デジタルゲートが閉鎖した。
僕と一乗寺賢は取り残された。
僕は何故かその事実を受け入れた。
というか、僕はこの事態を望んでいた。
僕は取り残される一時間前、一乗寺賢の飲むジュースに睡眠薬を入れた。
自分でも何故そんなことをするのかいまいち分からなかったが・・・。
だが僕は彼が眠ることを望んだ。
気がつくと事態は僕の狂気じみた妄想どおりになっていた。
そして僕は彼を戒め、抱いた。
彼は帰る事を望み泣いた。
だが、僕自身帰る方法など知らなかったし、それを探そうとも思わなかった。
賢は隣で疲れて眠っている。
その顔にはいくつもの涙がはった痕がある。
起きたらまた僕を見て脅え泣くのだろうか。
彼は僕の何?そして僕は彼の何なのだろう?
僕は彼が今までしたことを赦す気もないしましてや大輔君のように仲間とは絶対思わない。
彼は僕にとって決して「好意」の対象ではないのだ。
けれど、僕は彼を抱いた。
苦しめる為に抱いた?
ううん。違う。それも違う。別にそんなことしなくても苦しめる方法はいくらでもあるのだ。
じゃあ何故?
でも一つ言える事。
僕は彼を僕の手元で戒めておきたい。
別に彼の「好意」などさらさら必要ない。
ただ、戒めて、所有して・・・。
それから?
それは自己中心的で破壊的で・・・。
「最低だ・・・。」
僕は苦笑する。