ナガレとダイモンが何とか、花見の場所取りに成功した。

そして、弁当を作り終わった、マツリ、ジャンケンの件でいがみあいながらも、マツリにせかされ、準備を終えた、マトイとショウ、そして、どさくさに紛れて、新聞を持って、ビクトリーロボの所に、隠れていた、父、モンドも、桜の咲く公園に到着した。

場所的には、六人座るには狭いくらいだった。しかし、ナガレとダイモンが到着した時は、広々と使える場所など、とっくに占領されていて、これでも、必死で探してかろうじて見つけた場所だった。

「何でもっと広い場所が見つからなかったんだよ。」

愚痴り始めたのが、マトイだった。

「何だよ・・・。だったら、マトイ兄が自分で・・・。」

ボソリと漏らすダイモン。

「何か言ったか。ダイモン。」

マトイがジロリとダイモンを睨む。

「なっ、何でもないよ。」

ダイモンは慌てて誤魔かし笑いをした。

「ちょっと、寄れよ。ショウ、お前きついんだよ。」

「マトイ兄こそ太ったんじゃないの。」

「何だと。」

マトイとショウが押し合いを始めた。朝から喧嘩していたので、その日は、ちょっとしたことで、突っかかってしまうらしい。

「もう、お兄ちゃん達、暴れないでよ。」

マツリが声をあげる。

「そうだよ。穏便にいこうよ。」

必死で抑えようとするダイモン。

ナガレがダイモンに目配せした。

(ほっとけよ。)

と言わんばかりに。

思わず苦笑するダイモン。

気がつくと、重箱の蓋を開けて、すでに、卵焼きに手をつけていたのが、一人。父、モンドである。

「おい、親父、どさくさに紛れて、一番でかい卵焼き食いやがって。」

ショウがモンドに食ってかかる。

「ほんとだ。父さんずるいよ。」

負けじとダイモンが加勢する。

「つーか、親父朝から何もやってないだろ。」

「マツリ、この卵焼き、まさに母さんの味だな。」

モンドはショウとダイモンを受け流すように言った。

「大分、母さんに近づいたかな。」

マツリが少し照れながら、嬉しそうに言った。

「俺は食うぞ。」

マトイが勢いよくチキンを手にした。それに続けと言わんばかりに、ショウ、ダイモンが重箱のおかずを奪取する。そして、マイペースにナガレが、おにぎりを手にした。そして、お花見が開始された。

「でも綺麗だよね。桜って。またお父さんとお花見にこれて良かったな。ねっ、お兄ちゃん達。」

マツリがしみじみと言った。

しかし、その側で、桜に目も向けず、ガツガツと食べている4兄妹。

「って、お兄ちゃん達、何しにきたのよ。」

「そりゃ、勿論弁当食いに。」

ショウがあっけらかんとして言った。

「呆れた。もうちょっと味わって食べてよね。」

言いながら、マツリはウインナーをパクリと口に入れた。

「おお、美味いぞ。マツリ。」

「ありがと、お父さん。」

それから、かなりの勢いで重箱のおかずとおにぎりはなくなった。

「あ〜、食った。食った。」

さも満足そうに、腹を抱える、マトイ。他の兄弟三人も同じくだった。

「全く、お兄ちゃん達ったら桜見ないでお弁当ばっかり。」

呆れ顔でマツリが言った。

「でも、来年も行きたいな。お父さんと、マトイ兄ちゃんと、ナガレ兄ちゃんと、ショウ兄ちゃんと、ダイモン兄ちゃんとお花見。」

「そうだな。今度は、災魔を倒して、平和な地球で、だな。」

マトイが言うと、他の四人が頷く。その時、五人の気持ちはまさに同じだった。今度は災魔に脅えることなく、巽家を含め、全ての人間が安心して暮らせるように、闘うことを決意したのだった。

「だろ。親父。」

ショウがモンドに同調を求めた。

しかし、反応がなかった。

「おい、親父。」

低いいびきが聞こえてくる。

「って寝てるよ。全く、親父の奴、何か腹立つから叩き起こして・・。」

ショウがモンドの肩を揺らす。

「もう、やめなよ。ショウ兄ちゃん。」

マツリが慌ててショウを止める。

「お父さんも、きっと分かってる。」

そして、マツリが微笑んだ。

「おお、そう言えば、菓子持ってきてただろ。早いもんがちだ。」

マトイがスナック菓子の袋を開け、がっついた。

「あ〜、兄さんずるいよ。」

そして、また、菓子にがっつき始める、4兄弟。

「もう、お兄ちゃん達は・・・。」

半ば、呆れ、半ば少し嬉しそうに、マツリもチョコレートを口に入れた。

そして、モンドは相変わらず、マイペースないびきをかいていた。

こうして、巽家、ゴーゴーファイブのお花見の一時は過ぎていった。