Kiyoshiさんの部屋 |
3月21日、四谷の紀尾井ホールでTOKYO FM少年合唱団の定期演奏会が開かれました。
演奏会は3つのステージに分かれ、まず第1ステージは山口浩史先生の指揮で 、10名の予科生を含む全員46名が歌いました。いつもの「おお牧場はみどり」から始まり、予科生の手話がついた「ビリーブ」、宮崎駿のアニメソングなどを歌い、楽しい雰囲気を作りました。第2ステージはベンジャミン・ブリテン作曲の「キャロルの祭典」を、ハープの伴奏で歌いました。指揮は北村協一先生です。この曲が今回の演奏会の目玉ですが、本当によく練習をしたという印象でした。中世の英語で歌うのですが、全員言葉がしっかりと身に付いていて、まるでイギリスの優秀な聖歌隊の演奏を聴いているような感じを受けました。第3ステージは「ぼくだけの歌」から4曲、「あいつ」、「ぼくのおうえんか」、「なにかいいことありそうな」、「一千億の夢」でした。「キャロルの祭典」での緊張が取れたのか、皆余裕を持ってのびのびと歌っていました。
最後に今年の13名の卒業生が先生方に花束を贈りましたが、これほど多くの団員がいなくなってしまうのはちょっと残念な気がしました。
当日のプログラム
第1ステージ
1.おお牧場はみどり (中田羽後訳詞、スロバキア民謡)
2.手紙 (石 雅彦作詞、斉藤瑛美作曲)
3.ビリーブ (杉本竜一作詞・作曲)
4.さんぽ (中川季枝子作詞、久石 譲作曲)
5.となりのトトロ (宮崎 駿作詞、久石 譲作曲)
6.いつも何度でも (覚 和歌子作詞、木村 弓作曲)
7.君をのせて (宮崎 駿作詞、久石 譲作曲)
8.真っ白い平野 (及川修子作詞、亀山法男作曲)
第2ステージ
ベンジャミン・ブリテン作曲「キャロルの祭典」より
1.入場
2.来たれ喜びよ!
3.比ぶるバラもなし
4a.かの幼児
4b.子守唄
5.四月の朝霧のごとく
6.この小さな幼児
7.間奏
8.凍てつく冬の夜に (この曲は当日演奏されませんでした)
9.春のキャロル
10.神よ感謝します
11.退場
第3ステージ
東 龍男作詞、平吉毅洲作曲 「ぼくだけの歌」より
1.あいつ
2.ぼくのおうえんか
3.なにかいいことありそうな
4.一千億の夢
「フレーベル少年合唱団 (ぼくらの演奏会から) を聴いて」
このレコードを最初に見つけた場所は、上野の東京文化会館の資料室でした。「こんなレコードがあるのか!」さっそくそれを借り出し、ヘッドフォンを耳に当てました。それまでに聴いたことのないフレーベル少年合唱団。親しみ深くて懐かしく感じられる彼らの合唱の響き。そして子供の頃を思い出させる「ろばの会」の歌の数々。それ以来、このレコードは私にとって心のふるさとと言えるほど、大切な存在になっています。残念ながら私はこのレコードを持っていません。今までにこのレコードを見つけようとして、全国各地の中古レコード店を何軒も探し回りました。幸いなことにこのレコードを所有されていた親しい方が、親切にも私のためにダビングしてくれました。今ではその音源をCDRに焼いて、時々聴いています。でもやっぱり元のレコードが欲しい。中古レコード店のレコードをあさっているとき、青い色をしたジャケットが出てくると一瞬胸が躍ります。しかしよく見るとまったく違うレコードであって、いつもいつもがっかりさせられています。見つけたいけれどなかなか見つけられないものはあるものです。この青い色をしたジャケットのレコードは、今でも私にとっての「青い鳥」になっています。
1. ジャケット
表の写真は、ビルの屋上でフレーベル少年合唱団の団員たちが指導者の磯部先生と一緒に手を振っているというものです。バックの青空はどこまでも青く、少年たちの心の清らかさを表しているようです。そしてきわめて印象的なことに東京タワーが写っています。いつ頃の写真でしょうか。東京タワーは出来上がった当時、高さが世界一だとずいぶんもてはやされました。そして戦後日本の復興の象徴として、日本人誰しも気持ちよくそして自慢げに、空を仰ぎながらそれを眺めたものでした。そんなころの風景だと思います。しかしよく見ると東京タワーの見上げる角度がちょっと変です。ビルの屋上にしては見上げる角度が大きすぎるような気がします。合成写真でしょうか。それともビルが低すぎるため、本当にそのような角度で見えるのでしょうか。今となっては永遠の謎です。
団員たちの青いベレー帽と制服、そして灰色の半ズボン。昨年フレーベル少年合唱団の演奏会に行ってきましたが、今でもこの制服は変わっていませんでした。そして若々しい磯部先生。きっとこのころは団員共々元気はつらつとなさっていたことでしょう。
2. 日本のわらべ唄
このレコードの第1面は「日本のわらべ唄」という題名の15曲からなる曲が収録されています。オーケストラの伴奏付きというすばらしい雰囲気ですが、打楽器を打ちならす大げさな出だしの後、しばらく音が消えてやがてぴょこぴょこ飛ぶような雰囲気の曲が始まりますが、ここら辺はちょっとちぐはぐで思わずずっこけてしまいます。(ずいぶん昔風な感じもします)しかしそれから後の15曲の歌はどれも本当に各地のわらべ唄といった感じで、歌詞は方言のためにわからないものもありますが、どの歌も心に残るものばかりです。とても初めて聴いたなんて思えません。小さいときから口ずさんでいた歌ばかりのような気がします。「この歌は、ほら!あのとき歌ったね。」思わずそんな風に思ってしまいます。
3. 小さい秋見つけた
子どもが歌ったこの曲の録音はいくつかありますが、私はこのフレーベル少年合唱団の演奏が一番好きです。本当に何回聴いても心が洗われる気がします。ソロで歌う2人の少年の声のすばらしさ。2人の声質は明らかに違います。どちらも日本人の少年の声です。そして歌うそれぞれのパートにしっくりと合っています。「お部屋は北向き くもりのガラス」「うつろな目の色 とかしたミルク」サトウハチローの詩は何か秋になった以上のさみしさが感じられます。童謡をしっかりと歌えるフレーベル少年合唱団ならではの演奏で、他の少年合唱団では出せない雰囲気です。
4. とけい
現在は時計の針を見ても何も感じられない時代になってしまいました。(ディジタルになって針もなくなってしまいました)昔はどこの家庭にも大きなねじ巻き式の柱時計があり、まるで家族の一員であるかのようでした。家ではその動く姿を見ながら、またそのカチカチという音や時報を告げるチャイムを聞きながら生活したものです。そんな昔一緒だった時計を、そしてそのころの生活風景を思い出させてくれるすばらしい曲です。
5. 通り雨
昔懐かしい村や町の風景。タイムスリップしたかのような風景を思い出させてくれる曲です。テレビで「ミステリー・ゾーン」という番組がありました。通勤帰りの電車の中で居眠りして起きてみると、着いたところが知らない駅で、昔懐かしい町並みが広がっています。そんな駅だと思わず飛び降りてしまいますね。木琴の入った伴奏も雰囲気を盛り上げています。
6. ぶらんこぶらんこ
磯部先生もすばらしい作品を作られました。目をつぶっていると、本当にブランコに乗って揺られているような気持ちになります。子どもの頃乗ったブランコの思い出。不思議なことにブランコに乗ると、何故かわがままになってしまいます。自分だけの気持ちのいい乗り物。いつまでもいつまでも乗っていたい。そしてこのままどこかへ飛んでいってしまいたい。いつもブランコに乗るとそんな気持ちにさせられました。でも大人になってからではもうだめです。ブランコに乗ってもそんな気持ちは沸いてはきません。やっぱりブランコは子どもの乗り物なのでしょう。
7. 春の風
これは宇賀神光利先生の曲です。先生は私の家の直ぐ近くに住んでいたようです。わたしは全く知りませんでした。ある日垣根に折り紙で出来た飾りがいっぱいかかっているお家を見つけました。不思議に思って調べてみると、歌の作曲をしていたご主人が亡くなったのを悲しんで、その奥様がそのようになさったということでした。そしてそこは宇賀神というお宅でした。たったそれだけのことですが、まさしくそこが宇賀神先生のお宅だったと思います。
これはまどみちお先生の作詞も含めて、本当に美しい曲です。私にはこのレコードで一番好きな曲になっています。穏やかで美しい春。いつの間にかあたり一帯がすっかり春に包まれています。その驚きと喜びを母、姉、父に伝えます。うれしさのあまり自分の心の中まですっかり春の雰囲気に包まれてしまいました。こんな美しい春があるでしょうか。現実にはあまりにも美しすぎます。きっとここは現実の世界ではないのでしょう。美しい天国だと思います。春の世界のような天国。人が亡くなる時、すでに両親や兄姉は亡くなっていることでしょう。天国で再会するときはどんな姿をしているでしょうか。死ぬ直前の年老いた姿では決してないと思います。きっと子どもの頃に見ていた若々しく優しい姿をしていることでしょう。「おかあさん もうきてる」という歌詞は、母が天国で待っていてくれたという意味にも取れるような気がします。
8. 桑山かけろ
桑が繁り、その実がたわわになっている風景がどんなものかわかりませんが、この曲を聴いていると、まっかに紅葉した山の中を走っているような気がします。そして桑の実。生の実を食べたことはありませんが、軽井沢に行くと桑の実がジャムになって売られています。その甘さは独特のものでした。そして夏に行ったことのある軽井沢の風景も思い出してしまいます。
9. まっかなけし
本当に宇賀神先生の曲にはうっとりとさせられてしまいます。こんなにも美しい曲が作れた人。直ぐ近くに住んでいらしたのに、お会いしたこともなかったなんて本当に残念でなりません。
けしの花も見たことがないのでわかりませんが、大きな美しい花なのでしょう。花が何を考えて何を話したいか。そんな子どものような目で花を見ることが出来れば、普段見ている世界もまるで違った世界になることでしょう。気持ちも優しくなり、きっと純真な心の持ち主になっていくに違いありません。目を閉じてゆったりとしたこの曲を聴いていると、素直にそんな気持ちになることが出来ます。
10. 谷の子熊
なかなか帰ってこない親熊を待つ子熊。きっと親熊はえさを取りに行ったとき、人間に殺されてしまったに違いありません。三日月を見ながら親熊を待つ子熊の様子がよくわかります。そして歌詞の4番では、子熊が親熊を失った悲しみを乗り越えて、やがてはりっぱに成長していく予感を感じさせられます。短い詩の中に映画のような風景を見て取れるサトウハチローのこの詩は、本当にすばらしいと思います。おっと、少し説明的になってしまいました。この曲は簡単に感情移入出来ます。親が帰ってこない子熊の気持ち。思わず涙が出るほど感情移入できるのは、これが少年合唱団によって歌われているからだと思います。
11. 冬がくると
ルーマニア少年少女合唱団の2回目の来日のとき、アンコールでこの曲を演奏しました。私はそのとき初めて聴いたのですが、軽快であるのにどこか気品のあるこの曲の魅力が印象的でした。フレーベル少年合唱団の演奏はそんな魅力を十分に引き出しています。真っ白な銀世界。そこをスキーで軽快にどこまでも滑り続ける。楽しそうな冬の景色が浮かんできます。
12. 棚を作りましょう
棚を作るという出だしですが、後半はビンや缶が自分から出てきてそこに並ぶという発想がおもしろく、ユニークなところです。そんなことも最初からここまでレコードを聴き続けていると、ちっとも変に感じられなくなっています。これも磯部先生の作曲で、とてもみごとに作られています。特に「ならびますよ」の最後の「よ」の発声の抑揚に、少年の声のたまらない魅力を感じさせられます。
13. レコードを聴き終えて
最初から最後まで一気にこのレコードを聴くと、わき上がってくる感動とともに、何かいつまでも大切にしなければならないものを得たような気になります。磯部先生率いるフレーベル少年合唱団は本当にすばらしい合唱団です。彼らはこのレコードに録音されている曲の魅力や雰囲気を充分に引き出してくれました。子どもたちが歌った童謡の録音はいくつもありますが、これほどまでに私の心を揺するものは他にありません。フレーベル少年合唱団がきわめて上手だというわけではないのです。しかしこの演奏には、何か言葉や理屈では言い表せないものがあると思います。それは心の奥底のものを揺り動かします。そして日本人としての郷愁を起こさせるのでしょう。優しげなオーケストラの伴奏も大きな役割を果たしています。昔ラジオで聴いていた頃の懐かしさのある優しい響きです。
私はこれからもこのレコードを探し続けるつもりです。もし見つけることが出来れば、これほどうれしいことは生涯ないでしょう。あるいは死ぬまでだめかもしれません。いずれにしてもこれらの歌は、私の心の中でどんなときにも、そしていつまでも鳴り響いていることでしょう。
グロリア少年合唱団の「メサイア」演奏会
12月23日は恵比寿で行われる暁星小学校聖歌隊のクリスマス・コンサートが3時半まで行われたため、それが終わってから急いで鎌倉に向かいました。ちょっと乗り継ぎが悪かったので、聖堂前についたのが演奏会が始まるちょうど5時。急いで中に入ってみると、幸いにも一番後ろの臨時の座席が一つ空いていました。いつもならばもっと早く来て、一番前で聴いていたんですが。(でも後半は座席を一つ前に移動しました。これだけでもかなり違いました)ちょうどBCクラスの演奏が始まるところでした。BCクラスは幼稚園から小3までのチビッ子クラスで、今回は合わせて36名でした。(このような子供たちがたくさんいるというのは、グロリアの特徴でもあります)彼らの演奏がメサイア演奏の前に行われるのは、今回で3回目くらいになります。BCクラスの演奏はもちろんまだまだですが、こういったところで演奏することは、これからの彼らにとってとても良い体験でしょう。励みと希望が得られてとても良いことだと思います。将来を担っていくのは彼らなんですから。
それが終わってメサイアが始まりました。独唱は、櫻井悦代さん(ソプラノ)、前田美樹さん(アルト)、横山和彦さん(テノール)、水野賢司さん(バス)でグロリア少年合唱団(ソプラノ24名、アルト13名、テノール11名、バス10名)、グロリア男声合唱団(8名)の合唱、グロリア室内オーケストラによる演奏で、指揮はいつもの松村努先生でした。後ろの方で聴くと個々の声や楽器の細かいところは聴き取れませんが、全体のハーモニーが聴けて良いと思いました。また、以前から感じてはいたのですが、この教会はやっぱり音響的に良い教会だと改めて思い直しました。演奏の全体からみると、合唱はやっぱりいつもと同じく後半から終わりの方が良い出来でした。前半の大好きな曲"For
unto a Child is born..."は、まだ調子が出ないうちに歌うにはちょっと難しい曲なのでしょう。後半の"Surely..."あたりからはとてもすばらしい出来でした。今回は各パートとも声も良く出て音程も良いし、きれいに混じり合っていたと思います。いつもながら子供たちの出来に脱帽です。毎回一生懸命に歌っている姿を見るのはとても楽しみなことです。一番のメインである「ハレルヤ・コーラス」は力強いし、全員のびのびと歌っていたようです。いつもの合唱の男性陣の方々に感じるのですが、本当に楽しそうな表情をしながら歌っているのを見ると、こちらまでうれしくなってしまいます。このような方々にグロリアは支えられているのでしょう。
「メサイア」がすべて終わった後、観客も含めて全員で"Adeste
Fideles"を歌って終わりにするというやり方はすっかりおなじみになりました。いつも変わらないというのもなかなか良いことだと思うようになりました。毎回ここの聖堂では、観客の方々全員が"Adeste..."を声を良く出して歌います。これもすばらしいことです。
TFMのクリスマス・コンサート
第1部の「アマールと夜の訪問者」は少年合唱版だというのでどうかなと思ってましたが、とても感動しました。まずアマール役の鈴木君は、声もきれいだし役柄が実にぴったり合っていました。母親とも本当の親子みたいに、自然に感じられました。3人の王様と召使いも少年でしたが、上手でしたね。特に、耳の遠い王様役の子は、とても上手でした。召使い役はただ登場するだけかなと思っていたら、王様と一緒に歌っていましたが、これはうまいやり方だと思いました。村人たち役の他の少年たちも、オペラの雰囲気にしっかりと溶け込んで、踊りもなかなか上手だったと思います。とにかく感動しました。正直言って最後あたりでは、涙まで出てしまった程です。本当によくやりました。ここまでやってきたのは、さぞかし大変だったと思います。文句は有りませんが、王様たちが就寝するところでは椅子に座ったままでしたが、やっぱり横になるのが自然だと思いますが、頭にかぶっているものが取れてしまうので、だめなのでしょうね。また一番最後で、母親が十字を切ってひざまずいてお祈りしていましたが、キリストはまだ十字架に架けられていないのですから、十字を切るのは時代的におかしいとも思いますが、ここのところはどうでしょうか。わたしにはわかりません。でもどうでもいいことで、細かすぎますね。
第2部は、いつもの定番のクリスマス曲集でしたが、第1部の出来が影響したのか、去年より上手だったと思います。でもアレンジや編曲が同じなので、毎年少しでも変化を持たせて欲しいと思いました。
(98/12/13)