第63回
象の檻より愛をこめて

〜裏金産業 沖縄視察初日〜

 なんだって3月とか中途半端な時期なんだろうか。このところグローバルな展開を見せている我が裏金産業だが、ついに沖縄に初上陸である。しかし、何が問題かというと、「意味がない」ことである。

 本当ならば、2月に行くはずだった。仕事やその他プライベートも含めていろいろな兼ね合いがあり、泣く泣く断念した。2月であれば、冬真っ盛りの本州から寒さを逃れるために沖縄に行って早い春を満喫することと、プロ野球のキャンプ(あわよくばオープン戦まで)を観ることができたのだが、その夢は叶わなかった。しかしながら、行かないわけにもいかない。去年の北海道のように、このチケットは国内で購入したものではない。韓国で買ったものだ。キャンセルもできないし、捨てることもできない。GWには再び韓国に行かなくてはならないのだ。それまでに消化しないといけない。よって行かざるをえないのである。

 というわけで、沖縄に行くことになった。目的は二の次、行かなくてはいけないのだから行くことにした。ただそれだけだ。単独行動に抵抗は全くないので、やりたいことは現地に行って見つけることにする。

 さて、3/19(土)。晴天だ。見事な観光日和。観光をするわけではないのだが、まあ天気が悪いよりは良い方がいいに決まっている。何かイベントをやるとことあるごとに雨が降るので、ある一部の心ない方々より私は雨男の疑いがかけられているが、その嫌疑はこれで晴れそうである。9:55フライトであるため、7時頃起床。当然準備などできていない。国内であるととにかく気が緩む私であるが(海外でも緩んではいるが)、基本的に無いものは現地調達で何とかなるだろうと考える楽天家であるゆえ、当日の準備でも今のところ支障は来たしていない。所帯を持ったり子供が生まれたりすると話は変わるのだろうが、そんなことはしばらくありえないのでやっぱり問題はない。

 今回は金と携帯とカメラさえあれば、あとはなんとかなるだろうという予測のもと、約15分で準備完了。当日晩にある野球狂のネタのDVD録画を予約しておき、いざ出発。新大阪駅からバスに乗ろうとするが、いつものように寸前でバスが発車。そもそもバスの時刻表を知らないのでどうにもならないので、ただの不運である。1本待っても間に合う時間に家は出ているが、気分はよろしくない。

 ようやく伊丹に到着。3連休の初日なので芋を洗うような混み具合を予想していたが、思ったよりは混んでいなかった。荷物検査もスムーズに終わり、飛行機に乗る。往路は2人がけの通路側。一番恵まれた席である。しかし隣にも前にも子供連れ。当然キーキー騒ぎ出して寝るどころではない。挙句の果てにはお菓子を投げつけられた。どこまでもついていない旅である。

 那覇到着は12時すぎ。すぐさまレンタカーを借りに行くが、借りる場所が空港からやや離れており、バスでの移動となった。この移動は約10分だったが、レンタカー屋の前でトータルで20分は待たされた。やっぱり連休である。混んでいる。従業員は手際がいいのだが、子連れの行動が遅いので足を引っ張られた格好になる。12時に空港に着いたのに、荷物も預けていないのにレンタカーに乗ったのは13時を過ぎていた。

 さて、いよいよ出発。今回は2泊3日と時間だけはたっぷりあるので、初日は主に北部を周ることに。宿も那覇よりは北の沖縄市にとっておいた。初日の大きな目的地は象の檻である。知らない人は検定に通った歴史の教科書を見てみよう(←多分載ってない)。象の檻は読谷村にあるので、まずはだらだらと北上することにする。高速道路もあったが、象の檻以外に目的地も特になかったので一般道(国道58号)で進む。那覇市内は混みますよ、とレンタカーを借りる際に店の兄ちゃんに言われていた。そんなことはわかっている、連休初日でしかもここは観光地だ。多少の渋滞は想定範囲内である。しかしながら、しばらく進んで思った。混み具合が半端じゃない。まるで進まない。事故でもあったのかと思ったくらいだ。沖縄はご存知の通り車社会であるが、これには驚いた。バスは時刻表通り走れるのだろうか。

 しばらくして車は浦添市、宜野湾市と入っていく。まだ混雑は続いている。今回、常時カメラをスタンバイさせているが、これは一人であることとネタを探しているためである。この写真を撮る、という行為が運転中の身には危険極まりない行為なのだが、一人なので仕方ない。そう考えると、渋滞で車のスピードが出ていない(もしくは停まっている時間が長い)のは好都合かもしれない。宜野湾ではネタ1発目としてこんなものを。

あとちょっとで近鉄の内野手

 沖縄1発目がこんな写真。呆れないでこの先も読んでおくれやす。

 しばらくすると今度は北谷町に。野球のキャンプやってなかったら読むことすらままならない地名。逆に考えるとキャンプの影響力はすごい。そういえば宜野湾もキャンプ地やな。このあたりになると米軍基地が多く見られるし、外国人も多く見ることができる。コンビニにたむろしている米軍がすごい恐かった。コンビニには個性的なものも多く、その1つがこれ。

おにぎり!?形が…

 目指す読谷はまだ北。北上を続ける。米軍基地を逐一撮影しようと思ったが、あまりの多さに断念。そこで基地のそばにあった中古車屋での1コマ。

ドルと円の併記

 ちなみに、この写真のポイントは「ドル表示もある」、というところもあるが、「車体価格が驚くほど安い」というところである。お間違えのないように。

 またしばらく国道58号を北上。相変わらず見える基地を両手に、しばらくすると嘉手納町に。嘉手納基地はまたこれはこれで有名だ。さらに進むと「海洋博公園」の看板が。しかし…

両脇に基地が立つ国道58号
嘉手納町
遠いわ!!

 66kmときたか。標識立てる意味あるんやろうか。ちなみに海洋博公園には、美ら海水族館がある。前評判ではかなりキレイなところらしいので、時間があったら寄ってもいいかもしれない、とこの時点では思っていた。

 さて、しばらくして目的地の読谷村に到着。意外とアッサリ着いてしまった。ここから、地図にもない象の檻を探さないといけない。大阪にいた際の事前確認では、正式名称を「楚辺通信所」であることまでしかわからなかった。しかしながら、地図をくまなく見ていると地名に楚辺を発見。街の中心部からやや西にあるようだ。となれば、とりあえずそこまで向かってみる。大きな建造物らしいから、近くによればわかるだろう、わからなければ、地元の人に聞いてみればわかるだろう、となんとかなるいきあた りばったりレベルで進んでいく。

読谷村

 予想通り、街を走っているとすぐに見えてきた。かなり高台にあるようで、それがまた見易さを増している。ただ、象の檻に行く道がすごく細く、民家の真横を車一台分程度の広さの道路をひた走る、という過酷な条件の道が多かった。いろいろ周って、ようやく広そうな道を選んだが、その道を見つけた時には檻が見えてから15分は経過していた。

 まだまだ米軍の反発が多い沖縄だし、ましてや象の檻はその政治的背景からかなり村民から嫌われていて現場は厳戒態勢…と勝手に想像して行ってみたものの、

目的地、象の檻

 人っ子一人いなかった。拍子抜け。

 象の檻の表敬訪問を無事済ませ、いよいよやることがなくなってしまった。読谷村にいるということで、別に行きたかったわけではないが、名の知れた残波岬に向かう。車なら象の檻から10分とかからない。外国人観光客(もしくは地元の米軍とその仲間達かもしれない)が多少いたが、観光スポットとなっているわけではないようで、思ったより閑散としていた。季節の問題か、時間の問題か。

残波岬の灯台
岬から海を眺めて

 まあこんなもの。急遽行ったので不満も満足感もなし。ちょっと達成感がアリ。

 ここで時間は15時前。かなり中途半端である。宿に戻るのは早すぎるし、かと言ってどこかに行くにはちょっと遅い。特に博物館、美術館系統は大体17時までだからそこに着いてから見る時間というのはかなり限られてしまう。このままジッとしているのも勿体ないから、ということで美ら海水族館の方向に向かうことにした。で、途中に恩納村を通過。

恩納村

 ここでふと気づく。嘉手納から何気なく撮ってきた写真だが、よく考えたらこれでカントリーサインができるのではないか?これなら各所を回ってもそんなに退屈にはならないし、時間も潰せる。通過してきた那覇、浦添、宜野湾、北谷は今(恩納村)より南にあり、後でも撮れる場所にある。よし、ここは即決。ということで、象の檻を見るという目的を達成した今回の旅は、急遽沖縄本島カントリーサインの旅へと変貌を遂げたのである!!

 …次回からは沖縄カントリーサインをお届けいたします。初日は北部の旅。すでに盛り上がる場所は過ぎてしまったが、乞うご期待。


目次へ