(ストーリー)科学が発達した近未来。人間は人間の身体と全く同じ構造をし、感情も持ちあわせているが、従順なアンドロイドを開発することに成功した時代である。高石タケルという少年は若くして両親を亡くしたが、その遺産を全て受け継いで、富豪の家の当主となった。ひょんなことから高石タケル少年型アンドロイドを購入することになった。
「僕この子がいいな。」
タケルは黒髪でおかっぱの少年型アンドロイドを指差した。
「可愛いね、君。」
タケルはその髪の毛を撫でる。アンドロイドは少し顔を赤らめて、困ったような仕種をした。
「へぇよくできてるね。本当に人間みたい。」
「それはもう、何ら人間を研究しつくして作られたアンドロイドですから。彼は一乗寺賢といって頭脳が優れているアンドロイドです。もちろん従順に作られていますよ。」
「じゃあこの子にするよ。」
「ありがとうございます。」
「お金、後で振り込んでおくから連れて帰っていいかな。」
「はい、ご自由に。」
「じゃ、行こうか。」
「ハイ、ご主人様。」
アンドロイド一乗寺賢(以下賢と呼ぶ事にする)タケルは店を出た。賢はいそいそと自分の主人の後ろをついて行った。
車に乗り、高石邸に到着する。
タケルは賢を自分の部屋へ連れてくる。
「あの、ご主人様、僕は何をすればよろしいので?」
「そうだね、これ、着てみてよ。」
タケルが手渡したものを賢は着る。
それはいつも、この邸宅で働いているメイドと同じ服であった。
「あの、僕は自分を男と認識しているのですが。これは女物の服だと博士から聞いております。」
「へぇ、従順なアンドロイドでも意見するんだ。いいんだよ。これで。だって君に似合ってるもの。」
タケルはクスクス笑った。
「それとも、君が従順だっていうのは嘘だったのかな?」
言いながら、タケルは賢の顎を掴んだ。賢は顔を真っ赤ににしてタケルを見た。
「いえ、僕はご主人様に従順です。」
「そう、だったらこういうことにも従順なのかな?」
タケルは賢の耳に舌を這わせた。舌は生き物のように賢の耳たぶの上を這い、賢に奇妙な刺激を与えた。
「ひゃぁ・・・。」
賢は顔を真っ赤にして声を上げた。アンドロイドとはいえ、人間が感じる刺激を同じように感じるように作られているのだ。
「あの、ご主人様・・・。」
賢は顔をピンク色に染めていた。初めて与えられる刺激に戸惑っていたのだ。
「ほんと、可愛いね、賢はvv」
タケルはニッコリ笑った。
「そうだ、賢はこの部屋で暮らしなよ。」
「ハイ、言う通りにいたします。」
という具合に少年高石タケルと人型アンドロイド一乗寺賢は出会ったのである。