僕は、賢を家に残す事が気がかりなまま、家を出た。一日だけ、一日だけなら何もある筈がない。誰も賢に手を出す事など出来ない。賢は僕の言いなりにしかならないのだ。僕は、不安を掻き消そうと、自分に言い聞かせる。しかし、やはり蘇るのが「ダイスケ」という4文字だった。考えれば、考えるほど、僕は賢を疑った。

裏切り・・・。

用事を終え、食事に誘われたが、仮病を使い、断って、家へ急ぐ。僕は何をムキになっているのだろう。たかが人形じゃないか。滑稽だ。それでも、僕は家へ急いだ。

車に乗っている間もいらいらしてどことなく、落ち着かない。

30分程度車に乗っただけなのに、もう、何日も経ったかのような感覚に襲われる。僕は、家の門をくぐり、その足であの、薔薇園へ向かった。薔薇園が近づくにつれ、訳の分からない不安と焦りに襲われた。あの薔薇園が何だというのだ。一体僕はどうしてしまったのだ。一人で動揺して、無意味に慌てて。そう考えているうちに僕は、何時の間にか、薔薇園が見えていた。気付くと、また妙な胸騒ぎ。

人がいる。二人?

そこには、熱に浮かされたように、だが、幸福そうな顔をして「ダイスケ」の名を呼び、もう一人の男を求める賢がいた。

それは、僕がはじめて見る賢の表情だった。僕の知らない賢がそこにいた。

全身に走る狂気。

ユルサナイ。

疑惑が、確信に変わり、そして、憎悪へと変化していった。

ユルサナイ。

アレは僕のだ。

「クク・・・。」

僕は、邪悪な笑みを浮かべる。

「クク・・・。」

笑いが込み上げてきた。

「ハハ・・・。ハハハハ。」

大輔は僕に気付いていないのだろう。「また来る」と告げて、塀に登り、去っていく。

「そう、いうことか・・・。」

大輔が行ってしまったのを確認して僕は、賢に近づいた。

賢は僕に気付き振り向いた。そして、僕の顔を見るなりその顔は青ざめていく。

「お、帰りなさいませ。タケル様。」

「何なの?その顔は。君の主人が帰ってきたんだよ。」

僕は皮肉めいた口調で言った。

賢は、唇をがくがく震わせた。

賢のその態度は更に僕を苛立たせた。

「脱ぎなよ。」

僕は、冷ややかに命じた。

「ここで・・・?」

賢は戸惑いの色を隠せなかった。

「命令だよ。早く。」

賢は今にも泣きそうな顔で、僕に従った。

「遅いよ。」

僕は、静かに急かす。

「申し、わけ、ありません。」

白い肌が露になる。

ストッキングだけ残したその姿は十分男の欲望をそそるものであった。

恐怖の色を隠せずにいる賢に、僕は、唇を押し付けた。舌で賢の唇をこじ開け、賢の口内を舌で掻き回す。

「ふぁぁん・・・。」

賢は苦しそうに、眉を寄せる。しかし、反射的に舌は反応しているらしく、おずおずと僕に絡めてくる。

口内を弄び、唇を離す。

「ケホッ、ケホッ・・・。」

賢は苦しそうに咳き込む。

僕は、賢の息の整わない内に、太股に、手を伸ばし、ストッキングの中に手を入れる、

「やっ・・・。」

賢は羞恥の声を上げる。

「恥ずかしいの?」

僕は、笑った。

賢は俯き、黙った。

僕は、ストッキングの下の部分を撫で上げる。

そして、手を太股に這わせるようにして、だんだん、上へ移動させた。

指で奥に潜む花のつぼみを探りあて、それをこじ開けるようにして、侵入した。

「いたぁぁぁ・・・。」

奥を開かれ、賢は苦痛に顔歪ませる。指を、増やす。

「やぁぁぁ・・・。」

唇を震わせながら、賢は叫んだ。

「いやぁぁん・・・。」

僕は、苛立ちに任せ、中で、乱暴に指を動かし、賢を責め立てた。

コレハ僕のだ。

コレハ僕のだ。

「やだぁぁぁ・・・。」

「許してぇぇぇ・・・。」

賢は、懇願の眼差しを僕に向ける。

ユルサナイ。

ユルスモノカ。

僕は、指の動きを強める。

「あぁぁはぁぁぁん・・・。」

「もっと鳴きなよ。」

そのまま、賢に覆い被さる。

貫くように僕自身で賢の中を犯した。賢は、涙をポロポロ流しながら震える指で僕のシャツを握った。

「タ、ケ、ルさ、まぁ・・・。」

僕は中で目茶苦茶に動いた。賢が痛がろうが、お構いなしに。

コレハ僕のものだ。

僕以外が触れる事は許さない。

「やぁぁぁぁん。」

「あはぁぁあん。」

「もう、やだぁぁぁ。」

賢は顔真っ青にして、取り乱し、逃げようとした。

その逃げようとする腰を僕は強く掴んだ。

「ご主人様から逃げるわけ?」

「ちが・・・。」

逃がさない。

逃がすものか。

「お願い、します・・・。」

「君が、全て、いけないんだよ。」

「タケルさまぁぁ。」

賢が僕の名前を呼ぶ。許しを乞う為に・・・。

僕を求める為に、僕の名前を呼ぶのではなく、ただ逃げる為だけに。

可愛い顔で、僕に媚びるのが気に入らない。

「許されると思ったら、大間違いだよ。」

僕は、唇を歪めて言った。