第65回
最南端で青息吐息
〜沖縄本島カントリーサイン 二日日〜

 二日目。残りの南部をすべてさらうべく、この日は早起き。すでに8時にはチェックアウトをしていた。朝の弱い私には珍しいこと。旅先ではやはり1分1秒が惜しいので、寝る時間も割くのだ。ただ、やってることは「もったいない」の一言に尽きる。こんな無駄ができるのも一人身の特典だとポジティブに捉えて出発する。

 まずはやはり近場から攻めよう。北部はコンプリートしているので、徐々に南下する作戦だ。前回にチラっと書いたが、うるま市となったあたりから攻めることにするが、市境が近いところで北中城村を先にクリア。

北中城村

 そして次に行くのはやや北上した現うるま市の部分。北中城村から沖縄市を抜けて北に。その途中、とある看板を発見。お、やはり沖縄だ、泡盛サンライズを通りの名前につけるとは…。

泡○サンライズ

 でも、よく見たら泡盛じゃなかった。

 さらに北上、うるま市区域の具志川市勝連町与那城町の3つを一気にクリア。

具志川市
勝連町
与那城町

 与那城町からは、東側に伊計島という島が見える。ここには、「海中道路」が伸びており、フェリーなど乗らず、そのまま島に行くことができるらしい。せっかくなので行ってみた。「海中道路」という響きが、なんだか海の中を進むトンネルのようなイメージをわかせるが、現場に行ってみて愕然とした。何のことはない、ただの橋だった。

海中道路。景観はかなり良い
「道の駅」ならぬ「海の駅」

 海中道路から10分足らずで伊計島に到着。本島から出ている島であることから、かなりの景観でビーチやマリンスポーツが盛んらしい。また、米軍の移転の話もあり、いろんな意味で今後目が離せない場所である。今回は1人だし、米軍の影は見えないし、何より海開きすらしていない3月である。見どころがあるんだか無いんだか。

島の入口。見るからに辺鄙
函嶺洞門よりマイナーな洞門
迫る崖。前の車は迷ってるらしい

   ビーチは行けず。どこぞのホテルのプライベートビーチみたいなところはあったが、いかんせんプライベートビーチなので入れず。その前に海開きしていないのが致命的。

 滞在時間30分足らずの伊計島を後にし、再びカントリーサインに戻る。この時点でまだ10時。時間に余裕はタップリありそうだ。いよいよ南部への旅が始まる…と思うところだが、実は1つ重大なことをここで思い出す。もしこの記事(沖縄編)を1からちゃんと読んでいる人であれば気づいた人がいるかもわからないが、前回の記事をアップしてから(1ヶ月前経過)のツッコミは宿に関することだけだったので誰もわかっていないとは思うが。実は、沖縄市のカントリーサインが無いのである。前日の晩、宿で市町村の数と前日までに撮った市町村の数を確認した際に気づいたもので、この確認を怠っていたらひょっとしたら大阪に戻ってくるまでわからなかったかもしれない、という恐ろしい事態になっていただろう。

   ともあれ、昨日は宿を探す(というよりむしろ飯を食べる場所を探す)ので手一杯だった私は、単純に撮り忘れていたのだ。幸い、与那城町から南に向かう途中に通ることになるので、そこでリカバーが利くことが判明。ようやく沖縄市を撮影し、ことなきを得たのである。

沖縄市

 しばらく進むと、写真のような案内板が。ここはすでに沖縄であるのだが…。

どっちに行けばどうなるのか…。

 ここで言う「沖縄」は「沖縄市」、もしくは「沖縄市街」のことだろうとは思うが、それにしても情報の無い標識だ。

 続いて、西側に出て南下。前日に、まだカントリーサインを思いついてなかったが通過だけはした北谷町宜野湾市浦添市を一気にクリア。3つともプロ野球のキャンプではよく聞く地名だ。

北谷町
宜野湾市
浦添市

 続いて最後の目的地である那覇市は後で行くとして、再び東側に。中城村も軽くクリア。これより南側は、土地としては広くないのだが、1つ1つの市町村が狭く、意外と多くの市町村がひしめいている。見逃さないように注意深く見ていかないといけない。

中城村

 と、ここで知人よりメール。メールの本文はたった一言、「無事か?」。どこぞで私の死亡説でも流れたのだろうか。縁起でもないメールだな、と軽く返す。しかし、次のメールでその理由がはっきりした。福岡で大地震が起きたらしい。慌ててラジオをつける。FMですら地震の話をしている。どうやらかなり大きな地震のようである。ちなみに福岡沖地震であったため、沖縄は全くといっていいほど関係ないことを付け加えておく。しばらくはラジオを聴いてその規模や状況を把握する。旅行中に世間を騒がせる事件が起きると、大概浮世離れしてしまうのが大変だ。4月にも東京に長期出張中に宝塚線の脱線事故があり、姉より無事を確かめるメールが来たぐらいだ(ちなみに私は宝塚線には一度しか乗ったことが無いほど縁のない線である)。

 時刻は11時すぎ。ここから狭い市町村を縫って、一気にスパートをかける。道なりに走って西原町与那原町南風原町をたたみかけクリア。「よなばる」に「はえばる」…。絶対一発では読めない。ピンボケの写真も増えてきており、ちょっと集中力に欠けているのが自分でもわかる。この日はわずか4時間弱でこの南風原町まで12市町村+伊計島とかなりのハードスケジュールになっており、前日寝たとは言え朝が弱い私であることも心配材料。

西原町
与那原町
南風原町

 ここからは写真撮影は慎重に。南東部の玉城村大里村佐敷町知念村と4つをクリア。この間わずか10分。前日の国頭村を思い出すとなんてラクな旅かと再認識してしまう。逆に言うとみどころが無いのか。まだ午前中。このままいけば晩に相当時間が持てそうだ。

玉城村
大里村
佐敷町
知念村

 知念村では、ビーチ(ビーチ名不明)に寄ってみる。どこぞの女子高生(のどこぞの部)が合宿に来ており、ビーチバレーにいそしんでいた。父兄と思しき方々が裏手で飯の準備、顧問と思しき人が何だかわかんないけどとりまとめ。楽しそうではあったが、何度も言っている通り海開きの前なので大きく遊泳禁止の看板。当然、水着姿の人などいなかった。しかし海の透明度と言えば言葉に出せないほど。これは現場に来て見る価値大いにあり。

ビーチを入口から
波打ち際。めちゃくちゃキレイ!!

 12時を過ぎ、腹が減ってきた。ただ、3月ということでビーチには出店も全くなく、その女子高生のおこぼれをもらうわけにはいかなかったので、とりあえず飯を求めて旅を続ける。本島南側を車でひた走り、具志頭村糸満市をクリア。これでこの日は18市町村。

具志頭村
糸満市

 糸満市まで来ればあと3つ。ということでさすがに余裕が出たことから、飯はゆっくり食べ、観光も少しはしようという気に。まずは腹ごしらえで沖縄そばを食べる。ご存知のように、私はそばアレルギーを持ってはいるが、沖縄そばはそば粉を使っていないので問題なく食べられる。何年か前に食べたことがあったが、本場のほうがやはりうまいのか、味がぜんぜん違う。うどんとラーメンの合いの子みたいな食べ物だが、うどん好きの私にはもってこいの食べ物だ。ただ、夏場にはしんどいかもしれないが…。ぶっかけとか無いだろうな。

 次に糸満市にある観光名所ということで、平和祈念公園に行くことに。駐車場は無料!!いや、大らかな土地だ。公園内には資料館があったので入館。博物館だ美術館だと、何かしらこういう展示している場所には入りたがる私である。例によって団体割引のために人数を募ろうと思ったが、回りに外国人しかいなかったのでさすがにここでは諦める。

平和の火を灯すモニュメント
資料館の外観

 資料館はさすがに戦争に関しての情報が多かった。撮影禁止だったため、ここにアップすることはできないが、激戦の舞台となった沖縄の、さらに実際に戦いの場となった場所だけに重みを感じる。

 続いて西に移動し、ひめゆりの塔に。ひめさゆり賞は福島のレースだったか。ここでは駐車料金を取られたが、買い物をすれば無料になるということでその場で別に食べたくなかった(沖縄そばで腹いっぱいだったため)さーたーあんだぎーを購入。ほんの数百円だったが、店員のおばちゃんが大阪出身ってことで親身になって話をしてくれて無料にしてくれた。仕事もプライベートも、交渉事で成果を挙げるえらい私。

ひめゆりの塔

 あまりよく知らないひめゆりの塔だったが、団体客についていたガイドさんがなにやら喋っていたのでついていったら全部話してくれた。最後にみんなにお土産としてさーたーあんだぎーを配っていたが、さすがにそこまでもらうと存在がバレると思い退散。しかし沖縄に来ると戦争の悲惨さを再認識する場面が多い。タカ派の多い現政治家からして、日本の行く末が心配。

 カントリーサインはどこへやら。次は喜屋武岬に行くことに。辺戸岬に行ったなら、喜屋武岬にも行かないと…と思い立っただけだが。よく調べると本島最南端じゃないし(この時知った)。喜屋武岬に行くまでには狭い狭い道を通らなければいけないのだが、道が車1台分しかない上に、観光客が多いからすぐに正面から車が来て立ち往生してしまう。観光地化されているのであれば、もう少し広い道路を作ってもらってもよさそうなものなのだが、この情報化社会でもこの道幅を変えていないということは、おいそれと変えられない何かの理由があるのだろうか(象の檻と同じように私有地であるとか)。

 いずれにしろ、苦労してやっと到達。岬の部分は広くなっており駐車スペースもあった。もちろん、観光客もそれなりにいた。しかし、景観を考えると…苦労した割には普通の景観だ(別に汚い、と言っているわけではない。沖縄はどこもキレイである)。西側にあるので、日の入りの時なんかは最高にキレイなのだと思うが、生憎たどり着いたのが14時前だったので何ともできないのが残念。

岬からの眺め
平和の塔
岬に行く狭い道

 喜屋武岬を後にし、いよいよあと3つとなった残りのカントリーサインを目指す。

 ボリュームが増えてきたので今回はここまで。次はいよいよ沖縄編最終回。


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