【My petted waitress】
「きゃー、一乗寺君、似合いすぎ〜。」
「というか、絶対その辺の女子より美人だよね。」
賢のウエイトレス姿があまりにも、はまりすぎていたため、クラスの女子が賢のまわりに集まって、騒いでいた。
そもそも、普通の格好をしていても、時々女子と間違われるくらいの、繊細で、可憐ともいえる顔立ちの上に、髪の毛も肩すれすれまで伸ばしているので、これで女装が似合わないわけがないのだ。
「ホラ、この髪、すっごく柔らかいし。」
「綺麗だよね〜。」
賢は、顔を真っ赤にして硬直していた。第一、男として女装を誉められる事ほど屈辱的なことはないと、賢は思った。
女装した男子も、
「お前、女子でも結構やっていけるんじゃないか。」
などと口々で騒いでいた。
(みんな勝手なことばかり言って・・・。)
(何で僕のクラスってこんなこと思い付くんだよ・・。早く脱ぎたい・・。)
女子は裏でケーキなどを皿に盛り、ウエイトレスの格好をした男子が注文を取り、客に運んでいくのだが、女装喫茶の筈が、賢は、何度か、本物の女子と間違われてナンパされてしまうありさまであった。その度に、賢は、この催しを提案した人間を密かに恨んだ。
「ねぇ、君、すっごく可愛いね。」
(まただ。いい加減にしろ・・。)
賢は、こめかみを引きつらせた。
「僕は男です。」
聞き飽きた台詞に苛立ちながら、賢は、ぶっきらぼうに答えた。
「知ってるよ。」
「えっ?」
(そう言えばどこかで聞いた事がある声・・。)
よくよく、本人を見てみると、滅多に見かける事ができない、鮮やかな金髪に青い瞳・・。
「た、高石・・。」
タケルは部活があったのか、日曜日にも関わらず、制服を着ていた。
「こんにちは。」
タケルはニッコリ笑った。その笑顔は一瞬、客としている女子だけでなく、後ろの仕事に回っていた女子も見とれてしまい、表にぞろぞろ、出てきていた。
「金髪よ・・。」
「すごい、かっこいいね。」
「一乗寺君の友達?」
「何か、絵になるよね・・。あの二人・・。」
女子が口々に囁いているのが聞こえる。
「彼女いるのかなぁ・・。」
賢は、自分達が注目を浴びているのが、無性に嫌で、怪訝そうな顔をした。
「な、何してるの?」
「うわ、心外だなぁ・・。」
「だって・・。」
周囲を気にしながら、賢は、タケルの顔を見た。相変わらず、自分達のことを言っている声がコソコソ聞こえるのだ。
「部活の帰り。」
「そうじゃなくて・・。何でここにいるの?」
賢は極力小声で話そうと努力していた。
「ほんと、言う事キツイなぁ。一乗寺君は。言ってたじゃない。今日学園祭があること。」
(あっ・・。そういえば・・。)
賢は以前タケルと会った時にそういうことを漏らしていた事を思い出した。
(しまった・・。)
賢は、自分の不覚を呪った。まさか、自分の女装をタケルに見られるとは・・。
「でも、ほんと可愛いね。いいもの見せて貰っちゃった。」
タケルは嬉しそうに、言った。
「で、お客様、注文は?」
賢は不機嫌な声で言った。
「じゃあさ、一乗寺君。」
タケルはニッコリ笑う。ただでさえ、女装を見られて不機嫌な賢はさらに、顔をしかめる。
「あの、さ、いい加減にしないと、怒るよ。」
小声で言う。
「ごめん、ごめん。じゃあ、これ。」
言ってタケルはメニューのケーキセットを指差し、チケットを賢に手渡す。
「これ、いつ終わるの。」
「えっ?僕はあと10分くらいで交代だけど。」
賢は嫌な予感がした。
「だったら、後で回るの付き合ってよ。」
「う、いいけど・・。」
(絶対何かある・・。)
と思いつつ、賢はタケルの確信した笑みに断りきれなかった。
少ししてから、賢がケーキセットを持ってくる。
「どうぞ。」
「ここのウエイトレスって随分無愛想じゃない。」
タケルはからかうように言った。
「ほっといて。」
賢は怒ったように言う。
「怒らないでよ。可愛い顔が台無しじゃない。」
「可愛くないっ。」
「じゃあ、着替えてくるから。」
賢はエプロンを外しながら席を離れようとする。
と、突然タケルに腕を掴まれる。
「今度は何なの?」
「いいじゃない。このままで。」
「えっ・・。い、やだよ・・。恥ずかしい。」
「だって、折角可愛いのに。」
「嫌だよ〜。」
「だったらいいの?ここで、僕がキスとかしちゃうかもよ。僕はこの学校じゃないからどうとでもなるけど、君はどうかな?」
タケルは少し、意地悪そうに笑う。
「う・・。」
そういう時のタケルは本当にやりかねないことを賢は十分すぎるほど思い知っていた。こんな所でキスなんぞされてしまったら、それこそ、学校に行けなくなる。賢はしぶしぶ、従う事にした。
「わ、分かったよ・・・。」
(この卑怯者が・・・。)
「食べさせてあげよっか。」
「いらない。」
嬉しそうにケーキを口にする、タケルを不機嫌そうに見ていた。
(何だって、こんなことに・・・。)
そして、タケルがケーキを食べ終わり・・・。
「じゃあ行こうか。」
「う、うん・・。」
二人は席を立ち、教室を出た。
二人が歩いていると、やはり、他人の羨望視線とヒソヒソ声が絶えない。はたから見ると、誰から見ても見目良い彼氏・彼女といったところであろう。それが賢には嫌で嫌でたまらない。
「やっぱり嫌だよ・・。僕が男だってばれたら変態じゃない・・。」
「大丈夫だって。みんな女の子って思い込んでるみたいだし。もしばれても、イベントだって言えば、済む事でしょ。」
「それでも、嫌だ・・。」
二人は適当にいくつかのクラスの催しを回った。
「もう、いいでしょ。」
賢は相変わらず不機嫌な顔だった。まさか、自分が係が終わった後でも、女装する羽目になるとは思わなかった。周りの視線が気になる。恥ずかしさやら色々なことを考えて疲れてしまった。
「疲れたみたいだね。じゃ休もうか。」
二人は、とりあえず、学園内で一番人気のない所で休む事にした。
「ここがいいんじゃない。」
とりあえず、催しに使われてなく、誰も来そうにない、倉庫の前で二人は座った。
「ふぅ・・・。」
賢は本当に疲れてしまい、大きく息をついた。
「お疲れ様。」
タケルはニッコリ笑う。
「もう、このカッコ嫌だよ・・。疲れるし・・・。人がじろじろ見るし・・・。恥ずかしいし・・。」
「そう?可愛いからいいじゃない。」
「そういう問題じゃ・・。」
賢がムッとして反論しようとすると・・・。
「んっ・・・。」
タケルが賢の唇を自分の唇で塞いだ・・・。
「んー・・・。」
賢がもがいている間に、タケルの舌が賢の歯を割って、侵入してきた。そのまま、口内を弄ぶ。
「んふぅぅん・・・。」
賢は、その舌の動きに反応してしまい、腰がガクガクしはじめ、顔は耳まで赤く染め、目には涙を溜めていた。一生懸命タケルの唇を離そうとするが、もはや無駄な抵抗であった。
「ん・ん・・・。」
少しの間、弄ぶとタケルの唇が音をたてて離れる。
「なっ、何するんだよ。」
賢が非難の目でタケルを見た。
「だって、あんまり可愛かったから。」
言いながら、すでに、手は、ブラウスのボタンを外しにかかっていた。
「やめろよ。」
賢は怒って手を振り払おうとしたが、さっきのキスで全身の力を奪われてしまい、手の自由がきかない。
「あんまり怒ると、人が来ちゃうよ。見られてもいいのかな?」
賢はハッとして口を手で抑えた。
「いい子だね。」
ブラウスの間から、白い肌がのぞく。
タケルのそこに舌を這わせ・・・。
「ひゃぁ・・・。」
賢の胸元は舌に反応し、ピクピク動く。
「やぁ・・・。」
「あはぁ・・・。」
「もう、やだ・・・。」
タケルの舌は賢の白い肌を這い、賢の口から声を導き出す。
そのままタケルはスカートに手を忍ばせる。
「やだっ・・。人が・・・き、ちゃ、う・・・。」
「大丈夫だって。」
そして、太股を手で巧みに愛撫していく。
「やだぁ・・・。」
「あはぁあ・・・。」
「やはぁ・・。」
次第にタケルは賢の太股を愛撫しながら、奥まで探りあて、指で触れる。賢は、そこに触れられていることを身体で感じしまい・・・。
「そ、こは・・・。やぁ・・・。」
「そこは、どうなのかな?」
「やめ・・。」
「ほら、こんなにぐしゃぐしゃにして、さっきまで女装してるのたくさんの人に見られたから感じちゃったのかな?」
言いながら、タケルは、白い液体を指につけ、賢に見せる。
「やだっ・・・。」
賢は、恥ずかしくて、更に顔に赤い花をさかせ、液体から目をそらす。しかし、賢のそこは、すでに、感じていて、ポタポタと白い液体が落ちていた。
「やだなぁ・・・。こんなに出しちゃって・・・。あとからティッシュで拭かないとやばいよ。これ。」
タケルはさも嬉しそうに言った。
そして、指を中に入れる。
「痛・・・。」
「大丈夫だって、こんなに濡れてたらすぐに気持ち良くなるって。」
タケルは言いながら中で指を動かしていく。
案の定、賢の声はすぐに快楽方向へ導かれていった。しかし、理性は、まだ、残っているらしく、賢は、快楽に震えながらも・・・。
「やめ、て・・・。人が・・・。」
「誰も来やしないよ。」
「でも・・・。」
「いいじゃない。こんに可愛いんだから。」
「やぁ・・・。」
「聞こえやしないから、可愛い声聞かせてよ。もう、我慢できなくなってる筈だよ。」
賢は少しの間頑張っていたが、ついに、意識が遠のき・・・。
「やはぁあぁん・・・。」
「あはぁあぁん・・・。」
「ホラ、出せるじゃない。」
「もっと聞かせて。」
クチュクチュという粘着質な音が響く。
タケルは指で賢の声を導き出していく。
「はぁぁんんん・・。」
「やだぁんん・・。」
「あはぁああん・・・。」
そのまま、賢の意識は沈んでいく。
そして、しばしの眠りに落ちていった。
タケルはそんな賢を見てクスリと笑う。
「一乗寺君、可愛すぎ。」
そして、もう一度、賢の唇に口付けた。
その後、意識が戻った賢がひどく怒って口をきかなかったのはいうまでもない。