第18回「オホーツクに消ゆ」

 「オホーツクに消ゆ」というゲームをご存知だろうか。1980年代にファミコンソフトとして発売されたアドベンチャーゲームである(要は「探偵もの」)。手がけたのは、ゲーム界(特にRPG)の巨匠、堀井雄二である。「ほりいゆうじとりやまあきらぺぺぺぺ…」の「ほりいゆうじ」である。本作品発表の前から、「ポートピア連続殺人事件」等のアドベンチャーゲームを世に送り出しており、その手腕は高く評価されていた。その堀井が放った(当時)最新作がこの「オホーツクに消ゆ」である。余談だが(いきなり余談かい)ポートピアは、パソコン版でゲームスタートして「たいほしろ ヤス」を5回やるとゲームが終わるらしい。ほんとかどうかは知らんが。

 当時、小学生だった私が、どういう経緯でこのソフトを入手したかは覚えていない。ただ、私の姉が非常にハマっていたのは覚えている。私はアドベンチャーゲームは特に好きでも嫌いでもなかったが、家にあったのでやったというまでである。ポートピアは私もそれなりに入れ込んだが、結局クリアできず(あのソフトは途中でパスワードが取れない)じまいだった。ディスクシステムでは「新宿中央公園殺人事件」があったが、こちらはセーブするとゲーム中で1日経過してしまい、会えなくなる人物が出てくる可能性があり、結局これもクリアしてない。新宿中央公園は、仕事柄、そばをよく通るが、ゲーム上の地図がそれなりに実際の公園とマッチしているところあたり、完成度の高さが覗える。

 さて、今さら何で「オホーツクに消ゆ」であるのか。話は先週末にさかのぼる(大してさかのぼってない)。3連休を生かし、私は家で自作CDの作成に明け暮れていた(この時点で3連休を生かしてないのがまるわかりである)。で、ネタが無くなってきたので何かいいリソースがないか探してふと考えた。それが「サントラ」の存在であった。我が家にはドラクエのサントラが何枚もある。それは、私がドラクエ好きであるから、ただそれだけなのだ。別にすぎやまこういちが好きなわけではない。当然、バックギャモン協会のまわしものでもない。

 そうそう、サントラの話だった。ゲーム音楽のサントラの代表格は「ドラクエ」に譲るとして、他に探すとする。「ファイナルファンタジー」は趣味では無い。音楽は好きだが、聞いていてわからへんからやめにする。「ゼルダの伝説」はすでに買っている。さて、どないしよか。と、あるCDが脳裏に浮かんだ。ポール=モーリアのCDである。別にポール=モーリアがサントラを出しているわけではない。そのCDは常に車に積んである。ベスト版見たいなもので、25曲ぐらい入っているのである。が、その中の1曲に、あるゲームの音楽に似た小節がある。それが「オホーツクに消ゆ」である。というわけで(長いフリやな)オホーツクに消ゆを探すことにする。

 舞台は秋葉原。Laoxである。関西では馴染みが薄いどころか、見た記憶すらない。石丸電気も同様である。別にスポニチを売ってるわけではない。T寄が住んでいるわけでもない。石丸○○ではなく、Laoxである。Laoxとひとくちに言っても、おそらく秋葉原には20件ぐらいのLaoxがあるのでわからないと思うが、私もよくわからない。行くのは主にTheComputer館という建物のTheBook館である。CDを買いに秋葉原には来ないからである。いや、秋葉原に来る時は、いつもだいたい目的意識がない。とりあえず来るところである。断じてカレーを食べに来るkageさんとは一緒にしないでいただきたい。

 そのBook館の近くにあるCDショップに行く。すると...あったのである、「オホーツクに消ゆ」である。しかも、発売が2002年1月である。15年も前のゲームのサントラが何故今ごろになって発売なのか。タイミングよく買いに来た私もすごいが。とにかく、そのCDはあった。最後の1枚だった。最初で最後の1枚だったかも知れない。なぜならレジのバーコードがエラーになったからである。売れていないのか。だとしたら、なぜ15年の時を経て発売したのか。謎は深まるばかりである。

 欲しかったCDを手に入れた。秋葉原で手に入れた。ますますこの街が好きになっていきそうである。いつか、カタギの人間に戻れる日が来るのであろうか。


目次へ