京都高台寺吟行記   越智 建之

     

平成30年11月29日に京都高台寺方面で吟行会を行った。
当日は絶好の小春日和に恵まれ、午前11時に阪急四条河原町駅に10人が集合し、まず、円山公園にある「いもぼう平野屋本店」で昼食をとった。
この店は、300年前に青蓮院に仕えていた先祖が始めたものである。
海老芋と乾物の棒鱈を炊き合わせた「いもぼう」が名物である。
文人墨客に愛され、川端康成や松本清張等の小説・ドラマにもよく登場する。

吟行は、健脚組と足弱組に分かれ、それぞれのペースで回ることとした。
足弱組は八坂神社から石塀小路を通り、月真院・高台寺・圓徳院を吟行した。
八坂神社では、芸妓・舞妓の奉納提灯が華やかであった。高台寺に続く石塀小路は昔ながらの石塀と石畳の小路に粋な料理屋等が並び祇園ならではの情緒を満喫した。

月真院は新選組から分離した伊東甲子太郎等御陵衛士の屯所跡で深紅の紅葉がその後の血の抗争を偲ばせた。

高台寺は豊臣秀吉夫人ねねが夫の菩提を弔うため創建したもので、霊屋には秀吉とねねの木造が安置されていた。高台に登ると京都市内が一望できる。

圓徳院はねねが晩年を過ごした僧院で紅葉の庭園が殊の外見事であった。

健脚組はそれに加え、安徳天皇の母親の建礼門院が壇ノ浦で平家が滅びた後しばらく住んだ長楽寺、桂小五郎や坂本龍馬等幕末の志士の眠る霊山護国神社に足を伸ばした。
何処も丁度紅葉の真盛りで美しい風景と、歴史の舞台を満喫した。日本人だけでなく外国人も数多く、また、和服姿の若い男女が目立った。

句会と懇親会は美濃吉烏丸四条店で行った。
句会では、披講の後、各人が天の句の選評を発表した。また、それぞれに意見を述べあい勉強になった時間であった。

いずれ劣らぬ佳句が揃ったが、結果は、第1位が牧野勤さん、第2位が益井善清さん、第3位は佐藤俊童さんとなり、賞品の盾と副賞が贈られた。

懇親会は、京料理を肴に酒を酌み交わして談論風発、楽しいひと時を過ごすことができた。
俳句の楽しみは気の置けない句友との会話が大きな要素であり「俳句は座の文芸」を実感した。

高得点句

願掛けを布袋の腹に冬日和   勤

帰り花歴史を語る車夫の声   善清

御陵衛士の赤心うつす散紅葉  俊童

その他参加者の句

源氏名の提灯揺れて散紅葉   建之

散紅葉をしとねにねねの深眠り 早苗

吟行の喜び生まれ冬の梅    治彦

ねねの道蒔絵の如く紅葉散る  広生

小春日のコンと鳴きそなねねの像  拳人

霊屋の五七の桐や冬紅葉    隆之

高台寺ねねの御霊に冬紅葉   雅夢

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