第57回
3連単は競馬!

〜裏金産業北海道視察 二日日〜

人物紹介

スグノレ D.D
ガイドブック片手に計画を練る緻密さがありながら、いざ行動を起こすと失態を繰り返すその様はもはや芸術。今回はるるぶ購入&掲載土地巡り担当。大洋ファン。 人が目を向けないニッチ産業を愛するが、それ故に話の合う人間が少ない。計画性は抜群だが、自他共に認めるツキの細さでその計画の全てを覆すこともしばしば。今回は旅行計画立案&航空券手配担当。阪急ファン。
クールてつおー 小島の嫁さん(小島初佳)
目的地ははっきりしているが、ガイドブックに載りそうもないところばかり。出不精なのに旅行に出るとはしゃぎ出す、1番タチの悪いタイプ。流行モノが大嫌いな天邪鬼。今回はレンタカー手配&すすきの担当。ロッテファン。 ピップフジモト陸上部を支える女性アスリート。陸上の日本選手権女子100mで7連覇中(2004年現在)。2004年、富士通陸上部の男子短距離のエース、小島茂之 と結婚してしまった。昔から見た目に評判があり、私もファンだっただけに大変残念。写真は2002年、横浜国際での日本選手権陸上大会で撮影。今回は本編とは一切関係ない。どこファンか不明。


 二日目。他の二人は早起きだったようだが、私は寝坊。寝るのが好きな私である。放っておかれるといつまでも寝てしまう私である。だから当然である。

 この日の予定はD.Dのリクエストの大倉山ジャンプ競技場に行った後、札幌競馬で3連単勝負となった。前日から札幌競馬では3連単が全国に先駆けて先行発売されており、我々もそれに乗ったものだ。というか、この旅行の日程がもうこの日を考えて組んでいるのであるが。

 まずは大倉山に。宿からはそう遠くなさそう。運転手は相変わらずスグノレ。昨日1機死んでるので、今日は残機2機でスタートである。殺さずにゴールまでいってほしいものだ。途中で円山球場を通過。巨人ファンには、メークドラマが始まった舞台(たしか9連打か何かで快勝してそこから逆転につながったとかいうエピソードがあったはず)か、吉村が栄村とぶつかってアキレス腱を断裂した舞台かのどちらかで記憶されていることだろう。野球王としては当然後者は押さえておこう。

 円山球場からしばらく山を登る。運転に慣れていないスグノレは、やはり油断をするとすぐにカーブで膨れる。困ったヤツだ。信号ではやはり女性を一人轢き殺そうとする。はい、1機死亡。あと1機。早くコイン100枚取って下さい。山をさらに登ってようやく到着。駐車場は離れたところにあり、長ーいエスカレータを昇らないといけない。元々ジャンプ台は山の斜面を使って設計しているだろうから、山がちなのはしょうがないとしても、少しは客のことを考えてほしいものである。

 競技場に到着。デカい。大倉山はラージヒルのみだからそう見えるかもしれないが、それにしてもこれで130m近く飛んでしまうとは、人間て凄いと思ってしまう。K点を超えたあたりにバッケンレコードの看板を発見。2004年8月現在、大倉山のバッケンレコードホルダーは原田らしい。しかし141mて飛びすぎやろ。確かK点をあまりに超えるとジャンプのスタート位置をずらすなどの処置があるはずだが。

ジャンプ台
バッケンレコードの看板

 せっかくなのでリフトで上の展望台まで行く。リフトは往復で500円。片道もあったが、競技者以外は関係ないだろう。リフトはスキーのリフトと同様のもので、2人乗り。我々は3人なので、スグノレだけ後ろからついてくる形に。まずはいつものように団体割引になるまで全然知らない人に呼びかけ。金沢での麻雀旅の際に立ち寄った兼六園ではホンマに団体割引できそうなぐらい集まったが、今回は30人必要なようで(兼六園は20人)断念。途中、ジャンプの踏み切り部分に五輪のマークを発見した。ここは札幌だし、札幌五輪と言えば日の丸飛行隊を思い出すが、よく考えると日の丸飛行隊はノーマルヒルなので宮の森のはずだ。日本選手には縁が無い。最後まで昇りきってスグノレを待つ。写真はその時のものだが、実はここで我々が降りた後、スグノレが降りるまでのほんの10秒ぐらいのタイムラグの間で、リフトが停まったのである。スグノレ、大ファインプレー。仕方ないので1機増やしてあげよう。

踏み切り場所にある五輪マーク
停まったリフトで微笑むスグノレ

 展望台に到着。さすがに高い。ラージヒルだからか、とにかく高所恐怖症のヤツは来るな。まあそんなヤツはリフトも乗れないとは思うが。

上から。リアル鳥瞰図
展望台から写真を撮るD.D

 この展望台、高台にあるジャンプ台のさらに上にあるだけあって、札幌を一望できる。札幌ドームも見えたし、大通りもちゃんとわかる。テレビ塔なんて言わずもがな。とりあえず撮った写真は下2つ。

札幌円山球場を上から
ひと山隣にあった宮の森ジャンプ場

 もっと他に撮るものあったろうに。何でこんなものばっかり撮ってしまうのだろう。この感性に自画自賛。

 展望台では売店があり、アイスクリームを売っていた。普通、こういうところのアイスは割高なのだが、ここでは300円とまあお買い得。で、当然甘いものに目がないD.Dがスグノレと購入。ノーザンホースパークに続き2日連続。私は腹が壊れるのでここは控える。300円で幸せの買えるD.Dが非常に羨ましい。どうして煎餅じゃなくてアイスなのか。和菓子党の私にはそれがツライ。

 帰りにもいくつか。左は飛型審判員が飛型点を採点する際にいる審判室の塔、右は電光掲示板。どれもリフトに乗っている最中に撮影。相変わらず危なっかしい。帰りも往きと同様にD.Dと私ペア、スグノレは1人乗りだったが、今度は私が降りる6つぐらい手前で停まってしまった。何の前触れもなく停まるので慣性がかかりリフトが揺れるので、それに合わせて私とD.Dが足を動かしていたら係員に咎められてしまった。ホンマ、子供みたい。

飛型点はここで採点
こちらは電光掲示板

 続いて、併設されている「札幌ウィンタースポーツミュージアム」へ。休館日は毎月最終火曜日と調べ済みなので閉まっていることもないが、この日は日曜日だったため、観光客が多いこと多いこと。ここなら団体割引が…ってもうええねん。600円払って入館。一度払えばその日は何回でも出入り自由だそうだが、その意味があるのか不明。飯を食べに行って戻ってくるぐらいか。

 入口付近に札幌五輪の紹介がデカデカと。見どころは日の丸飛行隊とジャネット=リンぐらいか。あまり時間をかけずに通過。順路通り歩くと、次にあったのが歴代日本人メダリストの顔写真パネル(もちろん冬季のみ)。これはかなり見ごたえがある。これだけ揃うとクイズが始まってしまうのが我々の悪いクセだ。私の一番のお目当てはやはり現在競輪選手の植松か。なんか別人みたいな写真になってるが。

猪谷千春。クイズベタ
笠谷幸生。クイズベタ
三ヶ田礼一。RUQSベタ
植松仁。さんぎょーベタ

 このコーナーだけで15分は経過してしまった。次にあったのが、この博物館の目玉である「ジャンプシュミレータ」である。これはCGとゴテゴテした機械を使って、実際にジャンプの体験ができてしまうという優れものである。D.Dは以前よりこれがあることを知っており、ぜひやりたいとのことだった。しかし、前述通りこの日は日曜日。なんとこのシミュレータは90分待ちであった。この博物館なら90分潰すことは造作もないことなのだが、この後メインイベントの3連単があるのでここは泣く泣く断念。機械がものものしいだけに、セッティングと説明のため1人飛ぶのに時間がかかるのが待ち時間を増大してしまっている理由のようだ。私は別にいいのだが、D.Dは大層悔しがっていた。

 あとはビデオライブラリーを見る。どうしても日本人中心になっているが、世界的に有名な選手はそれなりに収録されているようだ。ダン=ジャンセンのコケっぷりなどは当然あった。「空飛ぶフィンランド人」でおなじみのマッチ=ニッカネンもいたが、この日から1週間後ぐらいに彼は殺人未遂で逮捕されてしまった。なんちゅうタイミング。ここでも三ヶ田礼一を拝見。荻原、河野は無視。ヒドい。

アルベールビルの勇姿

 横にあったボブスレー体験コーナーが空いたので、D.Dとスグノレが参戦。しかし操作方法がよくわからないまま終了。できればスタートはきちんと走りこんでほしかったが、写真を見ていただけるとわかるように本物さながら狭いので、素人にはムリか。ボブスレーならまだいいが、リュージュだとスタートがまぬけだ。あ、リュージュで思い出したがビデオライブラリーでゲオルク=ハックルのチェックを忘れた。三ヶ田に夢中になりすぎた。情けない。

やる気を感じないボブスレー

 そのほか、体験コーナーにはクロスカントリー(もちろんクラシカル)、バイアスロン(射撃だけ)、アイスホッケーのキーパー、スピードスケートなどがあったがいずれも順番待ちにより断念。結局ボブスレー以外はビデオライブラリーに終始張り付いていた。

 正午をゆうに過ぎてしまった。11時前には大倉山に着いていたはずなので、結局1時間半ほどいたことになる。よくもまあこんなところで1時間半も潰せるもんだ。感心。時間が時間なので、そろそろ競馬場に向かうことにする。場所は例によってナビ任せ、運転も例によって恐々とスグノレ任せである。山道の下りは初心者にとって一番恐い。いや、恐いのはこの運転に任せている私とD.Dである。

 競馬場までは1機も死なずに到着。中央卸売市場のすぐ隣だ。後にここには再び来ることになるが、日曜の昼だからか、市場には全く人影が見当たらない。隣接されている競馬場は逆に活気に溢れており、当然のように駐車場は満車の嵐である。困ったものだ。そもそも、1台だけ空いてたとしても、スグノレの腕で果たして車庫入れができるかどうか疑問だが。ノーザンホースパークでもあれだけ苦労した人だ。空いてなくてよしとしよう。競馬場の周りをぐるぐる回ったが、全く駐車場が空いている気配がない。ナビにはPマークがあるにはあるが、それも満車。100円パークなどはこのあたりには無い。そこで、市場の駐車場に行ってみようということになった。場所は少し離れているが、ここはかなりの車を停められるキャパシティがあった。さすが市場。惜しむらくは、車庫入れの練習にならないことか。レンタカーだけにぶつけるよりはマシ。

 さあ、札幌競馬場。私にとってはJRA競馬場は7つ目。あとは新潟、函館、中京である。そんなにコンプリートに固執してないのでまあいいのだが。スグノレは来年に函館に行くそうだ。

競馬場入口

 競馬場に入ると、今日は何かのイベントか、入口付近にやたらと屋台が並んでいた。イカ焼きやらじゃがバターやらいろいろあった。昼も過ぎて腹も空いてきた時、ここはまずは飯にする。D.Dは屋台でイカ飯を購入、私とスグノレは屋台ではなく普通の売店で丼を購入。北海道に来てからというもの、何を食べてもうまく感じてしまう(玄米茶ソフトクリームを除く)。今回も全くハズレというものが無い。これだけおいしいものにあたると、馬券が外れてしまうのではないか。まぁ、外れる時は食べ物に関係なく容赦なく外れるものだ。

 馬場では6レースが行われている様子。3連単はメインと最終の2レースの発売なので焦ることはない。3連単買いたさにかなりの入場者数がおり、3人で座るところが見当たらないので、仕方なく内馬場に行く。混雑時にはやはり内馬場が便利だ。淀では不可能だが、淀は内馬場分を補うほどの客席がスタンドにあるので不便は感じない。私は淀の方がよほど便利だと思うが。今まで数多く行った競馬場の中で過ごしやすさはダントツトップである。内馬場もいいのだが(私はレースを生で見たいわけではないので、ターフビジョンを含む実況放送をやってくれればそれでいい人)、問題は発売窓口が少ないことである。

 7レースから参加。メインは薄暮競馬のため9レース。それまでに3連単の買い目を確定させなければいけない。7,8レースはお遊び程度の参加で、3連単の検討。この日の札幌のメインはクイーンステークス。ローカルの芝1800mでは無類の強さを誇るオースミコスモが1番人気である。もうその時点でいろいろ香ばしいにおいが漂うメンツである。2番人気は前走のマーメイドSでアドマイヤグルーヴの後塵を拝したチアズメッセージ。3番人気がヤマニンシュクルである。このレース、ポイントはやはり馬場である。札幌開幕週で前が全然止まらない。加えて逃げ馬は昨年このレースを勝っているオースミハルカである。ここから行かない手はないだろう。また、逆に差し足のあるヤマニンシュクルは後ろからの競馬になり、あっても3着と予想。今回、私は年収分勝ちに来たので、3連単も広めに購入。マルチだフォーメーションだも理解して馬券を購入。トータル投資額は9600円にもなってしまった。厳しい。

 レースは大方の予想通りオースミハルカが逃げ、その後ろを五十嵐冬騎乗のチューニーが追走。このチューニーが相当うっとうしい。チューニーは買っていないのだが、オークス2着の実力と鞍上が不気味だ。3番手は一団で私の本線チャペルコンサートもいる。ヤマニンは例によって後ろから。4コーナーでチューニーがタレ、変わってニシノムーンライトが台頭。直線では逃げるオースミハルカはほぼ確定に見え、道中後ろの方にいたエルノヴァが猛追。鞍上は函館で稼ぎまくったホワイトだ。タレるニシノと伸びないチアズ、オースミコスモ。そして後ろからヤマニンが飛んでくる。この時点で並びがオースミハルカ、エルノヴァ、ヤマニンシュクル。予想通りの展開である。我ながら完璧な予想だ。「そのまま」の声にも力が入る。ふと横を見ると、スグノレが力一杯「かつはるー」の声。どうやらウイングレット(4番人気)を軸に購入しているようだ。D.Dもこの馬券は持っていて(2着エルノヴァ、3着ヤマニンの1着総流し。かなり大胆な馬券だ)2人して大きな期待を抱く。ところが、思ったよりオースミハルカの手ごたえが悪くなったのと、エルノヴァの脚色がいいのである。

 困ったことに逃げ馬しか頭にしてないため、エルノヴァが1着になると馬券が当たらない。願わくはオースミハルカの逃げ粘りだ。スグノレは声を枯らしてかつはるを連呼しているが、大勢は決しており、アタマがどっちかだけの興味になっている。ゴール地点ではほぼ同時に見えたが、ややオースミが有利か。こういう時、私は悲観的に見るのが常だが、その私が見ても残っていそうな体勢である。来れば万馬券は間違いないのでなんとしてでも残って欲しい。しかし、ここでさらに困った?事態に陥ることになる。何と、スグノレがこの馬券を持っているというのだ。さっきのかつはる連呼は何やったんや、もう。しかし私とD.Dも当たるかどうかの瀬戸際なので突っ込む余裕もない。

 しばらくして着順が掲示板に上がる。オースミは見事に残っており、2着エルノヴァ、3着ヤマニンシュクルで確定。5,6,3番人気の決着で馬連が4000円ながら、3連単はなんと71,170円もついた。3人で握手。今まで競馬に行って複数人が万馬券を取ることは何回かあったが、3人いて3人とも同じ万馬券を取った経験は私は初めてである。3人合わせて21万。いや、見事だ。投資額からして私が一番取り分が少ないのだが(D.Dは20点しか買っていなかった)。

 その後、新潟は3連複が的中(7480円)、小倉はオースミステイヤーを切り撃沈。これでも6万は浮いている計算になる。まだまだ年収にはほど遠い。新潟、小倉の最終はケンをして札幌最終の3連単にかけることにした。相変わらず逃げ馬の止まらない馬場であることから、このレース唯一の逃げ馬と言ってもいいテイエムイットーを1着の軸に。8番人気だけにアタマで来れば大変な馬券になりそう。この見解は3人で一致。52kgのヴリル(1番人気)が気になるが、休み明けだけに堅い決着になりそうもない。3連単取った報告をしていたフィガロにアドバイスを請うと、タニノボルガがいいらしいとのこと。私には手がでない。近走まったくパッとしていないし、前が止まらない馬場での差し馬。加えてこの時間には雨も降り出しており、どう転んでも買える要素が無い。

 ところが、レースはテイエムイットーが粘って3着にはなったものの、他に前に行った馬は総崩れ。ヴリルは着外に沈み、タニノボルガが手ごたえよく2着に入ってしまった。勝ったエリモハリアーは持っていたが、タニノはフィガロが言っただけで喜び勇んで切ってしまった。5,9,8番人気の決着により、3連複が5万、3連単が38万ついた。加えてこの3連複を私の予想を頼りにフィガロがゲットしていた。自分がそれが悲しい。

 最終はジャンピングチャンスで15000円ほど張っていたが、全く無くなってしまった。結局この日は45000円ほどのプラス。年収どころか月収にもなってない。残業手当にもなってない。残念。終わった後一応記念撮影。

いちおう、喜びの表情

 晩には祝勝会と称してすすきので散財。メンツがメンツだけに、食べ物関係だけ。念のため。すすきのに行く際にはさすがに街中を走らせるのが危険ということで私が運転。北海道初運転は競馬場(正確には中央卸売市場)からすすきのまでのわずかな距離だった。

 宿に戻り、例によって五輪観戦。この日は私の予想していたキューバのサボンが女子柔道52kg級に登場。調子よく勝って準決勝まで行ったが、そこでまさかの敗戦。日本国民は殆んど知っていると思うが、横沢由貴に残り1秒で一本を取られたものである。負け方悪すぎ。しかし尾を引かずに3位決定戦で勝つところはさすが。かつての田村亮子のライバルと言われただけはある。日本国民でサボンの応援してた人は5人もおらんだろうな。

 明日は岩見沢への旅。乞うご期待。

二日目終了

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