小沢さんの性格から、結婚話は急ピッチですすんだ。同僚に結婚の報告をすると、あまりの急な話にみんな、驚き、祝福の声、大きな声では言えないが、同情の声を聞いた。
そして、当日、結婚式はお互いの家族、親戚をはじめとし、同僚やお互いの学生時代の友人等を呼んで、一般的に、盛大に行われた。小沢さんはというと、ウエディングドレスが思っていた以上に似合っていて、僕は隣に並んでいて、恥ずかしくてたまらない。僕が離れようとすると、小沢さんは強引に腕を掴んできて・・。何だか、これからの自分の運命を暗示しているような気もしたが・・。とりあえず、僕もこの女性を愛しているということで・・。(これは本心から)僕達は結婚する。
「おめでとうございます。氷川さん。小沢さん。」
津上さんと真魚さんが、祝福の言葉を贈ってくれる。あいかわらず、津上さんは心から嬉しそうにニコニコ笑っている。真魚さんと並んでいると、いずれ、二人もこうなるのかなと、思わずにはいられないほどの、微笑ましい光景。津上さんの性格からすると、その話は遠い未来であるかもしれないが・・。
「おめでとうございます。」
と尾室さん。
そして、僕に耳打ちした。
「氷川さん、頑張って下さい・・。」
「何か言ったかしら?尾室君?」
小沢さんが尾室さんの微笑みかけた。が、顔は笑ってない。
「い、いえ、小沢さんが綺麗だなぁってことですよ。」
「そう、ならいいけれど。」
結婚式は順調に進んでいく。
そして、誓いのキス。
小沢さんが小声で、
「氷川君、行くわよ。」
僕はまだあまり、心の準備が整わなくて・・。
「えっぇぇ・・。」
「なーに、情けない声出してんのよ。それとも、私のコト、嫌いなのかしら。」
「い、いえ、そんなことは・・。」
僕達がなかなかキスをしないので、会場はざわつきはじめた。
「ホラ、さっさとやりなさいよ。私に恥かかせる気?」
「す、すみません。」
僕は、息を呑み込んで、一気の小沢さんに口付ける。
何か、初めてのことで、照れくさいけれど、少し嬉しくて・・。
そして、これが、恐怖?いや、幸せな結婚生活のはじまりなのだ。
僕達は幸せになるだろう・・。ということにしておいて・・。
そう、IQ180の天才科学者はついに僕のお嫁さんになってしまったのだ。
我ながら、すごい人生送ってるかもっと、ついつい実感してしまう僕であった。