第88回
JR九州周遊の旅 Vol.1

 2007年11月、とあるニュースが飛び込んできた。「なはあかつきが2008年3月のダイヤ改正で廃止になる」というもの。普段、あまり寝台列車には乗らない私には大したニュースではなかったのだが、いい機会だし一度乗ってみよう、と思い立った(思い立ってしまった)。旅(特に鉄道ネタが絡む旅)のきっかけなんて毎回こんなもの。

 さて、表題にある通り今回はJR九州周遊の旅である。「周遊」と名づけているくらいなので周遊きっぷを使用しているのであるが、この切符、御存じの方は多いと思うが期限が5日間しかない。JR九州はその名の通り九州全土に渡って路線が張り巡らされており、その総キロ数は2,000kmを超える(九州新幹線を含む)。これをたった5日で回ろうというのである。うむ、こうして字面にしただけで無謀な計画だというのがよくわかる。

 ちなみに、テツお達しの切符である「青春18きっぷ」は同じく5日分あるのだが、周遊きっぷとの違い特別料金のかからない電車(普通や快速など)しか乗れないのが最大の弱点である。2,000kmを走破しようと思ったら単純に1日400kmは消化しなければいけない。さらに、今回の目的地は九州であるので、私が現在住んでいる大阪から18きっぷを使って行くのであれば1日がかりになる(当然復路も丸1日を費やす)。となると、18きっぷを持っていたとしても九州を回れるのは都合3日。600km/日が至上命題となり、さらにキツい条件になってしまう。JR九州は特急が充実しており走破には便利なこと、そしてローカル線が多いために本数の多い路線は特急などでまかなって時間を有効的に使用したいこと、など様々な理由があり、価格的な面は抜きにしても周遊きっぷにはメリットがあることから今回はこちらを選択することにした。

 周遊きっぷで行くと決まれば、今度は大阪⇔九州の切符の手配である。冒頭にあるように、往路はこの旅のきっかけとなった寝台列車で行くのは規定路線。復路は日にちも時間も出発の時点では未定なので乗車券だけ購入(周遊きっぷを購入する際には目的地までの往復乗車券を合わせて購入するのが必須のため)。ここまではOK。ここで重要な事項が2つ。1.いつ行くか、2.往路の目的地をどこにするか。この2つである。

 時期に関しては早い段階に決めていた。現在勤めている会社は勤続5年で1週間の休暇をもらえる制度がある(もちろん有給休暇とは別)のだが、これを年末年始にくっつけてしまうことにより、大型連休として日程を確保する方法である。2007年は12/23が日曜日で翌24日(月)が振替休日、25日(火)から28日(金)が通常出勤日なのでこの4日間をこの休暇に充て、12/22(土)から1/6(日)まで、実に16連休という長い休みを得ることになる。早速会社にかけあったが、自分の仕事状況と残件を残っている人でまわすことができればOK、という素晴らしい返答。すぐに得意先や抱えている仕事の客先には21日が最終出社日であることを告げ、確保はできた。とはいえ、年末年始はやはり避けたいので、帰省ラッシュが始まる(と思われる)29日までには帰阪することにすると、逆算して23(日)か24(祝)までには出る計算になる。まあそれでも何とかなった。

 次は往路の目的地である。これは先述どおりで既に2択。なはに乗るかあかつきに乗るか、である。なはであれば熊本駅行、あかつきであれば長崎駅行。鳥栖までは併結の2階建て列車であるので出発時間はまったく一緒。となると時間の問題ではなく、やはり着いた場所からの行動次第ということだ。熊本の方がその後の行動の選択肢が多いので便利な気がするが、ここは敢えて長崎(あかつき)を選択。熊本から長崎へ行くのが大変であることと、盲腸線である長崎本線の先の部分である長崎を潰してしまえば後の行動(乗り潰しを含む)がラクになる、というのがその理由。

 さて、これで切符の手配ができるようになった。出発日時を世間の3連休の真ん中である23日(日)とし、少しでも空いている日であかつきの寝台券を取りやすくするという万全の対策を施し、いざみどりの窓口に向かう。思ったより空いていたが、B寝台(2段ベッド)の下のベッドは結構埋まっていた。ちなみに私はB寝台であれば上のベッドが好きである。荷物を置くスペースがあるから。今回は特に約1週間の旅となるため、荷物が多いから重宝する。復路は前述通り乗車券だけを購入。

 周遊きっぷは5日間で14500円、1日あたりにするとわずか2900円。これで特急乗り放題なのだからお得感満載。青春18きっぷは5日間で11500円、1日あたり2300円。600円の追加費用で特急に乗れるのだから、どちらを選択するかは推して知るべし(九州までの往復乗車券はこれとは別。また、九州新幹線は含まれていないので別途購入の必要あり)。

 新大阪駅  12/24(休) 20:20 

 旅のはじまり、新大阪駅。あかつきは新大阪発が20:35。振替休日ではあるが夜の8時半なので、普通に人はいる。手にしている切符は下記。本当はこれに「ゆき」と書かれた乗車券もあるが、出してもつまらないので載せず。

いまや入手不可能なあかつき寝台券
周遊きっぷ。検印だらけ

 そんな中、今や殆んど姿を見ない青い車体の寝台車がやってきた。

 …とここで写真を入れるのがいつもの流れなのだが、残念ながら撮ってなかった。無念。写真は後ほど出てきますので焦らずに。

 いよいよ出発。ブルートレインは扉の開閉が独特なので面白い。まあ開閉の瞬間を見ていないのだが。動き出したらやることが無いので、ひとまず荷物の整理と寝床の確保(荷物をどう置くと寝るのに快適か)をし、後は夜食に、と持ってきたパンをかじりながら小説やらDSやら。世の男性なら、「酒(ビール)を飲む」という選択肢もあろうが、超がつくほど下戸な私はそんな気にはならず。岡山を23時くらいに通過した後は、とりあえず寝るほうがよいと考え床に就く。

 12月末ということもあり車内は暖房が効いている。おかげでちっとも寒くない。むしろ暑いくらいだ。備え付けの浴衣があったが、短パンに履き替えてすごす。このまま寝るとノドが乾くこと間違いなしなのだが、回避策が無いので持っていたお茶を飲み干さずにとっておくことに。

 鳥栖でなはの切り離しがあるはずだったが起きられず(鳥栖到着は6:17、鳥栖発は切り離し後の6:34)。起きたら7:45。外は既に明るく、電車は諫早に近づくところ。長崎着は8:55の予定だが1時間近く前に目覚めるこの中途半端さ。仕方ないので顔を洗いに行くが、洗面台は化粧をしている女性2人組に占領されていた。トイレで時間を潰し、再び荷物を整理した後に行ってようやく開いた。占領されたのには腹が立つが、寝台列車で女性が泊まると大変やなぁ、と実感。

 長崎駅  12/25(火) 8:55 総営業キロ 776.2km JR九州乗りつぶし 227.4km

 定刻8:55、長崎に無事到着。走行距離776.2km、時間にして12時間以上の旅だったが、ここからが本番。時間的にはちゃんと寝ているはずなのだが、予想通りちゃんと寝つけなかったようで体がだるい、且つ痛い。これからの旅は座ってばっかりなので多少は大丈夫だと思うのだが…。

 

長崎駅
あかつきを正面から

 既に廃止が決まっているからか、朝からあかつきの車体を撮ろうとカメラを構えている人多数。中には親子連れも。

カメラ小僧の群れ

 この旅は「周遊の旅」と銘打ってはいるが、目的としてはJR九州の乗り潰しである。既にあかつきで山陽本線の九州部分(関門トンネルから門司まで)6.3km、鹿児島本線の小倉→鳥栖95.8km、長崎本線の鳥栖→長崎125.3kmはクリア。長崎本線は支線扱いで旧線の喜々津⇔浦上が残っているのでまずはこちらをつぶすことに。

 長崎駅  12/25(火) 9:08 総営業キロ 776.2km JR九州乗りつぶし 227.4km

 9:08に長崎発の竹松行に乗る。竹松駅は大村線になるので、次の予定である大村線に乗るには絶好の機会なのだが、次の大村線の電車が40分後であることから、竹松駅で待つよりも諫早駅で待つほうが時間を潰しやすいと考え、この電車では諫早駅まで行くことに。

 諫早駅  12/25(火) 10:04  総営業キロ 807.8km JR九州乗りつぶし 250.9km

 約1時間かけて諫早駅到着。

諫早駅

 諫早駅は仕事で来たことが何回かあるので、多少勝手を知っている。駅前の駅ビルのような場所で多少の時間が潰れるので、そこで小休止。朝御飯もここで食べようかと思ったが、車中で食べたパンが効いているのか腹が減ってないのでここでは本当に休憩だけ。時間があれば島原鉄道も回りたかったが、乗り合わせの問題と切符の問題で断念。ちなみにこの時点ではまだ島原鉄道は加津佐駅まで行っていたが、この旅行の3ヶ月後の2008年4月1日に加津佐⇔島原外港までが廃線となってしまった。時間との兼ね合いがあったとは言え、今さらながら行っておけばと後悔。

 諫早駅  12/25(火) 10:44  総営業キロ 807.8km JR九州乗りつぶし 250.9km

 諫早から乗る人は意外と多い。島原鉄道からの乗り換え客がいるためか。10:44発の佐世保駅行に乗車。ちなみにこの電車は長崎から来ている快速シーサイドである。快速なので乗客も多い。乗り換え客が多い、元々の乗客も多い。じゃ何で長崎からこの電車に乗らないのか、という疑問が湧くが、これは前述どおり支線に乗るため。この旅はこのように自ら遠回りする経路が多いので仕方ない。

 途中、諫早から4駅目の竹松駅を見るが、まあ諫早で待っててよかった、と思うほどの駅前の違い。ハウステンボスも通ったが、こちらは駅前が華やかな割には乗降客があまりいない。会社更生法から立ち上がるべく頑張ってるハウステンボス。がんばれ。

 佐世保駅  12/25(火) 11:51  総営業キロ 864.3km JR九州乗りつぶし 307.4km

 早岐駅を経由し、佐世保駅到着。早岐からは佐世保線を少し走って佐世保駅JRの駅の中で最西端の駅である。

佐世保駅

 駅には「日本最西端 佐世保駅」の木製の大きな看板が。ちなみに後でも出てくるが、佐世保駅は日本最西端ではない。あくまでJR最西端である。と思ってよく見ると、下にちっちゃく「JR」と書いてある。なんか指摘でもあって付け足したような字であるが、この表記であればいちおう間違いではない。

日本最西端…JRの

   佐世保と言えばやっぱり佐世保バーガー。駅にはちゃんとありましたよ。

デカけりゃいいってもんじゃない

   写真では伝わらないが、大人の背丈くらいあります(笑)。

 佐世保駅  12/25(火) 12:17  総営業キロ 864.3km JR九州乗りつぶし 307.4km

 駅前で油を売っている時間もなく、わずか25分ほどのインターバルで次の電車。特急みどり14号で次の目的地、佐賀駅へ。昼食は佐世保駅での駅弁(佐世保バーガーの店は駅前に見つからず。あったところで買う時間も無かったが)。特急みどりは時間によってはかもめハウステンボスと合わせた2階建てになるが、みどり14号はハウステンボス14号との2階建て。ただし連結するのは佐世保線と大村線の分岐となる早岐駅。そのため佐世保駅はみどりのみの出発。

 周遊券では指定席が取れないので自由席に乗車。さてこの旅始まって初の特急か。周遊券の威力を見せ付けてやろうかな、と思っていた私の目に思わぬ光景が飛び込んできた。なんと、座席が全て逆を向いているのである。駅標に示されている次の駅と座席とがまったく180度異なる方向を向いている。それにほかの乗客は違和感なく乗っているのである。しかしこの問題はすぐに解決した。車内放送で、早岐駅でスイッチバックをするということだった。連結のせいか、と思ったが跡で調べてみたら佐世保線は元からそういう線形になっているらしい。最近逆方向で電車に乗ると非常に酔いやすい私であるが、ここはものの10分なのでほかの乗客同様、逆方向を向いてそのまま乗ることに。

 早岐駅  12/25(火) 12:28  総営業キロ 873.2km JR九州乗りつぶし 307.4km

 早岐駅到着。6分ほど待ってハウステンボスと連結。この電車自体は博多行だが、先述どおりこの電車は佐賀で降りる。

 ここからは佐賀まで1時間弱。座席も進行方向となり、ようやく普通の乗車となった。

 佐賀駅  12/25(火) 13:21  総営業キロ 927.7km JR九州乗りつぶし 347.3km

 佐賀駅。

佐賀駅

   今度は30分の猶予を経て唐津線を攻める。唐津線は路線上は佐賀から2駅先の久保田駅から西唐津駅なのだが、運用上はすべて佐賀駅からの電車となっており、佐賀から乗ったほうが都合がよい。それ以前にみどりは久保田駅には止まらないのだが。

 目的地は唐津線の途中駅、山本駅

 佐賀駅  12/25(火) 13:54  総営業キロ 927.7km JR九州乗りつぶし 347.3km

 佐賀駅始発なので余裕で座れる。途中、唐津線に分岐する久保田駅のごく手前に、1年でたった1週間しか開業しない駅であるバルーンさが駅を車窓から見るために窓際の席を確保。見ることは見られたが、写真に撮れるほどのスピードではなく、何枚かシャッターは切ってみたものの撮影には失敗。どんな駅か知りたい人はWikipediaで調べてみよう!

 久保田駅から分岐して唐津線に。もともと唐津線は石炭を唐津港に運ぶために建設された路線であるので、あまり輸送力があるわけではなく、JR九州の中でもローカル色が非常に濃い路線である。ということは乗車率が低いので、当然のように1人でボックス席(4人掛け)をすべて確保が可能だった。2両編成で、乗っているのは山本直前で5〜6人。たぶん赤字路線。

 ところが、この5〜6人しかいない乗客の中に、やたらとうるさい若者がおった。携帯で大きな声で話をする、頭は最上部だけ黒の金髪(要するに染めた後に生えた髪が黒く残ってしまっている)、上下スウェットにキティちゃんのサンダルと、どう見ても田舎のヤンキーである。君らの勝手なルールで電車内をうるさくして良いルールは無い。が、注意してこじれるのもアホらしいので、音の鳴らないイヤホンを耳にして完全無視。

 山本駅  12/25(火) 15:01  総営業キロ 967.0km JR九州乗りつぶし 383.5km

 そうこうしているうちに山本駅到着。さっさと降りようと思い先頭車両にいく(ワンマン運転なので前しか開かない)。降りる客は私ともう一人。やれやれ、やっとあのアホヤンキーと離れることができる、と駅でほっとした時、手袋が無いことに気づく。やられた。車内や。急いで降りたがゆえに手荷物の確認をせずに降りてしまった。学生時代から愛用していた手袋だっただけに愛着があったが、安物だしアホのせいで取りに行く時間を要するのもアホらしいし、仕方なく諦めた。

山本駅

   山本駅では19分の待機。駅前は何も無いので駅舎の中でただ時間を過ごす。中途半端に広い駅舎で、ただポツンとたった一人で次の電車を待つ。

駅舎。自販機が1つ
時刻表。なぜかカラフル。

   山本からは筑肥線伊万里駅まで。唐津線の残った山本から西唐津までの間は保留。後ほど潰すことに。宮脇俊三の代表作、時刻表2万キロでは、乗り潰し損ねた西唐津で芸術的とも言える乗り潰しで回避するのだが、そんなことはこの旅では起きないので悪しからず。

 山本駅  12/25(火) 15:20  総営業キロ 967.0km JR九州乗りつぶし 383.5km

 5分前に駅舎を出て電車を待っていると、おばあちゃんが2人来た。地元の方は来る時間をちゃんと把握していて、電車が来る直前に駅に来る、ということか。一人ぼっちだったのも納得。

 筑肥線は姪浜−唐津と山本−伊万里の2路線に完全に分断されている。今回乗るのは山本−伊万里のほう。姪浜方面のほうが博多に近く、都会で本数もあるので後回し。

 伊万里駅  12/25(火) 15:59  総営業キロ 992.7km JR九州乗りつぶし 409.2km

 伊万里駅到着。時刻は16時近く。総営業キロはいよいよ1,000kmに近づこうかというところ(大半があかつき車内なので寝ていたのだが)。

伊万里駅
駅舎

 伊万里駅は筑肥線の終点で、JRの接続は他にはない、いわゆる盲腸駅である。ということはJRで帰ろうとするに今乗ってきた電車を折り返さないといけないのだが、実はここには第三セクターの松浦鉄道が走っている。今回はこれに乗ってみることに。

 松浦鉄道は、旧国鉄の松浦線を第三セクターに転換したもの。JRではないのでもちろん周遊券が使えない。従ってこの区間は自腹持ち出しになる。この電車、有田駅から伊万里にあがり、ぐるーっと長崎の西側を通る路線である(但し伊万里で運転系統が分断されているため、伊万里乗換えが発生する)。有田まで行ければJR佐世保線に戻れ、さらに距離もそれほどではない(10km強、10駅)なのだが、今回は敢えて時間と金をかけて佐世保駅まで行くことに。その理由は、途中にあるたびら平戸口駅に行くためである。さきほど佐世保駅でJR最西端を見たが、この駅は佐世保駅はもとより、日本の普通鉄道におけるすべての駅のうちで最も西にある、日本最西端の駅なのである。

 普通鉄道、と書いたのは訳がある。実は、「鉄道駅」というくくりでは、たびら平戸口は日本最西端ではない。2003年に開業した沖縄都市モノレール線がたびら平戸口のはるか西を走っており、日本最西端は現在は那覇空港駅なのである。が、この電車はモノレール。電車で言うところの線路が無い(1本のレールはあるが)。従って、いわゆる「普通鉄道」では最西端ということになるのだ。

 伊万里駅  12/25(火) 16:06  総営業キロ 992.7km JR九州乗りつぶし 409.2km

 伊万里から佐世保までは2時間40分の長い旅。当然、快速などは存在しない(朝に一部あるが、この時間帯には無い)。伊万里駅での待ち合わせは約7分と短い。すぐに乗り換えて松浦鉄道の乗り場へ。運賃は2020円。なかなか高額だ。1日乗車券が2000円であることは確認済だったが、時間があまり無いことと、額に差が殆んどないことから、券売機で普通に購入。

2020円の切符
松浦鉄道の駅標

 始発なのでここでも座席は確保。ただ、沿線には学校が多いのか、やたらと学生が目につく。夕方4時という時間の問題もあるかもしれない。部活/クラブ活動等は無いんかいな。クリスマスだから家に帰るのか。

 たびら平戸口駅  12/25(火) 17:15  総営業キロ 1030.9km JR九州乗りつぶし 409.2km

 一時間ほど走って、たびら平戸口到着。列車待ち合わせのため4〜5分停車となるが、電車が停まった場所が改札から遠く、且つ購入している切符が普通乗車券のため改札をくぐることもできず。やむなく車内からの撮影に。

たびら平戸口駅
「日本最西端の駅」の看板

 松浦鉄道、すっかり開き直って「日本最西端」の表示。

 対向車が来て、すぐの発車。ここからは見せ場もなくただ進むだけ。道中、清峰高校前という駅もあり、ああここが清峰なんやなぁ、と実感。最後のほうには日本で一番駅間の距離が短い佐世保中央→中佐世保駅間も通る。佐世保中央駅で扉が閉じてから中佐世保駅で扉が開くまでわずか40秒。電車は加速も減速もゆっくりだから、この時間は驚異的。距離にして200mほど(営業キロ数も200m)だが、佐世保中央から中佐世保を見ることはできなかった。京阪だったら千林から土居(2つ先)まで見えるのに。

 佐世保駅  12/25(火) 18:47  総営業キロ 1073.5km JR九州乗りつぶし 409.2km

 本日2度目の佐世保駅。すっかり日も暮れて先ほどの駅とはまた趣が違う。次に乗ります電車は、これまた本日2度目の特急みどり。今度のみどり28号は、肥前山口駅でかもめと連結しての2階建て。目的地は今度こそ博多駅。  早岐で2度目のスイッチバック。今度は勝手知ったるもので、「あ、早岐やわ。方向変わるわ」てなもんで軽くいなす。

 佐世保線を走るので、再度バルーンさが駅を見ようと試みるが、通過時間は20時近くであり、この日は営業をしていない駅なので真っ暗。おぼろげにホームは見えたが、前回普通列車で昼間に撮れなかった写真が、特急に乗って夜にちゃんと撮れるはずもない。そして当然の如く失敗。つまんないので博多まで不貞寝。

 博多駅  12/25(火) 21:00  総営業キロ 1190.5km JR九州乗りつぶし 409.2km

 博多駅到着。仕事で何度も訪れている駅なので、取り立てて感慨深いこともなく。

博多駅

 到着が21時と夜も更けている時間ではあるが、この日はまだ終わりではない。この後、特急のドリームにちりん宮崎駅まで向かうのだ。この特急、ふだんは「にちりん」として大分や別府などから宮崎を結んでいるものなのだが、1日に1本だけ博多から出て宮崎空港駅まで向かうものがあり、これがドリームにちりんと呼ばれている。距離が違うのはもちろん、一番大きな違いは夜行になっていることである(寝台ではないので寝台券は必要ない)。

 博多発が22:51、そして終点の宮崎空港駅到着がなんと翌日の6:43。8時間の長旅なのである。しかも実際は8時間もかからず、大分で何故か2時間ほど停車するという訳がわからない運用になっている。博多から出る時間が夜であり、実際には小倉より先に帰る人などが終電として使うらしいので、意外と混むことが知られている。

 残念なことに、先述したとおり周遊券は指定席が取れないので自由席に座らざるをえない。にも関わらず、前述どおり博多から小倉くらいまでは混雑が予想される。ということで、出発まで2時間弱あるのであるが、駅から遠出せずに晩飯を済ませ、早々と並ぶことにした。

 駅前は9時を過ぎると普通のお店はあまりやっておらず、もっぱら居酒屋系ばかり。私は下戸であるし、そもそもそんな悠長に飲み食いする気もない。仕方なく、駅の横にあるバスターミナル地下で唯一開いていたモスバーガーで晩飯。長旅に備えておにぎりを数個買い込み、22時過ぎにはホームで電車を待つ。来る気配がないホームで(時間が早いから)ひたすら動かずに待つのはこの季節には堪えるが、出発時間20分前ともなると列も多少長くなり、判断は間違っていなかったことに自分を納得させる。

 やがて来たドリームにちりんは5両編成。1両のうち半がグリーン車、もう半分と次の車両の半分(合計1両分)が指定席で残りが自由席と、かなりややこしい運用だが、自由席と書かれたプレートの前で待っていたので混乱はなし。早速、ボックス席の窓際の進行方向向きを確保することに成功。

 しかしながら問題はまだある。小倉駅で鹿児島本線から日豊本線に変わり、この列車はスイッチバックをして方向を変えるのである。従って、いま進行方向に向けて座っていても、小倉からは逆方向になるのである。

 佐世保線では佐世保−早岐の短い区間だけ逆を向いているからよかったものの、今度は博多−小倉間がおよそ1時間。逆向き区間が前回よりも相当長い。リスクを冒してまで逆方向に乗るか、小倉から逆を向いて座れることを望んで博多からは進行方向向きに座るか。死活問題だったが、1時間は苦しいだろう、ということで目先の利益を見て進行方向に座ることに。

 ドリームにちりんは遠い宮崎向けて出発。次の目的地は宮崎空港の若干手前、宮崎駅。到着は7時間37分後の翌日6:28。

 日付が変わるので今回はこの辺で。次回は宮崎から南での攻防へ。


路線乗りつぶし経過

実際の路線 乗りつぶした範囲
路線名 営業キロ 営業キロ 達成率
JR
九州新幹線 新八代−鹿児島中央 137.6 0%
山陽本線 下関−門司 6.3 下関−門司 6.3 100%
鹿児島本線 門司港−八代 232.3 小倉−鳥栖 95.8 41.2%
川内−鹿児島 49.3 0%
香椎線 西戸崎−宇美 25.4 0%
篠栗線 桂川−吉塚 25.1 0%
三角線 宇土−三角 25.6 0%
肥薩線 八代−吉松 124.2 0%
指宿枕崎線 鹿児島中央−枕崎 87.8 0%
長崎本線 鳥栖−長崎 125.3 鳥栖−長崎 125.3 100%
喜々津−浦上 23.5 喜々津−浦上 23.5 100%
唐津線 久保田−西唐津 42.5 久保田−山本 36.2 85.2%
筑肥線 姪浜−唐津 42.6 0%
山本−伊万里 25.7 山本−伊万里 25.7 100%
佐世保線 肥前山口−佐世保 48.8 肥前山口−佐世保 48.8 100%
大村線 早岐−諫早 47.6 早岐−諫早 47.6 100%
久大本線 久留米−大分 141.5 0%
豊肥本線 大分−熊本 148.0 0%
日豊本線 小倉−鹿児島 462.6 0%
日田彦山線 城野−夜明 68.7 0%
日南線 南宮崎−志布志 88.9 0%
宮崎空港線 田吉−宮崎空港 1.4 0%
吉都線 吉松−都城 61.6 0%
筑豊本線 若松−原田 66.1 0%
後藤寺線 田川後藤寺−新飯塚 13.3 0%
合計 2121.7 合計 409.2 19.3%
私鉄
松浦鉄道 伊万里−佐世保 80.8 伊万里−佐世保 80.8 0%
合計 80.8

全て「営業キロ」で計算しています。
小倉−西小倉間は鹿児島本線と日豊本線で重複しています。



経費
JR 周遊きっぷ(ゆき) 7600
周遊きっぷ(ゾーン) 14500
あかつき(特急+寝台) 9450
松浦鉄道 乗車券 2020
小計 33570


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