第19回「某和歌山県代表」

 フェブラリーS。JRAで1年のうち最初に行われるGIである。が、私にとってはすでに今年初GIではなかった。川崎記念があったからである。ハギノハイグレイド=ゴールドプルーフでの10万円ゲットが残り25mぐらいで露と消えたあのレースである。あれが1月末にあったから、まあ中3週ぐらいでまたGIである。あれ以来、吉田豊が嫌いになっている(吉田稔もあまり好きではない)。

 今年は、日曜日が雨だということで前日発売にする。土曜日。WINS銀座である。T寄の横浜初見参の、すぐらーの福島旅行中に立ち寄った、あの銀座である。なぜ銀座に行こうとしたのか、それは、いつもの横須賀線が来なかった、ただそれだけである。横浜からだと、WINSはどれも非常に行きにくい。錦糸町なら横須賀線で1本。後楽園は東京&秋葉原で2回乗り換えである。そうなると、100円単位で買えるWINSでは、銀座が一番近いのである。多分。買う場所に悩むということが、学生時代では無かったので、戸惑うばかり。便利なのだが、いつも決まって13番柱に誰かいる淀とは大違いで、寂しい限りである。たまに、知らないおっちゃんと仲良くはなるが、大概そういう人は自分の予想を、これ見よがしに言ってくるのでつきあわなければいけなくなるのがうざったい。一人は一人でしょうがないので、競馬に集中することにする。しかし、今月は経済的にかなり苦しい。1月は、年末の大貯金で逃げ切れたが(逆に言えば貯金分は負けている)、今月は余裕が無い。なのに雑誌の月刊購読申し込んだり、試験料払ったりで出費が多い。給料日明けてすぐの川崎の惨敗が響いてもいる。というわけで、先週に引き続き、特別のみの参戦にする。

 有楽町駅。1度しか行っていないWINS銀座への道のりを必死に思い出す。が、思い出せない。なんとかしようと地図を見る。が、よくわからない。さて困った。とりあえず、それっぽい方向に歩く。有楽町駅前は、ほぼ銀座であるから近いはずである。ここで重大なことに気づく。どこの競馬場、WINSの最寄駅でも、必ずと言っていいほどいるギャンブラーの姿が見えないのである。あの祇園ですらいたギャンブラーが、である。これが後に大きく響くことになる。新聞を持ってる人がいない。大川慶二郎みたいな帽子をかぶってる人もいない。これでは手がかりが無い。しかし、駅を降りてしまった以上、戻って他のWINSに行くのもばかばかしい。とにかく、銀座でWINSを探すしかない。歩いていくと、銀座松屋。名前だけは知っている。銀座マダムの買い物スポットだ(と思う)。食券で牛丼売ってる店でないことだけは確かだ。ここでやっと第一村人発見。駅から正味10分は経過している。彼に付いて行こうかと思ったが、なんだかわからんビルに入ってしまった。また路頭に迷ってしまう。

 裏金産業とは、「ギャンブルの森羅万象を追及する」会社である。しかし、大事なのはギャンブルに対する「嗅覚」である。姫路での例を挙げるまでもなく、さんぎょーの嗅覚は凄い。ここは見習わないと真の裏金産業社員とは言えない。とりあえず松屋の角を曲がる。すると、今まで何だかブランド物がショーウインドウに並んでいるビルから、突然立ち食いそば屋とかが現れたのである。うーん、ギャンブルの匂いがする。さらに行くと、テレクラの看板。およそ銀座に似つかわしくない看板である。まあそれ以前に私自信がこの街に似つかわしくないのだが。しかし、私の鼻も捨てたもんではない。社員には、匂いを嗅ぎ分ける力があるようだ。全く、さんぎょーの教育の成果には関心してしまう。惜しむらくは、カタギの人間には全く意味の無い嗅覚だと言うことだ。

 有楽町駅から2,30分。ついにWINS銀座を発見した。突入である。しかし、今日は競馬新聞を買っていない。スポニチだけで乗り切らなければいけない。ギャンブルは、情報量がモノを言う。それなのに、スポーツ新聞だけである。ゲンダイは家に置いてきた。東スポは買ってない(そういえば、しばらく東スポを買ってない。つまらないから。まだプロレスの漫画はやっているのだろうか)。メインだけのために競馬新聞を買うのはもったいない。買う馬は大体決まっているから、ここは我慢である。

 中に入る。マダムがいる。正直恐い。そんな雰囲気で競馬はしにくい。が、やはりギャンブル姿(?)のおっちゃんもいる。心が和む。しかし、みんなあんまり叫ばない。銀座は特殊なのであろうか、私が特殊なのであろうか。みんな競馬を真剣にやってないのか。別にいいけどね。人ごとやし。

 モニタにはパドック。しかし、銀座は狭い上にレースを映すモニタが少ない。ヒドいフロアは柱の影にあったりする。これだけモニタがあって、殆んどがオッズ表示である。私はオッズを全く気にしないわけではないが、必要最小限あれば満足できる。それなのに、オッズ、オッズ、オッズ...。全く、客商売を何だと思ってるのか。CustomerSatisfactionを満たしていない。まあ農水相が信用ゼロだからしょうがない。お前は牛肉食べてろ。

 パドックに目を戻す。横断幕「ほ〜ら行こうぜ!ウォー娘」...何も言うことはあるまい。今日の戦績を見ると、どうやら単勝1.4倍も人気集めて、しかも快勝したらしい。関係者大喜びである。そんなに強いのか、この馬。もし重賞勝ったらH朔を褒めてあげよう。名前だけで取った馬が重賞勝つのは、エガオヲミセテだけで十分や。

 横断幕は、許可さえ取れれば、誰でも置いていいらしい。私も学生時代、菅谷の横断幕を作ろうとしたことがあった。結局は作らなかったが。いくつか理由があるが、最大の理由は、「パドックに行かない」ことである。家には、馬の写真が何枚かあるが、その殆んどが、えあなべりん氏を始めとするもらい物である。エアグルーヴの引退式には行ったが、その写真はカメラごと無くした。菅谷の横断幕は、見たことはあるが、滅多には見ない。関東在住の今、必要ない。ここは、他人の横断幕を見て楽しむとする。で、ウォー娘からぐるーっと見渡すと、みすぼらしい(作者には大変失礼だが)横断幕を発見。緑一色(「リューイーソー」ではなく、「みどりいっしょく」と呼んで下さい)の地に白いテープで「ミノシマ」とだけある。総制作費399円(税込)ぐらいで出来そうな横断幕である。これでは蓑島もつまらんだろう。隣にはいちおう漢字で「武士沢友治」とあるのに(←これもかなりいい加減やな)。まああるだけええやろ。で、ミノシマから、武士沢の反対に目をやると...「がんばれ!嶋田潤」の文字。ミノシマ(「蓑島」でなくカタカナであるところがポイント)と嶋田。ほぼ確信犯である。競合して隣に置いたとしか思えない。これが「箕島」だったら完璧だったが、それでは名前が間違っている。絶妙だ。絶妙すぎる。参った。

 馬券のことは書く気も起きない。クイーンはウィルビーゼアから入って3着。京都記念はテンザンセイザから入って3着。最終はかすりもせず。そしてフェブラリーは...。トーシンブリザード本線にしようとしたが、太め情報が各マスコミを賑わせていたので、ボックスに。ノボ(ペリエの方)、トゥザ、トーホウと囲ったが、結果は2着3着4着5着のボックス。もういやや。雨降るからってゴールドティアラ(鞍上はもちろん江田照)からワイド万も買ったがかすりもせず。収穫はミノシマ=嶋田ラインだけである(収穫ではない)。本来なら、右上あたりに馬券を載せて八方やぶれみたいにするが、それを行うメディアが無いので諦める。まあこんなウソついてもしょうがないので信じてくれ、としか言いようがない。教訓。「来週から 横断幕もキチンと見よう」。はー虚しい。


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