打撃武器

重さを利用して、相手に叩きつける武器。鎧の上からでも十分なダメージを与えられる。
大別すると、一体型の「棍棒」と、柄と柄頭が別になった「槌鉾」に分けられる。

ウォーハンマー
戦闘用に使われる金槌。形状自体は、工具の金槌と大差は無い。
ただし、打撃部分の片方は、鉤爪状にに尖っている。
打撃武器として、メイスなどと同じ位置づけの武器である。

ウォーピック
ウォーハンマーの一種で、鉤爪の部分がつるはしのように長いもの。
鉤爪の部分で鎧兜を突き破れると言うのは、ウォーハンマーも一緒である。
ただし、こちらの方が鎧をぶち抜いた上に致命傷も与えられる。

金砕棒(かなさいぼう)
いわゆる、鬼の金棒のような形状をした武器。
手で持つ部分は持ちやすいように丸く細めに作られており、打撃部分は六角形や八角形で刺が立っている。
材質としては、全体が木製のものもあれば、打撃部分を鉄で作ったものもある。
さらには全体が鉄で出来たものもあるが、ここまで来ると相当の腕力が無ければ使いこなせない。

クラブ
堅い木で作られた打撃武器。人類が使った武器の中で、最も古いものと言える。
有史以前から、骨や流木を武器として使われたはずであり、それがクラブの原型と言える。
そこから握りやすいように加工されたり打撃力を増すように手が加えられ、武器としてのクラブが出来ていっている。

棍(こん)
堅い木を丸く削っただけの武器。それ以外の強化処置は行われていない。
また、材質が鉄で出来たものもあり、これは「鉄棍(てっこん)」と呼ばれる。
一般的な棍は、2.4m位の長さで、両手で持って使われる。
槍などの長兵器の柄よりも太いため、刀などで切り落とされる事が少なく、仮に切られても武器としての性能にあまり影響はしない。
単純な武器だが、洗練された技法から攻防一体の武器として強力である。
棍は拳法で有名な少林寺における、代表的な武器である。

多節棍(たせつこん)
複数の棒を、鎖などでつなげた武器。たとえば3本の棒を繋げたものならば「三節棍」となる。
通常の棍棒に比べると、てこの原理を応用して打撃力を増すことが出来る。
その構造上、バリエーションに富んだ攻撃が可能で、避けることは難しい。

多節鞭(たせつべん)
多節棍同様、複数の棒を繋げた武器。ただしこちらは短い棒を数多く繋げた形になる。
打撃力は多節棍に劣るものの、攻撃の軌道は多節棍以上に複雑であり、見切るのは困難といえる。
また、先端には短剣のようなものを取付けて、突き刺せるように出来ているものもある。

フレイル
柄となる棒の先に、もう1本の棒や鉄球などを鎖で繋いだ武器。
中には鎖そのものを打撃部分とするものもある。
歩兵用のものは柄が長く両手用で、騎兵用のものは片手で使えるように柄が短い。
農具である脱穀器が発展して、出来上がった武器と考えられる。

鞭(べん)
名前からはムチを連想させるがそうではなく、節くれだった金属の棒状の打撃部分を持つ武器である。
全体的な形状は剣に似ており、扱いもまた刀剣類と同様である。
いわば刃の付いていない剣のようなものだが、重装備の相手に対しては打撃力の分こちらが有利と言える。

鞭杆(べんかん)
長さ1.1〜1.4mという短い棍。長さ以外は、棍との違いは無い。
棍と違うのは片手で使う武器だということで、二刀流のように両手に1本ずつ持って使ったりもする。

棒(ぼう)[日本]
堅い木を削っただけの武器で、強化処置の行われていないもの。中国では「棍」と呼ぶ。
断面は丸型か、もしくは六角形や八角形になっている。
短いものは1尺(30cm)、長いものになると一丈(3m)と、長さはさまざまである。
このうち3尺(90cm)までの長さのものは「半棒」と総称され、片手で使われる。
両手で使われるもので一般的なのは120cm級の「乳切棒」や、180cm級の「六尺棒」あたりであろう。
突く、払うといった戦法が主で、使い方は長い棒状の柄を持つ槍や薙刀とほぼ同様と言える。
また、戦場で槍の穂先を切り落とされた者が、残った柄を棒として使ったことから「槍折」とも呼ばれる。

棒(ぼう)[中国]
日本で言う「棒」と違い、木製の棒に何らかの強化処置がとられている打撃武器。
例えば、二本の棒を組合わせたり、先に鉄を巻き付けたりなどといった方法が取られている。
こうする事で強度自体も高まり、重心が前に行く事で打撃力も向上している。

メイス
日本語では「槌鉾」と呼ばれるもので、柄と打撃部分が別に作られている鈍器。
特に、鉄片を放射状に繋ぎ合わせたものが一般的である。
重心が先端にあることから、クラブよりも小型で高い打撃力を持っている。

モーニングスター
打撃部分が、刺つきの鉄球になっている武器。特にフレイルの一種であることが多い。
名前の由来は、「明けの明星」と呼ばれる金星のことである。
この種の武器の中には、3つの鉄球を繋いだものもあり、これを「スコーピオンテイル」と呼ぶ。

モルゲンステルン
メイスの一種で、先端が刺つきの鉄球になっているもの。
打撃部分が刺つき鉄球の武器を英語で「モーニングスター」と呼ぶが、本来はメイスの名称なのである。
聖職者が、聖水を撒くために使った棒がその原型と言われている。

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