第92回
JR九州周遊の旅 Vol.5

 5日目。周遊きっぷ最終日。残り1日で274.4kmを乗りつぶす旅のはじまり〜。

 鹿児島中央駅  12/29(木) 6:04 総営業キロ 3325.4km JR九州乗りつぶし 1847.3km

 この日の出発はかなり早い時間。これは、後に控えている吉都線と肥薩線の残り部分、それに日南線を効率よく乗りつぶすため。

 まずは肥薩線の乗るため隼人駅に移動。ぜいたくな使い方だが、30分だけ特急きりしま2号に乗る。

 隼人駅  12/29(木) 6:36 総営業キロ 3325.4km JR九州乗りつぶし 1847.3km

 隼人駅。まだ暗い。

隼人駅
駅舎

 暗すぎて駅舎のライトアップが不気味だ。

 次なる目的地は都城駅。路線図を見ると、日豊本線で9駅しかなく、特急などを使えばあっという間に着きそうな距離である。しかし、既に日豊本線は制覇しており、ここで特急に乗っても意味が無い。私が乗るのは肥薩線、吉都線経由の都城行である。私が残している肥薩線と吉都線を100%埋めてくれる、それはそれはありがたい編成である。

 肥薩線は人吉と吉松の間が超閑散区域であることは先述のとおりだが、南側にあたる吉松−隼人間はそれなりに走っている。しかも、2本に1本くらいの割合で、吉都線に乗り入れて都城(列車によっては宮崎まで)に乗り換えなしで行けるのである。これを使わない手は無い。

 実際には今から乗ろうとしている列車の1本前に隼人から宮崎行があったのだが、隼人発が5:54ととんでもなく速く、鹿児島中央からでは間に合わない。隼人駅前に宿があるかわからなかったのでこの案は回避し、この時間にしたのである。

 肥薩線南側は、これでもかというくらい長閑な場所を走る。古い駅舎も多く、見どころもたくさん。特に、隼人から嘉例川駅と大隅横川駅は有名で、完成してから既に100年が経過しているというその建屋は非常に趣きのある風格を持っている。

 ただ、残念なことに、列車に乗っていると駅舎を正面から見ることができない。停車中に、「ああ、古そうだなぁ」とちょっとした感慨にひたるのが限界である。

 吉松駅を過ぎ、列車は肥薩線に別れを告げ、吉都線に乗り入れ。ここからは宮崎県を南下することになる。が、肥薩線と比べて車窓に楽しみがなく、すぐに夢の中。

 都城駅  12/29(木) 9:48 総営業キロ 3455.5km JR九州乗りつぶし 1946.3km

 隼人から実に2時間40分をかけ、ゆっくりと都城に到着。肥薩線、吉都線制覇。

都城駅
駅舎

 次の目的地は南宮崎駅。再び日豊本線に乗り換え。特急きりしま4号で向かう。

 南宮崎駅  12/29(木) 10:49 総営業キロ 3502.9km JR九州乗りつぶし 1946.3km

 南宮崎。2日目に特急きりしまで通過だけはしていた。ドリームにちりんの終点だった宮崎駅とは隣。総営業キロもここで3,500kmを突破。時間的に4,000kmは厳しいか。

南宮崎駅

 この次は、宮崎空港線宮崎空港駅へ。宮崎空港線はわずか1.4kmの盲腸線だが、空港へのアクセスとして使われており特急も通る。さらに、鉄ちゃんには有名だが宮崎−宮崎空港間だけは特急の特例区間になっており、特急をこの区間だけ乗る場合に限り、なんと乗車券のみで自由席に乗車できるのである。私は周遊きっぷユーザなのでこの特例は関係ないのだが。

   宮崎空港線は、正確には南宮崎から1駅宮崎空港寄りの田吉駅から宮崎空港駅まで。1.4kmは現在のところJR線の中で最も営業キロが短い路線である。

 南宮崎−田吉間は日南線。まだ未乗なので、ちょっとだけ先取り。

 宮崎空港駅  12/29(木) 11:05 総営業キロ 3506.3km JR九州乗りつぶし 1947.7km

 宮崎空港。

宮崎空港駅
駅入口

 駅舎全景が写せなかったので、入口だけ。

 折り返して宮崎駅に戻る。列車が出るまで25分ほどあり、空港を冷かそうとしたが、冷かすには25分は短すぎた。特に何か見るわけでもなく、文字どおりとんぼ返り。

 宮崎駅  12/29(木) 11:45 総営業キロ 3512.3km JR九州乗りつぶし 1947.7km

 宮崎着。ドリームにちりん以来3日ぶり。前回は夜明け前だったが、今回は真昼間ということもあり明るく外を見渡すことができる。写真撮ってないけど。

 さて、次はいよいよ日南線。終点の志布志まで一気に。日南マリーン号という1日1本だけでている快速がちょうど出るのでこれ幸いと乗る。ただこの列車、「快速」というにはあまりにも停車駅が多かった(28駅あるが、通過はわずか5〜6駅)。長い道のりになりそうなので、宮崎駅で弁当を購入。ただ、日南マリーン号がロングシートである可能性も考え、手軽に食べられるカツサンドに(実際はボックスシートでした)。

 日南線は宮崎の温暖な気候でさらに海沿いを走るため、沿線はプロ野球のキャンプ地がたくさんある。南郷や日南という地名はニュースで結構聞く。天福球場は本当に線路のそばにあり、デカデカと広島のペットマークがあった。青島のほうでは巨人、南郷は…西武は特に見えなかった(ソフトバンクのキャンプ地は日南線沿線ではない)。

 南郷を過ぎると内陸側を走るようになり、車窓は日向灘から山へ。串間まで抜けると今度は志布志湾となりまた海に。最後のほうは海沿いを走る。

 志布志駅  12/29(木) 14:52 総営業キロ 3603.8km JR九州乗りつぶし 2034.6km

 志布志到着。既に15時近い。

志布志駅
駅舎

 駅舎はかなりこじんまりしている。駅員もいなかった。ここがかつて志布志線、大隅線と共に3線が入線していた大きな駅だった面影はどこにもなかった(実際に志布志駅は日南線のみになった後に動いたらしい)。

 乗りつぶしが2,000kmを突破。いよいよゴールが見えてきた。

 日南線は盲腸線なので、基本的には今きた道を戻るしかないのだが、また宮崎に出ても次の一手が打ちづらい。東側には乗り残しは無く、残っている北側にも出づらい。そこで次の一手は鉄道を捨てることに。

 道のりとしては、バスで大隅半島の反対側の垂水に出て、そこから桜島をかすめるようにフェリーで鹿児島湾を渡り鹿児島中央に出るというものだ。これにより、鹿児島中央から新幹線が使え、3時間で博多まで出られるような場所に行くことができるのである。

 日南マリーン号が志布志に着いたのが14:52。志布志から出るバスが15:03。この絶妙な乗継を発見した時は小躍りしたのだが、1つ問題がある。バス停の場所がわからないのだ。手元にあるJR時刻表(冊子)にはバス停の名前が「志布志駅」ではなく「志布志駅上」となっている。そのため、志布志駅の目の前にあるバス停には垂水行が無いのだ。

 乗継時間はわずか11分、焦る私。こうなると逆に乗継時間の無さがうらめしい。意を決し、違う道を歩き始めたところ、なんとかバス停を発見。

バス停

 事前に調べたときには、徒歩5分、それほど遠くないということだったのだが、「5分」は場所がわかってる前提だから11分は今思うとかなり危険だった。このバスを逃すと日南線を戻らなくてはいけなくなり、大変な思いをするところだった。

 バスは志布志港から出ているようで、既に何人かの乗客があった。このバス停でも数人が待っていたが、座ることは問題なかった。1時間くらい走ったところで鹿屋というバス停に着いたのだが、ここでは相当な数の乗客が。殆んど学生。鹿屋体育大学かしら。

 鹿屋からさらに1時間ほど、トータル2時間弱で垂水港に到着。運賃は1,200円。安くはないが、途中でかつての大隅線の遺構(旧駅舎や廃線跡、トンネルなど)を見ることができ退屈はしなかった。旧線の代替バスという役割も兼ねているのだろう。

 垂水港  12/29(木) 16:50 総営業キロ 3603.8km JR九州乗りつぶし 2034.6km

フェリーターミナル

 垂水港には既に船が準備をしていた。この路線は結構頻繁に運航されているようで、大体30〜40分に1本出ている。私は18時ちょうどの便に乗るべく足早に歩を進める。

既に積み込みが始まっている

 荷物が無い(車ではない)ので大人一枚。運賃は360円(当時)。

チケット(ピンボケしてます)

 船内にはこんなものも。

うどんコーナー

 なぜかうどん限定。しかも閉まってた(出航前でやってなかっただけかもしれないが)。いちおうこのフェリーの名物らしい。

 対岸は鹿児島港。実際には鴨池。ロッテが長いことキャンプをやっていた場所だが、現在は撤退している。距離は地図で確認する限りでは15〜20km程度かな。時間は30分。

 鹿児島湾なので、桜島が目の前にある、はずだったのだが、あいにく天気が悪く、殆んど見えない。船上では桜島の解説がされているが、ちっともピンとこない。試しに写真を撮ってみたが、

桜島?

 全然わかんない(手前にある小さい島は何かさっぱりわかりません)。

 鴨池港  12/29(木) 17:35 総営業キロ 3603.8km JR九州乗りつぶし 2034.6km

 鴨池着。車があわただしく降りていく。

鴨池港

 鹿児島中央駅まで徒歩で移動。それほど時間は要せず。

 鹿児島中央駅  12/29(木) 17:45 総営業キロ 3603.8km JR九州乗りつぶし 2034.6km

 志布志以降久々にJRに復帰。ここからつばめ58号鳥栖駅まで向かう。新幹線代はまた持ち出し。

新幹線きっぷ。また4830円也

 途中、新八代で例によってリレーつばめ58号に乗り換え。

 鳥栖駅  12/29(木) 20:31 総営業キロ 3864.1km JR九州乗りつぶし 2034.6km

 鳥栖駅。もう何回目?  ここからは長崎本線佐賀駅まで。初日以来、久々の長崎本線。前回は夜中通っただけ、今回も暗い中を通るだけ。見どころ一切なし(強いて言えばみどり27号が延着して出発が遅れたことくらい)。

 佐賀駅  12/29(木) 21:20 総営業キロ 3889.1km JR九州乗りつぶし 2034.6km

 ついさっきまで鹿児島の海の上にいたのに、もう佐賀。船に比べてまあ写真も見どころもないこと。

 佐賀からは、山本駅まで乗り残した唐津線。この時点でもう21時半近く。まだ未乗区間があり、5日間での完全乗車は断念せざるをえなくなった。そこで宿泊となるのだが、ひとまずは唐津駅まで行くことに。列車は西唐津行だったが、これも西唐津で宿がある確証がなかったので唐津泊を選択したまで。

 唐津線、もう真っ暗で車窓もへったくれもない。どこを走っているやら。でもそれなりに乗客はいた。そら観光客はこんな時間にこの線乗らんわな。

 唐津駅  12/29(木) 22:37 総営業キロ 3935.8km JR九州乗りつぶし 2040.7km

 唐津到着。もう22時半。

 

唐津駅

 今日はここまで。無念…

 途中で予約をした宿へ。駅の目の前なので至極便利。コンビニも駅前にあり、食料を買い込んで宿に入ると、大荷物を持っているにも関わらず「おかえりなさい」と温かく?迎えてくれた。このホテルのマニュアルなんだろうか?

 あと宿ネタをもう1つ。最近のホテルは空の冷蔵庫を各部屋に用意して「ご自由にお使いください」として宿泊客に使わせているが、私の部屋の冷蔵庫を開けたところ、

冷えたわりばし(二膳)

 何かのおまじないだろうか?

 さて、5日間がこれにて終了した。全行程2,121.7kmのうち、2,040.7kmは乗れたが、わずか81km、3.8%だけ残ってしまった。佐賀と福岡しか残っていないのが幸い(そういう風に残したのだが)。

 当然、これで帰れるはずもなく、ついに行程は本来なかった6日目に突入することに。保険で持ってきた青春18きっぷ、使いたくはなかったが使わざるをえない状況になってしまった。西唐津に行かず唐津で泊まった私に振りかかる災難とは!?残り81km、本当に乗りつぶすことができるのか!?(いや、それはできるやろ)。

 つづく。


路線乗りつぶし経過

実際の路線 乗りつぶした範囲
路線名 営業キロ 営業キロ 達成率
JR
九州新幹線 新八代−鹿児島中央 137.6 新八代−鹿児島中央 137.6 100%
山陽本線 下関−門司 6.3 下関−門司 6.3 100%
鹿児島本線 門司港−八代 232.3 門司港−八代 232.3 100%
川内−鹿児島 49.3 川内−鹿児島 49.3 100%
香椎線 西戸崎−宇美 25.4 0%
篠栗線 桂川−吉塚 25.1 桂川−吉塚 25.1 100%
三角線 宇土−三角 25.6 宇土−三角 25.6 100%
肥薩線 八代−隼人 124.2 八代−隼人 124.2 100%
指宿枕崎線 鹿児島中央−枕崎 87.8 鹿児島中央−枕崎 87.8 100%
長崎本線 鳥栖−長崎 125.3 鳥栖−長崎 125.3 100%
喜々津−浦上 23.5 喜々津−浦上 23.5 100%
唐津線 久保田−西唐津 42.5 久保田−唐津 40.3 94.8%
筑肥線 姪浜−唐津 42.6 0%
山本−伊万里 25.7 山本−伊万里 25.7 100%
佐世保線 肥前山口−佐世保 48.8 肥前山口−佐世保 48.8 100%
大村線 早岐−諫早 47.6 早岐−諫早 47.6 100%
久大本線 久留米−大分 141.5 久留米−大分 141.5 100%
豊肥本線 大分−熊本 148.0 大分−熊本 148.0 100%
日豊本線 小倉−鹿児島 462.6 小倉−鹿児島 462.6 100%
日田彦山線 城野−夜明 68.7 城野−夜明 68.7 100%
日南線 南宮崎−志布志 88.9 南宮崎−志布志 88.9 100%
宮崎空港線 田吉−宮崎空港 1.4 田吉−宮崎空港 1.4 100%
吉都線 吉松−都城 61.6 吉松−都城 61.6 100%
筑豊本線 若松−原田 66.1 折尾−原田 55.3 83.7%
後藤寺線 田川後藤寺−新飯塚 13.3 田川後藤寺−新飯塚 13.3 100%
合計 2121.7 合計 2040.7 96.2%
私鉄
松浦鉄道 伊万里−佐世保 80.8 伊万里−佐世保 80.8 0%
南阿蘇鉄道 立野−高森 17.7 立野−高森 17.7 0%
合計 98.5
その他
大隅交通バス 志布志−垂水港 不明
フェリー 垂水港−鴨池港 不明

全て「営業キロ」で計算しています。
小倉−西小倉間は鹿児島本線と日豊本線で重複しています。



経費
JR 周遊きっぷ(ゆき) 7600
周遊きっぷ(ゾーン) 14500
あかつき(特急+寝台) 9450
松浦鉄道 乗車券 2020
南阿蘇鉄道 1日フリー乗車券 1000
九州新幹線 乗車券+特急券 3450
九州新幹線 乗車券+特急券 4830
九州新幹線 乗車券+特急券 4830
大隅交通バス 乗車券 1200
フェリー 乗車券 360
小計 49240


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