男二人に着替えを見られるぐらいなら死んだほうがまし(姑獲鳥・本人) 探偵は……この赤井書房の社用車を発見するなり、両手を挙げて歓喜すると、鳥口に執拗に頼み込んで、調査期間中この車を借り受ける承諾を得たのだった。(魍魎の匣) 「そりゃあデンスケじゃないか!」 榎木津が歓喜の声を上げた。 …… 「東京通信工業が試作した携帯用テープ式録音機だね」(魍魎の匣) 「首をにゅうにゅう生やすところが見られるならお金を払っても見たい」(本人) 「冬の海は寒いから嫌いだ!」(本人)(以上狂骨の夢) 「本当に飛べる人がいたら僕は大金を叩いてでも友達になりたい」(鉄鼠の檻・本人) 「そこに竈馬の死骸があってね。鳥口君は知らないだろうが、榎木津は水気のない菓子と竈馬が何より嫌いなんだ。途端に気分が悪くなってバタンだ」(鉄鼠の檻・中禅寺) 「殺人事件より鼠取りの方が面白いと見えて」(鉄鼠の檻・久遠寺) 榎木津が思い切り甲高い奇声を発した……唸るように残響音が……渡った。榎木津はそれが面白いのか、うふふと笑った。(鉄鼠の檻) 「僕は穴の中と竈馬はクッキーより嫌いだ」(鉄鼠の檻・本人) 「可愛いだろう。健気な程精一杯勉強したことを語っていたぞ。内容は浅薄だし確実に受け売りだが、要するに問題なのは態度だ。見上げたものだ」(絡新婦の理・本人) 榎木津は女学生が好き(絡新婦の理・中禅寺) 「女の子はきゃあきゃあ悲鳴を上げるが、どちらかと云えば僕はわあ、とかおう、とか云う悲鳴が好みなのだ」(絡新婦の理・本人) 大体榎木津は探偵の癖に依頼人の話を聞くのが世の中で三番目に嫌いなのだと云うのである。因みに嫌いな一番目は竈馬で、二番目は水気のない菓子だそうである。(塗仏の宴 宴の支度・敦子) 「因みに僕はカマを差別はしないがカマは嫌いだ」(鳴釜・本人) 「僕はもそもそした菓子と竈馬と、それからすっきりしないのは大嫌いなのだ」(鳴釜・本人) どうやら――奇人は子供が相当に好きなようである。 相好を崩すとはこのことだろう。(鳴釜・本島) 「おお何と云う間抜けなケモノ! ヤマアラシと云うのはトゲがあるんだな! トゲが尖っていてすごく見たいじゃないかッ」(山颪・益田談) 「ぼそぼそしている。プディングの方が美味いよ」(山颪・本人) 「うちの探偵閣下は猫が好きなんですな。……マスカマ、おまえ獲れと。にゃんこが欲しいと」(五徳猫・益田) きっと探偵は苦手なのだろう。この手のしんみりした状況が。(五徳猫・本島) 「悪い予感がするとか云っただけで、もう馬鹿呼ばわりですからね」 ……(略)…… 「榎木津さんはですね、まあ例えば本物の幽霊がいたら大金を払ってでも観たいと云うクチですね。大好きなんですよ。しかし大抵は嘘だから。だから怒るんですね、あれは」(雲外鏡・益田) 「猫とか苛められてると物凄く怒りますがね、僕等下僕には冷淡だあの人」(雲外鏡・益田) |