第60回
路上北酒場

〜裏金産業北海道視察 五日目&最終日〜

人物紹介

スグノレ D.D
ガイドブック片手に計画を練る緻密さがありながら、いざ行動を起こすと失態を繰り返すその様はもはや芸術。今回はるるぶ購入&掲載土地巡り担当。大洋ファン。 人が目を向けないニッチ産業を愛するが、それ故に話の合う人間が少ない。計画性は抜群だが、自他共に認めるツキの細さでその計画の全てを覆すこともしばしば。今回は旅行計画立案&航空券手配担当。阪急ファン。
クールてつおー 村上商事
目的地ははっきりしているが、ガイドブックに載りそうもないところばかり。出不精なのに旅行に出るとはしゃぎ出す、1番タチの悪いタイプ。流行モノが大嫌いな天邪鬼。今回はレンタカー手配&すすきの担当。ロッテファン。 うちの近所にある、芸人の名前みたいな商事会社。もちろん本編とは全く関係ない。


 五日目の朝。再び早く起きる。2日前、行って開いてなかったおふくろ食堂に行くためだ。D.Dは例によって宿で寝たまま、スグノレと2人で行くことに。市場に向かうと、この日はさすがに活気がある。やはり、市場はこうでなくては。車を停めるスペースもまるでなかったので、すこし離れた場所に路駐。早速市場の中に入る。倉庫とか、どう考えても素人が入っていける場所ではないのだが我々は平気で内部に潜入する。が、お目当ての場所に店らしきものが全くない。その場所近くに貼り紙がしてあり、よくみると最近大掛かりな移動があったらしい。そのため、以前はこの場所にあった(と思われる)食堂も移動しているようなのだ。移動しているのなら仕方がないのだが、問題は移動先が書いていないこと。見知らぬ市場の中をアテも無く歩くのには無理がある。市場の外には食堂がいくつかあるので(おそらく観光客向け)、そこで泣く泣くガマンすることに。

 外の食堂群は1つ1つの店が大きくないのだが、それなりに積極的に呼び込みみたいなことをしている。その中、わりと大きめの店に入る我々。入口は鮮魚コーナーになっていて、奥が食堂になっている形態である。店の中には何人か先客もいたが、小樽の時と違い、今度はスペースに余裕がある。席は難なく確保。私は念願のうに丼を注文。その他、サイドメニュー諸々含めて3000円ぐらいはしたか。うに丼の値段が入口になかったのでドキドキしたが、予算3000円で挑んでいるのでまあ予算内。小樽で食べたものに近い、ちゃんとしたバフンウニだったが、今回はうにしか乗っていない(うに丼だから当たり前)。その量がハンパではない。さすがに値段に見合った量だ。これなら大満足。スグノレは何を食べていたか忘れたが、かにが乗っていたように記憶している。

 店を出て、宿に戻る。この日、スグノレは私とD.Dと違い、1日早く帰ることになっていた。宿ではすでにD.Dが起きており、例によって五輪特集の番組を観ていた。スグノレを千歳に送り、2人で観光することになっているこの日だが、予定が全く立っていなかった。また、エピソードとして書くのを忘れていたが、D.Dは帰りの伊丹行きのチケットを紛失していたのだ。これの再発行のため千歳で手続きを取らなくてはならなかった。ご存知の通り、我々は韓国で発券手続きをしているので、仮に再発行となったら、韓国との連絡が必要になるのだ。時差が無いにしても、電話でそのようなやりとりが交わせると思えないので、現地の日本人に直接メールすることになるのだが、そのレスが遅いのである。メールは私が持参したノートPCでOKだったが、持参してなかったらどうしていたんだろうか。

 千歳でスグノレを降ろす。ここからは100%私の運転となる。一度D.Dに運転を強要したが、礒部のオリックス入団拒否ばりに頑なに拒否された。再発行も無事に終了し、さあどうするか。

 前日の我々の案は、東の「夕張」か西の「ニセコ」だった。札幌→千歳と来ている我々は夕張だと完全に逆方向になり、乗り気がしない。ということで、西ルートを取る。ニセコは真西に近いが、途中まっすぐの道が無いので高速で南を大回りすることになった。途中の寄り道はどうしようか、との話し合いには、「登別カルルスで一服」ということで満場一致(2人だけど)。

 千歳出発。ここからは、ただただ広い北海道をひた走ること。2人きりでひまつぶしのラジオは高校野球。男2人で何をしとんねん。

 しばらくして登別室蘭IC到着。まずは手ごろな温泉を探すことにしようとした矢先、我々の眼下に「ユートピア牧場」の看板が…。私が競馬を始めたきっかけはライスシャワーだが、このライスシャワーの墓があることで有名な牧場だ。登別にあったのか。下調べも全然していなかったので、これには2人とも驚き。当然寄り道しよう、という話になるのだが、入口が見つからない。ようやく見つけた入口も閑散としているし、後日確認したら見学時間が限られているとのこと。外周を何回かグルグル回ったが、泣く泣く諦めた。あまりのショックに写真すら残ってない。ちなみに、ユートピア牧場は馬の見学は不可だがライスシャワーの墓参りはできるとのこと。詳しくは自分で調べて。

 山奥に進み、とある温泉に到着。湯に浸かる。客も1人しかいない寂しい温泉だったが、温泉はすいている方がいいに決まっている。ありがたい。別に泳いだりはしゃいだりはしていないのでここはこれだけで。写真もないし。

 再び高速に。南を海沿いに走り、虻田洞爺湖ICに。途中運転中に撮った写真がこれ。良い子とスグノレは決してマネをしないように。

昭和新山
こっちは有珠山

 序盤でD.Dはすぐに召され、助手席で高いびき。まあ、終盤の私が眠くなるときに寝られるよりはマシなのでここは容認。私が事故っても後悔しないように。前日までのスグノレの運転ではさすがに寝られなかったとは後日談。

 洞爺湖をまわって今度は北に。ここからは高速が無いのでひたすら山道。しかし場所柄か通り過ぎる車も少ない。完全にドライブ気分である。地平線が見える、「これぞ北海道!!」という道を走りたかったが、場所が山がちなだけにその夢は叶わず。来年の夢としておこう(また来るんかい)。

 しばらくして、車は真狩村を通過。ここは、細川たかしの故郷である。目の付くところに記念館みたいなものがあったので早速途中下車。D.Dもさすがに目が覚めたようだ。テンションが高い。

 記念館と書いたが、そんな館は実は無く、あるものといえばこじんまりしたお土産屋と銅像、それに公衆便所だけだった。銅像は河原にたたずんでおり、なんと横にはスピーカーがついている。で、よく見ると手形がいくつかあり、何かのスイッチになっている。押すと…なんと「北酒場」が流れるではないか。凝った造りだ。本人が建てたんだろうか。国会議事堂に建つであろうハラケンの銅像よりは大違い。さすがはレコード大賞を2年連続で受賞しただけはある。横の土産屋では「たかしせんべい」なるものを販売。購入したが、別に細川たかしの形をしているわけではなかった(会社ではウケが良かったが)。

真狩のヒーロー

 我ながらいい写真だ。バックの山と雲と川の配置が絶妙。

 寄り道もここまでにして、再びニセコに向かう。時刻は15時近い。町に入るとすぐに道の駅があったので遅い昼食。農作物を販売するそれなりの規模の店と、あとは観光客向けと思しき軽食が並ぶ。ノーザンホースパークで食べられなかったじゃがバターととうもろこしを購入。丸々1本で300円は文句なく安いが、腹が溜まるし飽きるのも事実。1人で行く人はバランスを考えよう。

 町のはずれに、気球に乗れる場所があると聞きつけ、そちらに向かう。しかし、町に入って気球を見た記憶がないのが怪しい。天気は文句なく、時期も夏だけにやってないことはないとは思うのだが、その思いは現場に着いてうちのめされた。朝と晩の2回しかフライト?が無く、しかも晩は6時からだそうだ。我々が着いたのが3時、3時間待つにはヒマを潰すところが何もない。その上、6時に気球に乗って降りてきて札幌に帰るとなると何時になることやら。なくなく断念。この日は断念ばっかり。

 さて、何しに来たかわからないニセコを後にし、再び北上。小樽まで出て札幌に帰るコースを取ることに。ずっと道なりなので迷うことはないし、カーナビ装備である。あとはどうとでもなる。また、次に行きたいところとして、以前トンネル崩落事故があった「豊浜トンネル」が挙がっており、これが小樽方面にあることも相まって方向はアッサリ決まった。

 山間をずっと北上すると、今度は余市町に。ここでD.Dがまたテンションを上げる。「船木の出身地」ということらしい。私は知らなかったが、どうやら有名な事実らしい(但し、彼が「メジャー」という場合に世間では全く知られていないことというのが多々あることはみなさんご承知の通り)。何か所縁の建物や場所がないか確認するため、町役場を訪れることに。時刻は16時半ともう役場も閉まりかけだったが、入口にある地図を見て余市駅になにやら展示物がある、ということが発覚。これは楽しみだ。役場を後にして駅に向かう。ところが!!

営業時間に注目

 たぶん、敗因はニセコの気球だろう。時間ぐらい調べておけっちゅうねん。ちなみに現地に着いたのが16:45。展示ホールを見つけて走るD.Dだったが、途中で係の人に静止を喰らったらしい。あえなく撃沈。

 なんだかどうしようもなくつまらない旅になりつつある。みどころは今のところ真狩村だけだが、ここは行こうとして行ったわけではなく、ただ単に偶然通り道だっただけである。計画性があってもこの結果は、察するに日頃の引きの弱さが影響しているだろう。なんせD.Dと私だもの。

 30分ぐらいして、車はオホーツク海側に。国道229号線を走り、豊浜トンネルに到着。道路があるところはそうでもないが、トンネルが掘られている山は切り立っている。雪の重みが加わったら大変なことになりそうというのはある程度想像ができるぐらいの山である。崩落があった側の出口には慰霊碑があり、ちょっとした広場みたいになっていた。私が高校生の頃の話なのだが、その時の総理大臣が橋本龍太郎。時代を感じる。巷では1億円もらったことをキッチリ忘れられる男として有名だ。

日歯連
切り立った岸壁
トンネルを外から

 これだけ撮影して来た道を戻る。小樽に着いたのは1時間後の18時過ぎ。ここで晩飯となるのだが、とりあえずの選択肢は寿司かジンギスカンということに。なぜ小樽でジンギスカンかと言うと、あと食べてないのがこれだけだから、という単純な理由だ。別に小樽だからとかは一切関係ない。で、「まだ食べてない」というのが決め手になりジンギスカンに。小樽は一度来てうに食べてるしね。ジンギスカンの店の近くにしかま寿司があったのでとりあえず撮影。

結局中には入らず

 ジンギスカンは2人分で食べ放題にしたのだが、最初に出てきた量があまりに多く、なんと食べ放題にしたのにおかわりをしないという暴挙。それなら単品で頼めよ、と思うかもしれないが、その通りである。最初の量を見誤ったのが敗因だ。今日は負けてばっかり。競馬の勢いはどこへやら。

 あとは小樽から先日来た道を帰るだけ。腹パンパンで最後なんか全然覚えていない。せっかく最後の夜だというのに。まったくツイていない二人である。

 翌日。飛行機は晩だったので、この日も多少は遊ぶ時間がある。残っているのは、「どうでしょうグッズの購入」と「スープカレーを食す」というD.Dの希望を叶えるのみ、だったのだが、D.Dがどうしてももう一度大倉山に行ってジャンプシミュレータをやりたいという。まあ私は土産は空港でいいと思ってたし、もう行きたいところは無い(あったけど物理的に無理)ので従うことに。朝食はヨーグルトだけ。さすがに胃がもたれている。北海道に来て間違いなく太っていると思うが、体重計が無いので家に帰った後が恐い。

 9時に宿をチェックアウト。すぐに大倉山に向かう。途中、円山球場で寄り道。写真を撮る。この日は何か試合をやっていたようだったが、中には入らず。別に巨人ファンじゃないしね。

入口にあった南部忠平の顕彰碑
球場を外から

 ちゃっちゃと次に。お目当てのジャンプシミュレータが混んでたら意味がないから先を急ぐ。10時前にキッチリ到着。全く混んでいない。ジャンプシミュレータに行ったが、先客が2,3人いるだけですぐに順番がまわってきた。早速挑戦してみるが、ジャンプのタイミングが全くわからず、あえなく失速。原田雅彦なみだ。ちなみにD.Dもうまくいかなかったらしく、2人とも大したジャンプじゃなかった。彼は念願かなって嬉しそうだったが。

 また、ジャンプシミュレータ以外にもいろいろあり(ボブスレーは体験済)、今度はスピードスケートをやることに。しかし、ここではしゃぎすぎて朝食を戻すハメに。もう若くないことを実感。また、ライブラリには様々な本や資料が置いてあり、2人で魅入ってしまった。こういうところでは時間を忘れてしまう。きっと30分はいたと思う。

 ミュージアムを後にし、ジャンプ台の方に向かうと、今日は誰かが練習しているらしい。例によってアイス片手にD.Dが見に行く。私は遠巻きで見ていたが、一人だけ130m級の大きなジャンプをする人を発見。いや、うまいなーと思ってみていたら、D.Dがあわてふためいて(でもアイスは離さず)私のところに走ってきた。

 船木やて!

 いや、確かに20点つけたくなるようなキレイなジャンプをしてたし、飛距離も充分だったが、それで船木は短絡的では…。と思い、リフト前に陣取る。練習しているプレーヤーはみんなリフトを使って登るので、次にジャンプ後にリフトに来るところを見ればわかる、という魂胆だ。

 しばらくして、そのうまいジャンパーが飛ぶ。やはり130mは飛んでいる。で、上着を脱いでたのでよく見ると…

ジャンプシーン
上着を脱いだところ
階段を上がるところ

 いや、間違いなく船木だ!!前日に余市であんなしょうもない時間配分ミスにより見過ごした船木が、本人が飛んでいたのである。これには2人ともびっくり。いい時に来たものだ。スグノレに申し訳ない。

 大満足で大倉山を後にする。ここからは昼食と買い物だ。昼食は「木多朗」という店に行くことに。なんか有名店らしい。私は北海道に来て初めてスープカレーなるものを知ったが、そこは下調べだけはうまいD.Dのこと。しかし、カーナビの情報を頼りに車を走らせても、全く見つかる気配が無い。どうやら移転してしまったようだ。こんな時ちゃんとPCで調べればいいものを、カーナビを完全に信じきってしまっている我々にはそんな手段はまず思いつかない。仕方がないので、とりあえず近所にある大型スーパーに車を停め、対策を練ろうとしたその矢先、その駐車場の向こう側に目的の店があった。えらい偶然である。船木に続き、前日の引きの弱さを取り返す我々。

 評判の店だが、12時前に入店したこともあり、問題なく座れた。しばらく待って来たカレーは確かにスープ状だ。普通にこんなカレーを作ったら水入れすぎの失敗カレーだが、さすがにそうは見えない(当たり前だ)。見るからに、嗅ぐからにうまそうなカレーだ。早速食す。味は文句ないのだが、思っていたより相当辛い。私は辛い食べ物が苦手な方なので、これは厳しい。うまかったカレーが、途中から味がわからんぐらい舌が麻痺してきた。最後は味わうまでもなくただ流し込んだだけになってしまい、非常に勿体無かったが、満足である。なんだ、今日は当たりが多いな。

 続いて大通り近辺に行き、どうでしょうグッズを漁る。東急ハンズに車を入れ、石井大丸や地下街にあるHTBオフィシャルショップまで足を運び、欲しいと思えるものは大体購入。私はonちゃんクッションとonちゃんビーズ入り枕を購入。買ってから気づいたが、この2つは用途がとても似ている。少しは考えて買うべきだ。また携帯ストラップも購入したが、以前「今月のひと」でも紹介したように、すでのonちゃんが亡き者になっている。

左がクッション、右が枕。似てる

 お土産は空港で買うつもりだったが、途中で物産センターみたいな大きな土産物屋があったので、まとめて購入。ロイズとかベタなものから、「北の誉キャラメル」などレアなものまで。ちなみに後者は会社に持っていったらすごい酒の匂いに見舞われて女性から大層不評であった。男性陣にはまあまあだったが。

 レンタカーを返し、チェックイン。D.Dの再発行したチケットも無事あるようで、手続きは問題なし。最後に少し買い物をし、荷物が多くなったので預けることに。身軽になり、飛行機の搭乗を待つ。飛行機は、搭乗できるちょっと前に列ができるのだが、我々は外国人3人組の後ろについた。私のすぐ目の前の人がゴツい黒人だったので、D.Dがフザけて「うわ、セギノールがおるわ!」とはしゃぐ。

























 ところが、この人が正真正銘、本物のセギノールだったから2人は大変。船木レベルではない。今目の前にセギノールがいるのである。カンの鋭い人ならお分かりだと思うが、「外国人3人組」というのが、セギノール、ミラバル、オバンドーの日本ハム助っ人トリオだったのである!!冗談にしか聞こえなかったD.Dの掛け声だったが、隣にいる更に大きな外国人がオバンドーにメチャクチャ似ていることに気づいた私が前に回って黒人の方を見た時にわかったものである。ということは、D.Dがしょうもないことを言わなかったら全く気づかなかったのである。しょーもないことでもたまには耳を傾けよう、ちゃんとツッこもうという教訓。関西人ってステキ。

 ちなみに、預けた荷物にカメラがあったので撮影はできず。飛行機を急いで降りて最後に写真を撮ろうという目論見は、「荷物を預けている」ということそのものが足かせとなり(彼らは当然荷物なんて先に送っているか誰かが持っているだろう)、結局捕獲に失敗した。最後まで詰めの甘い2人である。

 伊丹からは方向が違うのでここで解散。家に帰ってすごく志向が偏った土産を前に、センス満点の自分に対して悦に入る(当然、翌週会社に行くと打ちのめされるのだが)。 最終日にいろいろドラマがあった北海道旅行だが、これにて終了。来年は全くの未定だが、行くなら道東。今度こそ、「オホーツクに消ゆ」巡りをやってみたいものだ。


 あ、すすきので「コロポックリ」探すの忘れた。


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