第70回
北の国だから vol.3
〜三日目 越境〜

 目覚めの悪い前日に比べ、この日の目覚めはよかった。さすがに泊まるホテルのレベルの違いか。ただ、7時起床予定が起きたら8時半。前倒し励行の時に1時間半の寝坊は正直痛い。急いで仕度をしてチェックアウトをする。

 網走市内 8/29(月) 9:00 総走行距離 1025.3km

 宿が網走駅にほど近いところだったので、まずは網走市内に。網走市内とはアバウトなので、釧路と同様駅前を撮影。

網走市内(ゲーム)
網走市内(実際)

 駅から港は近いところにあるので、ついでに網走港もチェック。

網走港(ゲーム)
網走港(実際)

 朝早く行くと朝市やってるらしいが、寝坊のため見られず。当然飯にはありつけず。

 網走港 8/29(月) 9:10 総走行距離 1029.6km

 あっという間に2つクリア。網走はあと1つ、網走刑務所がある。ここも直線距離は近いのだが、刑務所だけあって入口が少ない。刑務所は川べりにあるのだが、その川を渡る橋が少ないのである。刑務所は僻地になるのが定番なのだろう。地図を見るとすぐ近くに1本道があったのはあったが、近くに行くとそれは工事車両が通るための道であった。遠回りしてたどり着こうと北に上がると、能取湖という湖に出てしまいその道から進むのは断念。入口近くにあるもう1本の橋の近くに車を停め、歩いていくことに。ちなみにこの橋、一般人は渡ることができないのだが、勘違いしている観光客が多く渡っていた(車で、の話。徒歩ではもちろん問題ない)。直線距離で港から5km足らずのはずが、気づいたら20km近く走っていた。

 網走刑務所 8/29(月) 9:50 総走行距離 1047.8km

 ようやくたどり着いた網走刑務所。さっそく入口を撮影しようとすると、近くに看板が。服役中の囚人にカメラを向けてはいけない注意書きだった。観光名所化してはいるが、れっきとした現役の刑務所である。囚人にも人権はあろう。もっともだ。

網走刑務所(ゲーム)
網走刑務所(実際)

 そして横にはゲームのように即売所。何時から開店か知らないが、仮に朝市に行けるぐらい早起きしていたら開店してなかったのかもしれない。そういう意味では遅刻もラッキー。即売所の横には電話ボックスが。そしてこれが、

形に注目!!
即売所。すぐ横にあった

 ちゃんとニポポ人形の形をしているのである。観光客のハートをグッとつかむ見事な演出だ。喜びいさんで写真を撮ってしまった。

 即売所ではニポポ人形を購入。何種類も大きさがあり(形はほとんど一緒。縮尺が違うだけ)、値段がかなり違ったが、大きなものは荷物になるので小さめのものを購入。

ニポポ人形(ゲーム)
ニポポ人形(実際)

 当然、涙は掘られてません。大きさは10cmぐらいかな。

 網走はこれでクリア。続いてはオホーツク海をさらに北上して紋別方面に。ナビで見るとまた100km。もう慣れたもんで、100kmぐらいなら驚かなくなった。

 途中、サロマ湖畔に道の駅があったので立ち寄る。目新しいものは売っていなかったが、ここで腹ごしらえ。どこぞの女子高生の、合宿に行く途中の集団に出くわした。バスを見てみると「雄武」の表記が。おお、雄武といえば去年(2004)の高校野球トトカルチョで予想した高校だ。準優勝に終わったのが寂しかったが。表敬訪問しようかと声をかけると、雄武は紋別のさらに北にあるらしい。というわけで余力があったら行ってみる旨を女子高生に伝え、この道の駅を後に。ここで撮ったものではないが、サロマ湖の写真もいちおう撮影。

サロマ湖

 サロマ湖 8/29(月) 11:00 総走行距離 1102.6km

 時刻はすでに11時。この時通っている道が国道238号線だったが、あいにくトラックが多くスピードを出せなかったのが敗因。

 道の駅から出るとすぐ、距離を示す標識が。紋別までは65kmとあるが、

282km!!

 WINS釧路まで70kmの看板にも面食らったが、さすがに282kmと言われるとぐうの音も出ない。余力があったら…というレベルの話じゃない。稚内まで行ったら同じ距離を戻ってこないといけないので、そう考えると600kmはゆうに超える。というわけで稚内まで行くのは断念。またの機会に(あるのか?)。

 しばらくトラックもいなかったが、30kmぐらい進んだところでトラック発見。しかも対向車が多い上、見通しが悪いので抜くに抜けない。トラックの後ろも3台ぐらいがチンタラと走っている。仕方ないのでこの後ろにつけてチンタラ走っていると、パトカーとわナンバーの車が道の脇に停まっている。どう見てもスピード違反で捕まった跡だ。このトラックがいなかったらこっちが捕まっていたかもしれない。競馬の運といい、台風がそれたことといい、この旅は基本的についていることが多い。

 そんなトラックと共に揺られ、ようやく紋別に到着した時はもうお昼。腹ごしらえもしたいが、先にチェックポイントを回り、その途中でいいところがあったら入ることに。 まずは手近なところで紋別港から。ゲームでは港に近いところに高台公園があるということだったので一緒に回ることに。先に紋別港。

 紋別港 8/29(月) 12:00 総走行距離 1157.2km

紋別港(ゲーム)
紋別港(実際)

 で、高台公園を探すが、なんとこれが見つからないのである。ナビには全く出てこない。仕方ないので港で会った人に聞くが、どうやらそんな公園は存在しないとのこと。これには驚いた。フィクションだったか。というわけでこの公園は断念。上記の写真は高台から撮ったのでまあこれで高台公園もクリアってことで。

高台公園(ゲーム)

 よく考えたら、この慰霊碑が建てられた元となった事故がフィクションやん。そら無いのも納得。

 まわりに民家しか無いので飯にはありつけず。市内に出るが、めぼしいところが無かったので、得意のスーパーで弁当購入となった。また昼飯が雑に。ついでに市内も撮影。

紋別市内(ゲーム)
紋別市内(実際)

 他にゲームでは港湾管理事務所があったが、これも場所がわからず。たぶん、港のどこかにある。でも一般人はきっと入れない。

 紋別市内 8/29(月) 12:40 総走行距離 1167.8km

 紋別も全てクリア。これで道東が全て終わったことになる。となると、今度は西に西に向かって走る、ということに。当初予定のなかった函館のほか、あとは札幌と夕張。手近なところはやはり夕張なので、ここは夕張の町に向かう。で、ナビを設定してみると

見よ、この距離を!!

 274kmの表示。しかもこの時点で12:40だというのに到達予想時間が18:35ときたもんだ。約6時間である。…笑うしかない。しかし、ここに留まっていてもいいことないので進むしかない。目標ははるか遠く、270kmも先にある夕張である。

 この時ほど、ゲームがうらやましいと思ったことはない。Aボタン1つで数百kmを1秒足らずで移動できるのである。それが現実はどうだ。やれ信号だ、カーブだ、「熊に注意」という標識だ、と一筋縄では進まない道のりだ。しかも道中たった一人である。海を見ながらならまだましかもしれないが、先の見えない峠道が延々と続くだけ。景色もへったくれもあったもんじゃない。しかも、途中名寄あたりに差し掛かったときに雨まで降り出す始末。観光中でないことを幸いと思うか、これにより減速を強いられることを不幸と思うか。もはやどっちでもいい。

 しかし、名寄から国道40号にさしかかり、しばらく進んだ時である。やたら工事の看板が目立つようになってきた。片側交互通行も頻繁にある(対抗車があまりいないから意味が無いが)。どうやら、新しい道路を作っているようである。国道が走っているのに、さらに並行して道路を作るのか。北海道も道路族が強いんやな、と関心を抱いていたのだが、冷静に考えたらそんなことはない。しばらくして答えが見つかった。

 国道273号線を走っていたこの道が、別方面から来た国道39号線と合流。この道も東から来ており、これは道なりに西に進めばいいはず。事実ナビもそのように示している。ところが、実際の道はそのしばらく先にもう1つ分かれ道があった。よく見ると看板があり、これがなんと高速道路だったのである。これは幸運だ。トラックにも邪魔されない、飛ばしても文句言われない高速道路の登場である。急ぐ身としてはありがたい。しかもさらにラッキーなことに、試用期間ということで道央自動車道までの途中、愛別ICまでの1区間が無料で通れるらしい。時間短縮にはもってこいである。この道路、去年の10月に完成した旭川紋別自動車道の一部らしい。工事車両はすべてこの道路建設のものだったのだろう。ともかく、これに乗らない手は無い。

 愛山上川から道央自動車道の接続先の比布JCTまでは約20km。高速で100kmで飛ばせば12分で着く計算だ。まあ実際はもっとスピードが出ていたが。オービスの設置の有無は不明だったが、まだ新しい上に車通りが皆無に等しい道路であるので、これは万人が飛ばさざるをえない気持ちにさせられる道路だ。

 ここからはとにかく飛ばすつもりでアクセルを踏む。時間短縮が至上命題だ。本当に18:35に着いたらもう暗いはず。フラッシュたいての撮影は嫌だ。遠くの景色が撮れない場合があるからだ。

 しかし、その想いも自然の脅威が立ちはだかる。また雨が降ってきたのだ。しかも今度は半端じゃない雨。「バケツをひっくり返した」とはよくいった表現だが、まさにうってつけの表現だ。高速を走っているのでなおさら危ない。10km/hにも満たない速さでノロノロと走る。途中進むのを断念したと思しき客が路肩で停まっているのも見える。ワイパーを一番早く動かしても、視界は10mも無い。大変なことになってきた。

 この雨は10分ほど続いた。ほどなくして雨は小降りにはなったが、しばらく止むことはなく、ここで足止めとまではいかないがかなりのタイムロスを強いられたのだった。旭川を過ぎたあたりでようやく雨もあがる。しばらく南下していくと路面すら濡れていない道路と変わる。山の天気は変わりやすい。よく言われる言葉だ。身に沁みる。

 高速は夕張まで続いてはいるが、夕張まで乗ると千歳方面からぐるっと回らなくてはいけない。というわけで、途中の岩見沢で降りる。そういえば去年もここで降りたな。去年の岩見沢も雨だった。うどんで暖をとったっけ。高速を降りたのがだいたい15:30。雨だったとはいえ、相当挽回をした。さらにここからは下道で地道に移動。山道ではない一般道なのでスピードが出ない。例によってトラックも多い。五十日でもないのに。

 夕張市街 8/29(月) 16:30 総走行距離 1457.9km

 夕張に着くとすでに16時半。ナビの計算より2時間早く着いた計算にはなるが、それでも4時間ぶっ通しの運転は体に応える(しかも道中雨にたたられること2度)。時間も時間なので、炭鉱に向かうことに。ここには石炭博物館というものがあるらしいので、そこに行くことにするが、この時間であるので博物館内には入れず。

夕張炭鉱(ゲーム)
夕張炭鉱(実際)

 続いて夕張の町に。ここも駅でお茶を濁す。

夕張の町(ゲーム)
夕張の町(実際)

 夕張駅 8/29(月) 16:40 総走行距離 1462.5km

 駅のそばにネタが1つ。

冷水なのに「湯」

 ギャグだろうか。写真の看板にはカタカナで書いてあるが、実際に漢字では本当に冷水の湯と書くらしい。

 ここで、この日の宿を決める。最初は千歳か室蘭にしようと思ったが、温泉に1つも入っていないこと、それにとある別件により、より西に行っておきたいという思いがあり、洞爺湖まで足を伸ばすことに。ネットで宿を確保し、20時チェックインとしていざ出発!!

 ところが、10分もしないうちに宿から携帯に連絡が。晩飯付きの宿だったが、20時までしか出せないとのことで、もう少し早くチェックインしろコラ!!みたいなことを言っている。現在17時ちょっと前で夕張、洞爺湖までは200km弱。70km/hペースで追いつく計算である。電話で「今夕張にいるから19時に着いてみせます」と豪語したが、「そら無理」と一蹴。19時にもう1回連絡するからその時いる場所で判断しよう、ということになった。私は天邪鬼な人間なので、こう言われると是が非でも19時までに間に合わせようと思う人だ。

 夕張から洞爺湖温泉までは大体が高速だが、伊達ICからしばらく(10kmぐらい)は一般道となる。ここからは今まで以上に飛ばす飛ばす。しばらく道央自動車道は2車線が続くので遅い車がいても問題ない。しかし、室蘭を過ぎたあたりから1車線となる。幸いなことに、ここに遅い車が少なかったことと、いたとしてもうまく追越車線や登坂車線を使って抜くことができた。日も暮れ、例によって虫が頻繁に飛び込んでくるという悪条件の中、型落ちのファミリアは飛ばす。

 洞爺湖 8/29(月) 19:00 総走行距離 1640.0km

 きっちり19時に到着。有言実行とはこのこと。ちなみに宿から連絡が入る前にフロントでそのことをうちあけたら軽く流された。重要やったんちゃうんか。この旅始まって初めての温泉宿。この日も600km走っているのでさすがに疲れが溜まっているようだ。風呂がとっても気持ちいい。露天風呂もあったが、人が2,3人入ったらもういっぱいになるようなところだったので5分で出る。宿で「今日は花火があるよ」と言われたが、部屋は湖とは反対側で全く見えず。外に出てみるもこのホテルが中心地にないらしく外れの方であがっているのが見えた程度だった。

 この日はこれで終了。3日(実質2日半)で1600kmを走ったが、あと残りは函館と札幌。そう距離もなさそうな感じだ。4日目は函館が目標だが、その前に大きな寄り道を。どこかと言うのは…次回をお楽しみに。

札幌 札幌駅 すすきの コロポックリ 手稲
夕張 夕張の町 夕張炭鉱
函館 函館の町 蛍町
釧路 釧路空港 釧路駅前 緑ヶ丘
網走 網走市内 網走港 網走刑務所
紋別 紋別の町 紋別港 高台公園
ウトロ ウトロの町 ウトロ港
知床 知床五湖
道央の湖 阿寒湖 屈斜路湖 和琴温泉 摩周湖
(表の赤いところはクリア済)

三日目終了

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