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記憶

姑獲鳥読んでたら、後々の話の種とも言うようなセリフが出ていた。

中禅寺:「脳の働きひとつ物理的に解明できていないのに、心だの霊だのが解る訳ないじゃないか。」

関口「しかし君の論法で行くと僕が囓った心理学や精神神経医学はどうなるんだね。」


この辺踏み込もうとしたのが狂骨だよね。
それから

中禅寺:「早い話、君がこの世に誕生したのはついさっき、ここに来る直前で、君はそれまでの記憶を一切合切持ったまま、ぽこんとこの世に生まれ出たのだとしても、今の君には区別することは出来ないじゃないか。」

これは塗仏だと思うんですよ。
一切合切とはいかないけれど、偽りの記憶を持たされていたのに、自分では気付かずに生きてきた人たちの話だよね。

ところで、姑獲鳥冒頭から記憶の話をしていて、
そして榎さんという人物を創出し
狂骨や塗仏や、
しばしば出てくる記録と記憶は違うという話とか
「記憶」というものに対するこだわりが強いんだなと改めて思いました。

これ読み込むと、初期作品にその後の作品の萌芽というものがまだいろいろあるんじゃないだろうか。