僕は放課後のお台場小学校のパソコンルームにいた。高石と二人きりで・・・。
他の選ばれし子ども達は買い出しなどで外出中だった。
空気が重い・・・。何でよりによって高石と・・・。
僕は高石とあまり話をする機会がなかった。なかったというより、僕が高石を避けていたというのが正確かもしれない。
数ヶ月前、デジモンカイザーだった僕に対して高石は憎悪をむき出しにした。
デジモンカイザーだったころの記憶にはところどころ穴が空いているが、その時の高石の闇に対する憎悪だけは鮮明に覚えていた。
僕はあの頃の事をどんなに後悔したって、高石の憎悪は消せない、そう思っていた。
いつか、光子朗さんからエンジェモンもワームモンと同じように一度死んだことを聞かされてなお更そう思うようになった。
そして、改めて自覚する。自分は償っても償いきれない罪を犯したことを・・・。
僕は高石に何を言ったらいいのか分からなくて、黙っていた。口を開くだけで高石の気分を害しそうな気さえした。
そんな時、高石が口を開いた。
「一乗寺君って僕といるとすっごく無口だよね。」
僕は戸惑った。僕はこれが高石と僕がまともに口をきいたはじめてのことだった。
「えっ?」
「どうしてなの?」
返答に困り僕は下を向いた。
高石が何故僕にそんなことを聞くのか分からなかった。
そして、僕は何て答えればいいのだろう・・・。何を言っても僕がこれまでしてきたことに対する言い訳にしかならない・・・。
「答えられないの?」
高石が静かに僕に迫る。
「あの・・・。」
高石が僕に顔近づける。僕は彼が何を考えているのか分からなかった。
ただ言える事は間近に見る青い瞳が綺麗だけど、冷たくて恐ろしかった・・・。
僕は部屋の隅に追いつめられた。
高石は僕の顎を掴む。
「何で僕から逃げるのさ。」
「逃げては・・・。」
「ほら、今足が一歩下がった。」
高石は僕をからかうように言った。
何故かどうしょうもなく怖い・・・。それがどうしてなのかは分からないけれど・・・。
「えっ・・・。」
僕は高石の行動に驚愕する。
高石は自分の唇を僕の唇に押し付けた。そのまま僕の唇を吸う。
そして舌を侵入させ、僕の口内を弄ぶ。高石のだ液が僕の口の中に入る。
苦しい・・・。僕は唇を外そうとするが高石は逃がしてはくれない。舌は生き物のように僕の口内を好き勝手に動き回る。
どうしょうもない感覚・・・。
不意に高石は唇を外した。
僕は体中が熱くなっていた。
「何で、こんなこと・・・。」
「何でって、君がして欲しそうだから・・・。」
「そんなの、知らない。」
「そんなに僕が怖い?さっきからずっと腰が引いてるし・・・。」
怖い・・・。
「僕が怖いから僕を避けているの?」
彼は僕が避けているののを知っていた。
「別に・・・。」
「どうでもいいけど・・・。」
「いいこと教えてあげる。」
言うと高石は僕のズボンの上から僕のを触わる・・・。
僕の全身が反応する。
「へぇ、君って触わられただけで反応するわけ。」
「やめて・・・。」
だれにも触わられた事がなかった。
高石は僕のズボンジッパーを降ろす。
「何で、こんなことするの?」
「思春期なら誰でもすることだよ。ただし一人でだけどね・・・。」
高石は僕のを指で弄び、それに指を入れる。自分ですら触わらないそこは狭くて、指一本で痛みが僕を襲った。
「つっ・・・。」
僕は顔しかめる。
「指一本でそんなに痛がってちゃだめだよ。」
高石はただでさえ痛むのに中で指を動かす。
身体が拒絶反応を起こすように叫びを上げる。
「初めてだから、こんなものなのかもね。」
「指、抜いて・・・。」
「何で?これからなのに・・・。」
言いながら容赦なく指を動かす。
「やぁぁ・・・。」
何でこんなことされるんだろう・・・。
僕には分からなかった。
僕が憎いから?
「大輔達が来る、から・・・。」
「見られたらやっぱりまずい?他の人間とやってるところなんて・・・。」
「違う・・・。」
「へぇ、まだ大輔君とはやってないの?」
「大輔とはそんなことしない。君ともしたく、ない。」
大輔?どうしてその名前が・・・。
僕は焦った。大輔に寄せている思いがあったから焦った。
高石はそれを知っている?
「ほんとはしたいくせに。」
液体が僕の太股を濡らす。
「だって、僕の指でこんなの出してるんだよ。」
「お願い、やめて・・・。」
その時だった。足音が聞こえる。買い出しに行っていたメンバーが帰ってくる。
「今日のところは赦してあげる。」
言って高石は指を抜く。
そして僕は指を抜かれたことにより、急にポッカリ穴が空いたような空虚な感覚に襲われる。僕の中は何か埋めるものを求め、無意味に熱くなっていた。
「もしかして、まだ入れて欲しかったの?でも人が来ちゃうよ。」
言いながら高石はクスクス笑っている。もしかしてこうなることを知ってて・・・。
大輔達が帰ってきた。
「ただいま〜。」
「お帰り、大輔君。」
「お前ら仲良くしてたか?」
「うん、色々話せて楽しかったよ。ねっ、一乗寺君。」
そう言って笑いながら僕の方を見る高石。その笑いにゾクリとさせられたのは僕だけだろう。
僕は身体の熱を抑えながら、平常を装う。
「う、うん、そうだね。」
さっきの高石は何だったのだろうか・・・。僕を憎んでいるゆえの行為・・・なのだろうか。
ますます高石が分からなくなる。
そして大輔の名を口にしたこと・・・。怖くなった。
青い瞳には何が映っているのだろうか。僕の醜い心までもが映っているのだろうか。
僕はこれからずっと今日のことを隠し続けるだろう。大輔にも・・・。
そして何人騙すことができるだろう。
しかし、あの青い瞳の前では全てを裸にされてしまう・・・。
これは僕が行ってきたことに対する罰なのだろうか・・・。