デジタルゲートが閉じた。
デジタルワールドに取り残されたのは高石と僕。
「開かない・・・。」
デジバイスにもD−ターミナルにも反応はない。
「何故・・・。」
「どうしてだろうね。」
高石の声は落ち着いている。その落ち着きが僕には異様だった。
何故、彼はこんなに沈着冷静でいられるのだろう。
そうこうする内に眠気に襲われる。
眠い・・・。なんでこんなに眠い?
意識が朦朧としてくる。
そのまま、僕は地面に倒れて行く。
「気がついた?」
「僕は・・・。」
「良く眠ったね。」
目の前にいるのは高石。
デジタルゲートが閉じて、僕達はデジタルワールドに取り残されていた。
高石と僕の二人だけが・・・。
じゃあ、僕は何故倒れたんだろう?
「僕はどうして・・・。」
「だから眠ってたんだって。」
手が動かない。何で・・・。
僕の手は後ろ手組まされ、布切れで縛られていた。
「どうして・・・。」
「これから当分二人きりで生活するんだよ。」
「もしかして眠くなったのも、君が・・・。」
「そういうこと。」
高石は答える。
「何でそんなこと・・・。」
「逃がさない・・・。」
言う高石の目つきは異様な光を放っている。
「解いて・・・。」
「何で?」
「お願いだから・・・。」
高石は僕のうなじに舌を這わせる。
「やぁ・・・。」
「これから、二人だけなんだから君も僕を怒らせない方がいいよ。」
「いやだ・・・。帰りたい・・・。」
「帰れないよ。デジタルゲートは閉じてるし。」
「だったら、帰る方法を・・・。」
僕は必死に高石を説得しようとしたが。無駄だと分かってはいたが・・・。
その目は尋常な目ではなかったから・・・。青く光る目は闇に染まっていた。少なくとも僕にはそう見える。
「ここにいる間は逃げられないよ・・・。」
そう、これが、僕達の闇のサバイバルゲームの始まりだった。