「お邪魔します。」

「すごく濡れてるね。傘、持ってなかったの?」

「いや来る時降ってなかったから・・・。」

僕は今日は高石と一緒に宿題をやるという約束で彼の家を訪れた。

その途中で雨に降られた。僕はうかつにも空が曇っているのに傘を持ってくるのを忘れたのだ。

「シャワー浴びたら?そんなんじゃ風邪ひいちゃうよ。」

「うん、ありがとう。」

びしょ濡れだったので、僕は彼の言葉に甘えさえてもらうことにした。

僕は高石に浴室を案内してもらった。

「ここに、タオル置いとくから。ボディソープはこれ。」

「ありがとう。」

「じゃ、ゆっくりしてね。」

僕は浴室に入り、シャワーの詮をひねり、お湯を出す。

雨でびしょびしょになった身体を洗い流す。

その時だった。浴室の戸が開けられた。

僕は後ろから両腕で抱きしめられる。無論、高石である。彼もまた服を全て脱いでいた。

直に高石の体温が伝わり、奇妙なくすぐったさを感じる。

「何の、つもり、なの?」

「僕もシャワー浴びたくなってね。」

言って高石は僕のうなじに舌を這わせる。

「やだぁ・・・。」

僕は思わず高石の舌に感じてしまう。高石の身体一層僕に密着する。高石の体温が僕の体内まで侵入している感覚に襲われる。更に、浴室の蒸せた空気が僕の体温を高くする。

「最初からこんなに感じちゃうなんてね。」

高石はクスクス笑う。

「何で、こんな、こと・・・。」

「だって濡れている君って、すごく色っぽいから。」

「いっそ、ここでやっちゃうのもいいかもね。」

「や・・・。」

シャワーの音が僕の拒む声を掻き消す。

高石は自分の指にボディーソープをつけ、僕の太股まで手を伸ばす。そして僕のを探り、指を入れる。

ボディーソープのぬるぬるした感触は痛みとは違う、異物感を感じさせ、僕の頭はどうにかなりそうだった。

ボディーソープの泡と白い液体が僕の太股に流れる。

「やぁぁ・・・。」

「気持ちいいでしょ。」

「こうすると、痛くないし、すごくエッチな気分にならない?」

「そんなの、分からない・・・。」

場所も場所で、僕の体温はかなり上昇しているようだった。

体中火照り、意識が朦朧としてきた。いつの間にか僕はいやらしい声を連発していたのだ。

「やぁぁん・・・。」

「はぁぁぁん・・・。」

「やだぁぁ・・・。」

「すごく、可愛いよ。」

「こういうところで濡れてる君とやるのってすごくゾクゾクするよ。」

そう言って高石は僕に重なり、僕の中に入ってくる。

「やぁぁん・・・。」

熱い・・・。

更に僕の体温は上昇する。

「やぁぁぁ・・・。」

「こういう場所で入れるのって興奮しちゃうよね。」

高石が僕の中で動いてくる。さっきからの火照りおかげか、痛みは感じなかった。

ただ、奇妙な快楽に襲われるのみだった。その時の僕の思考能力はないに等しいところまでいっていたのだろうか。

本能のみで高石の動きに僕の身体は応える。

熱い、熱い、熱い・・・。

そのままシャワーの音が遠ざかっていく。

「一乗寺君。」

その声で僕は目を覚ます。

「僕は・・・。」

「気を失ってたんだよ。」

「あっ・・・。」

そういえば、僕は高石と・・・。

高石の顔を見ると、思い出してしまった。さっきまでのことを・・・。

急に顔が熱くなる。意識が薄れていたとはいえ、あんないやらしいことをしていた自分に戸惑い、後悔した。

「さっきの一乗寺君、いつも以上に乱れてた。」

高石は嬉々として言った。

「やっぱ、お風呂はいいよね。」

「もう、上がる・・・。」

僕はふらふらになりながら、浴室を出る。

「大丈夫?」

と高石。

(自分でやっといて・・・。)

「大丈夫だから・・・。」

僕は空笑いをする。全然笑えない状況なのだが・・・。

「そう、良かった。じゃ今度はベッドでやろっか。気分も乗ってきたしね。」