対面

 えっと、254号室245号室ってどこ??
 250…251…253…ここだ!

「一条さん!」

バンッと勢いよく扉を開くと、ベットの上にもたれかかって座っている一条さんの姿
があった。

「笹山クンどうしたんだ?血相変えて」

「…っ。一条さん!!大丈夫なんですか??」

「ああ、ただの過労だよ」

「・…は〜!良かった。」

少し脱力した私は、後ろの壁に軽くもたれかかった。
 一条さん。元気そうでホント良かった。
 未確認生命体との戦闘で倒れたって言うから、もしかしたら…死んじゃうんじゃな
いかって思ってた。

「すまないな、職場の皆にも迷惑かけてしまって」

「迷惑だなんて、全然そんなことないですよ!皆心配しててけど、迷惑だなんて思っ
てません!!」

「そうだな。でもそんなに怒らなくてもいいじゃないか?」

「え?怒ってませんよ?」

 一条さんがこんな時にまで、私たちに気を使うもんだから、すこし強く言ってし
まった。

「そうか?ならいいんだが。あ、そうだそうだ。俺は君が病院の廊下をバタバタ走っ
てきたことを怒ってるんだぞ?」

 と、真剣な顔でいわれてしまった。

「あ・・・・すみません…でも・・・」

「ハハハ、冗談だよ」

「もー!ヒドイですよ一条さん!!でも、冗談言えるようなら大丈夫ですね?」

 なんだか一条さんって意外にお茶目?(笑)いつもはあんなにクールなのに…。
 こんな風に2人っきりで普通にお話出来ることってめったに無いから、今日は貴重
かも!
 まだ仕事は残ってたりするんだけど、もうちょっとだけここに居よう。
っと思った瞬間
 
「いっちじょうさ〜ん!お食事お持ちしましたー♪」

と二十代位の青年が病室に入って来た。
私服だし、病院の人ではなさそうだ、
 誰??!あーなんかどっかで見たことあるような…

「ああ、すまないな、五代」

 五代?う〜聞いたことあったっけ…?

「あれ?一条さん、その女の人誰ですか?」

「同僚の笹山望見さんだ、ホラ、この前未確認を海岸まで誘導するのを手伝ってくれ
た・・・」

「あ!!!あの〜!いつも状況伝えてくれる女の人!!」

「そうだ。これからもお世話になるんだ、挨拶しとけ!」

 な、何??この人未確認に関係あるの?…警察じゃーないでしょ?

「はじめまして、五代雄介です!いっつもお世話になってます!!これからもどうぞよ
ろしくお願いします!」

「はぁ…」
 って頭下げられても…よろしくって…何を??

「ハハハ、笹山クン、五代はな、四号なんだよ」

 四号?四号って未確認生命体第四号の事??
 え?ええぇ!!

「四号じゃないっすよ!一条さん!クウガです!ク・ウ・ガ!!」

 クウガ?何それ…

「解った解った。」

「あ、あの〜一条さん?この人が四号なんですか…?」

「そうなんっすよ!オレがクウガなんです!」

「・・・クウガって?」

「だから、オレの事!!」

「はぁ…」

「五代!ちょっとお前は黙ってろ!お前が喋ると話がややこしくなる!!」

「え!そんなぁ〜ヒドイですよ、一条さん!!」

「いいから、ちょっとだけ黙っててくれ!」

「…は〜い」

「はぁ、つまりだな、笹山クンがさっき言った通り、この五代雄介が四号なんだ」

「そう…ですか」

 う〜なんかイマイチ信じられないな、普通の子なのに。この子が未確認になるなん
て。

「そして、五代が言ってるクウガっていうのは、四号の正式な名前らしい。なぁ、五
代」

「ハイ!桜子さんが調べてくれたんです!」

「桜子さんって言うのは、考古学の研究をしている、五代の友達で、警察側にも協力
してくれているんだ」

「そうですか…」

 は〜ついに私も四号の正体見ちゃったんだ…実感ないけど。

「あ、私、警視庁の私笹山望見です。ヨロシク…五代・・君?」

「ハイ!よろしく!!」

一条さんは私たちを見てにこにこと満足そうに笑っていた。
 あーあー。四号に合えたのはまー嬉しいけど2人っきりの時間が…なんて、自分勝
手なこと言ってられないよね。

「あ!一条さん!ご飯です!ご飯!!!もう冷めちゃってますよ〜さぁさぁ!早く食べ
て下さい!」

「ああ、そうだったな、それでは、頂きます」

一条さんは、タッパに入った色鮮やかなお弁当をつまみ始めた。
病院から出されたものにしてはかなり豪華。
 もしかして、彼女に…ってことは・・・・・・ありうる!

「あの、もしかして…これって誰が作ったんですか?」

「おやっさんとオレで作りました!!」

「へ?あなたが作ったの?」

「そうですよ!笹山さんも食べます?」

 ニコニコ人懐っこい笑顔で笑いながら、私にも食べろと勧めにきた。

「いや、私はいいです…そろそろ、戻らなきゃ」

「そうですか」

「笹山君、警視庁の皆に、俺は大丈夫だと伝えておいてくれ」

「も、もちろんです!でも一条さん、大した事ないからってムリしないで下さいね?
そして…五代君、私達も出来るだけ力になるから、頑張ってね!!」

「はい!大丈夫です。オレクウガだから」

 ぴっと親指を立てて、あっけらかんにそう言う。

「じゃあ、また来ますね。」

「さよなら〜!」

バタバタと廊下を駆け出そうとして、私はさっき一条さんに注意された事を思い出し
た。
 走っちゃダメか・・・でも、早く皆に一条さんは大丈夫だって伝えなきゃ。
 そして四号の正体見たっても…皆驚くだろうなー。
 早く行かなきゃ!