禁酒法時代(Eighteenth Amendment Prohibition) 1920年1月17日〜1933年12月5日
施行期間 13年10ヶ月19日7時間32分30秒
PEBBLEFORD 1917-1931 50%
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アメリカ全土で施行された禁酒法とは、誤解もあるかと思いますので簡単に説明すると、飲料用アルコールの製造・販売・運搬等を禁止された法律で、自宅内における飲酒は禁止されていません。つまり、アメリカ以外の場所で購入し、こっそり持ち帰ることが出来れば、自宅にて消費することはOKだったのです。しかし、個人がわざわざ他の国までリスクを負って買いに行くことはほとんど無く、今回ティスティングするウイスキーの様に、医師の許可を得、薬屋から処方してもらうか、アル・カポネなどのギャング達から購入する、もしくは法律施行前に買い込んでおく必要があったのです。
施行後のアメリカ国内にて合法的にウイスキーを手に入れる為には薬として処方してもらうしかありませんでしたが、医薬品としての規定に「1人の患者にたいして10日に1回、1パイント(473ml程度)以下の処方を許可する。」とありましたので、苦労して手に入れても簡単に飲んでしまう容量なので、通常のドリンカーでも我慢出来ないのは言うまでもありません。つまり、ほとんどの国民はギャング達から買うことになり、皆さんご存知の「アンタッチャブル」な世界が繰り広げられたという訳なのです。
今回入手のバーボンはPEBBLEFORD(ぺブルフォード?)と言うバーボン・ウイスキーですが、調べたんですが思うような情報が余り無いので、多少憶測混じりになりますのでご了承下さいませ。
まず、ぺブルフォードなるバーボンが、誰によって何処で蒸留熟成されたのかが気になる所です。写真ではわかりづらいかも知れませんが、まず誰か?は、ボトル・ネックの箇所に「J・B・BEAM Distillery No.230」と有りますので、おそらくジム・ビームの前身であるオールド・タブを誕生させたデイビット・M・ビームの末の息子、ジェームズ・ビュリガード・ビームに間違い無いと思います。しかし、ジム・ビーム社は禁酒法時代の製造・販売が認められてないので、少なくとも1920年〜33のヴィンテージはこの銘柄は無いということになります。つまり、許可を得れなかった多くのディスティラリーの原酒は、一括して国が薬として販売していたことになります。余談ですが、一部の原酒は法律施行前にヨーロッパ各地へ輸出され、現地で熟成、消費されてたような物もあります。
あと場所ですが、上記が正しければネルソン郡、バーズタウンの「ビーム&ハート・オールド・タブ蒸留所(当時の名前)」で間違い無いと思いますが、ジム・ビーム社は1933年にバーズ・タウンからクレアモントへ移ってますので、現在のジム・ビームとは違う原酒と言えそうです。現在バーズタウンにある蒸留所は、ヘブンヒル(No.31)、ウイレット(No.78)、バートン(No.12)。調べた所、現在のヘブンヒルのバーズタウン蒸留所がビーム&ハート・オールド・タブ蒸留所にあたるみたいでした。ちなみに蒸留所の番号No.230は、現在でもクレアモントのジム・ビームの番号になってます。
おまけ情報ですが、ラフロイグの創業者ジョンストンの家系最後のオーナー、イアン・ハンター(1921〜1954年のオーナー経営者)は、禁酒法時代のアメリカの当局に、薬品様の香りのするラフロイグは薬用効果があるとして薬用酒として輸入を認めさせたそうです(笑)。
訂正情報!!
今回のティスティングのために各蒸留所の歴史、リリースした銘柄について更に掘り下げた所、ぺブルフォードが蒸留されていたのは、1968年に閉鎖したバーズタウン・ディスティラリーに間違いなさそうでした(現在のバーズタウンのヘヴンヒルとは別蒸留所)。
このバーズタウン・ディスティラリー(こちらもヘヴンヒルがオーナー)は禁酒法時代が終わり、二次大戦の後が本格的に始動したと思われるが、書いている通り閉鎖しているので、現在は同蒸留所からの比較試飲などは難しいようです。
また、4〜50年代にはこの銘柄は復活しており、おそらく、のちにユナイテッド・ディスティラーズ(現ディアジオ)に吸収(合併?)されるシェンレイ社からのリリースが有力だと思われるが、多数の蒸留所のオーナーでもあるので、禁酒法後のリリースについてはボトル自体で確認するか、それなりの情報元が無いと「どこそこに間違い無い!」とは、今の所は断言出来ない。したがって、現在につながる糸はジム・ビームしか残っていないのだ。
下の図は1948年のぺブルフォードの広告。ボトルド・イン・ボンドと書いてある下に「From Schenley,the House of Aged Whiskeys」と読めないだろうか?ん〜、あとは場所が分かれば特定出来そうなんだけどね〜!も、こうなったら意地でも探してみます!!
更に追加情報!!
またまた新情報を見つけました!流通年代は不明ですが、裏ラベルに「Belmont Distilling Company」の文字が書いてあるボトルが存在するらしい。このベルモント蒸留所は、1980年位までバーズタウンで操業していた会社で、お馴染みのI・Wハーパーやオールド・チャーターなどをリリースしていた蒸留所(もちろんシェンレイ社所有)。つまりは現在のバーンハイムも関係してる可能性が出てきました!蒸留していたのか、ボトリングだけなのか・・、ん〜益々わからんようになって来ました(笑)!
あと困惑するので書くのよそうかと思いましたが、「Pebbleford Distillery Ekron.Ky」と「Pebbleford Distillery Newport.Ky」という2つの場所の情報もあり、ケンタッキーであることだけは確実ですが、いったい何処で蒸留されていたのかは皆目検討付きません。どちらかで蒸留?、両方?、片方ボトリング?はたまた別の場所なのか?・・。多くの蒸留所を所有するシェンレイ社だけに合理的に生産していた・・っていうのが結論でしょうか?結局2次大戦後については、これ以上追うことは非常〜に難しそうなので、悔しいけど一応ここまでにします。誰か分かったら教えて下さい。
しかし、今回勉強して思ったことだが、アメリカン・ウイスキーってスコッチとは違って、蒸留所=ブランドとは限らず、銘柄や製法、酵母などがセットで別の蒸留所へ売買されたりして移動するので、深く掘り下げると非常に特定が難しい(情報量が少ない)。アメリカらしいと言えばそれまでだが、地域性などは余り重視していないように思えてならない(ケンタッキーなら何処でも良いのか〜!?)。勿論、そんな蒸留所ばかりでは無いし、消えそうな銘柄を助ける為のことでもあるみたいだが、正直?マーク出まくりです。ま、そこが面白いと言えなくもないけどね(笑)!ちなみに、現在も同じ銘柄で蒸留所に違いがある物もあるので、興味があれば見比べてみては如何でしょうか?オールド・ボトルを探す際の目安にもなりますよ!!
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では、説明も読んで頂いたと思いますので、ティスティング会の告知をさせて頂きます。今回は、上記ぺブルフォード・バーボン・ウイスキー1917〜1931を、フル・ショット(30ml)、ハーフ・ショット(15ml)で受け付けたいと思います。特に期限は設けませんが、フル・ショットで5杯分(ハーフなら10杯分)が、最低ラインで、上限はフル・ショット10杯分迄。つまり300mlが上限とさせて頂きます。見ての通り目減りがあることからの配慮です。また、中身の保障は商品の性格上出来ませんのでご了承下さい。
ご予約はお早めに、お名前、ご住所、電話番号、開催日のご希望、他に飲んで見たいもの(比較試飲等)、など明記して頂き、メールにてご連絡お願い致します。お電話でのお問い合わせは営業に差し支えが御座いますのでご遠慮下さい。定数になり次第、開催日のご連絡を致します(日曜日の夕方〜以降を予定)。
90年前に蒸留されたバーボン・ウイスキー。今と違って、穀物も水も空気も綺麗だったことでしょう!歴史に想いを馳せながら飲むのも良し。ご一緒に貴重な体験をして見ませんか?
SOLD OUT!
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