。
  (2006.8.1記 Copyright (C) 2006-2013 TOKU All Rights Reserved.)

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