グロリア少年合唱団    
                                                                                                                                         

連休の観光客が注目 普段着の「ハレルヤ」
      
グロリア少年合唱団のバザー


 5月3日観光客で賑わう鎌倉駅近くの雪の下教会で行われたグロリア少年合唱団のバザーに出かけた。昨年に続き2回目で目当てはミニコンサートとワインだ。先ず会場をひとまわりして何が置いてあるかを確認した。前回ワインは樽を持ち込んで販売していたが今日はボトルのみだった。グラス200円は値打ちなので早速一杯。グラスに充分注がれずに瓶が空になったら別のワインを新しいグラスに注ぎ直してくれた。おかげで2種類飲むことができた。昼近かったので手作りのチキンサンドも購入。これもおいしい。これだけでも鎌倉まで足を運ぶ価値はある。ミニコンサートは1時からで時間があるからと町歩きに出ようとしたらGさんに出会った。約束しておいた秋山兄弟のピアノ発表会のプログラムを見てもらう。話しているうちに12時半近くなったのでそのまま会場に留まりワインを飲みながら通りを行く人を眺めた。天気はよくないものの連休とあって人通りは多い。通り沿いに生ビールのコーナーもあるが天気のせいもあって売れ行きはよくない。

 1時になり下級生クラスと幼児クラスが通りに沿った階段に整列し演奏が始まった。
全員、紺の半ズボン、白いワイシャツにえんじ色のネクタイの制服姿。野外で歌うのは演奏効果という点では不利だが一生懸命歌っているのがよい。終わると普段着姿の小学校の上級生、中高生、大人の団員が整列し『ハレルヤ』が始まった。こんなところで『ハレルヤ』が聴けると思わなかった。道行く人たちも足を止めて感心した表情で聴いている。制服でなく普段着で演奏するのもかえって新鮮だ。演奏が終わり聴いていた人たちが一斉に拍手したが会場内に入らずそのまま行ってしまうのは残念だ。団員が「バザーを見ていってください」とアピールすれば少しは売り上げが増えるだろう。自分は会場に戻り再びワインを飲む。今度は200円で3種類飲めた。いろいろなワインを少しずつ飲む機会はあまりないのでうれしい。新鮮な卵を使ったサンドイッチも購入した。これもおいしい。椅子に座って味わっていると団員がポケットサイズの拡大鏡を売りにまわっており売れている様子がないので購入。100円だった。他にこれも売れ行きのよくなさそうな雑巾を6枚100円で購入。この拡大鏡を帰宅して使ってみたら新聞のテレビ欄などを見るのに役だった。シャツのポケットに充分はいる大きさで重宝している。わかっていれば5個ぐらい購入したのにとちょっぴり残念な気持ち。ワインをもう一杯飲み、生ビールを販売していたGさんに挨拶し会場を後にした。ここはビールを飲むのが礼儀だが残念なことに気温が低くビール日和りではなかった。短い時間にもかかわらず楽しめた。天気がよければ町歩きをして時間を潰しもう一度ミニコンサートを聴きたいところだ。このバザーは合唱好きの人なら必ず楽しめるのでお勧めだ。出かけてみてはいかがかな。


 低学年でも質の高い合唱
第46回鎌倉市民合唱祭のグロリア少年合唱団BCクラス


  2004年11月3日(水)、大船駅からほど近い鎌倉芸術劇場へ出かけた。目的はグロリア少年合唱団のBCクラスである。この日は宝塚市でボーイズ・エコー宝塚が出演する宝塚市民合唱祭もある。そちらに行きたいところだが10月31日(土)の広島BCの定期演奏会の時、館長さんが宝塚へ、自分が大船へ行くことで役割分担することを決めた。この日、自分は昼に宝塚へ行きボーイズ・エコーの関係する郷土の踊り「千吉おどり」を見学して中安先生とOBのN君に会い新幹線で広島へ入り広島BCの定期演奏会を鑑賞。市内にホテルが取れなかったので大阪へ戻って宿泊。翌朝、伊丹から空路東京入りして私用をすませて浅草から栃木に行き、栃木市合唱祭に出演する栃木BCを鑑賞して帰京するというハードなツアーをしたばかりなので遠出を控えた。

  会場に着いたのは開演時間の1時少し前。入り口で貰ったパンフレットを見てグロリアは参加44団体中14番目と知った。これなら午前中、宝塚でボーイズ・エコーを聴けたが人体実験になりそうなツアーを控えたのは正解だろう。定刻に開演し理事長である児島百代氏の挨拶の後、最初に舞台に上がった北鎌倉女子学園コーラス部が『鎌倉市歌』を歌った。毎年合唱祭で最初に舞台へ上がる団体により演奏されるとのことで格調高い曲だった。この歌ができた当時、グロリア少年合唱団がレコード吹き込みを行い各方面に配られたそうだ。グロリア少年合唱団のサイトを運営しているGさんの話によると児島氏は『グロリアの母』だそうで、北鎌倉女子学園のコーラス部も育ててこられたとのことだ。本日の同学園コーラス部の指揮者と伴奏者のお二人もグロリアの指導をされていたとのことで後継者がいるのは頼もしいかぎりだ。

  プログラムは進み代わる代わる舞台に出てくる合唱団を見ていると幼児から年輩の方々まで幅広い年齢層の人たちが参加していることに気づく。演奏レベルも高くこれだけ合唱人口の多い地域はそうはないはずだ。そう思いつつ各団体の合唱を楽しむうちグロリア少年合唱団が登場した。最初に小学校1年から3年までのBクラスが『光の中へ さあ君と』を歌った。21名の団員の声はソプラノ、アルト両方がバランスよくしっかり声が出ている上に発声が自然で耳に心地よく響いてきた。小さい子どもの声ではなく少年合唱らしい清らかな声で歌う子どもたちにグロリアの質の高さを感じた。この子たちが近い将来『メサイア』を歌うのが楽しみだ。2曲目の『楽しいね』は年中と年長の幼児で構成されるCクラス9名が加わった。こちらは楽しく元気な合唱でBCそれぞれの特性を生かしたプログラムは聴き応えがあった。子どもたちを長いスパンで育てていこうというグロリアの方針が見えた。プログラムに載っている合唱団のコメントを紹介しよう。「ぼくたちグロリア少年合唱団は、ヨーロッパの伝統的な音楽を歌っている日本でも数少ない少年合唱団です。―中略―。ぼくたちといっしょに歌ってくれる男の子、待ってます!」今日の演奏を聴いた男の子が仲間になることを期待したい。



心が落ち着く合唱
    
グロリア少年合唱団の聖堂演奏会


  2004年11月7日(日)、「ヴィヴァルディのグロリア」と銘打ったグロリア少年合唱団の聖堂演奏会のため鎌倉を訪れた。団員であるGさんから混雑が予想されるので早めに来てくださいとの連絡をいただいたものの自宅を出るのは予定より遅くなった。横浜駅からJR横須賀線に乗るつもりでコンコースの発車時刻の電光掲示板を見上げると東海道線の電車が横須賀線より4分先に出ることがわかりそちらに乗車した。東海道線と横須賀線は大船まで複々線を併走する。横須賀線が保土ヶ谷、東戸塚に停車するのに対し東海道線は両駅を通過して戸塚に停車する。戸塚は東海道線と横須賀線が同じホームで乗り換えられるのでうまくすれば戸塚で一本早い横須賀線に乗れるのではと考えたからだ。乗車した電車はしばらくすると横須賀線の線路を行く成田エクスプレスと併走を始めた。成田エクスプレスでは乗り継げないから横浜で横須賀線に乗っても同じかと考えていたら東戸塚駅通過中に電車が止まった。隣の成田エクスプレスも同様に止まっている。緊急連絡が入ったなと思っていたら「隣にいる成田エクスプレスが人身事故を起こしたため、この電車も安全確認のため停車しています」と放送が入った。11月3日の鎌倉市民合唱祭の時、戸塚駅で人身事故がありGさんが遅れ、結局会えず終いに終わったことを思い出す。今日はどうなるかと思っていたら自分の乗っていた電車は動き出した。戸塚で降りても意味はないので大船下車。次の藤沢まで行って江ノ電で鎌倉に入るかと考えたがそれよりモノレールで江ノ島へ出た方がいいと思ったからだ。改札口への階段を上がると「大船始発の臨時の久里浜行きが出るのでご利用ください」と放送が入り「やった」と喜ぶ。この電車に乗り、会場の雪の下教会には4時前に到着。すでに30人ほどが並んでいた。「あせることはなかった」と思っていたら5分もするとどんどん列が延びたからGさんの言葉通りだ。この時間に到着できたのも神様の思し召しかもしれないので感謝しなければいけない。ここで話は変わるが2年前に「劇評」という芝居を見たときにこんな台詞があった。「昨夜の芝居は翼が生え、運良くその場に居合わせた観客を高く高く星空へと誘った」今回の演奏会はこの台詞がぴったりだった。自分にとって宗教曲は馴染みのない分野だったがこれをきっかけに身近なものになりそうな予感がする。パンフレットに曲の解説と訳詞が掲載されているのもわかりやすくてよい。

当日のプログラム
C.Fグノー
『男声合唱とオルガンのためのミサ曲』第2番より「キリエ」「グロリア」
聖アルフォンソ
『ご受難の二重唱』
Hシュッツ
『十字架上の七つの言葉』
Gフォーレ
『レクイエム』Op48より「ピエ・イエス」
Cフランク
『ミサ・イ長調』作品12番より「パニス・アンジェリクス」
Aヴィヴァルディ
『グロリア』ニ長調 RV589
 
 最初の曲はオルガンの伴奏での男声合唱だ。重厚ながら時に柔らかくなる合唱は心に響き聖堂の雰囲気も手伝って敬虔な気持ちになった。2曲目はバイオリンとチェンバロの伴奏でソプラノとテノール各1名によりキリスト受難に対する憤り、嘆きが歌われる曲だ。バイオリンの響きがそれらを演出しているような気がした。ソロを歌う歌手の声はしっかりしていて重苦しい雰囲気にならないのがよい。3曲目はソプラノ、アルト、バスのソリストが各1名、テノールのソリスト2名、男声合唱と少年合唱、オーケストラによる演奏だ。これもキリスト受難の曲でイエス、福音史家、罪人の対話を七つの部分に分けて演奏する。同じ受難の曲でも静かに流れていく感じだ。休憩を挟み4曲目はオルガン伴奏によるボーイソプラノのソロだ。よく通るきれいな声は、作り物でなくこんこんと湧き出る泉のような自然に出てくる声という感じだ。先のBクラスの合唱を思い起こし、きちんとした練習を積み重ねてくるとこのようなすばらしい声になるのだと感じた。5曲目はボーイソプラノとボーイアルトの3重唱でこれも同様な発声で主を讃える重唱の魅力を感じた。
  最後のヴィヴァルディの『グロリア』がこの日のメインだ。もちろん聴くのは初めて。オーケストラが力強く演奏し合唱団が主を讃える合唱で始まり、女声のソロや重唱、これに合唱が入り主に祈るような箇所や訴えかける箇所があり変化に富んでいる。宗教曲に馴染みのない自分も退屈することなく気持ちが集中するのはオーケストラ、ソロ、合唱ともレベルが高くバランスが取れているからだ。合唱団が混声でなく変声期前の少年と男声だと芸術的な音楽というより純粋な信仰の音楽と感じるのは自分だけだろうか。ヨーロッパの宗教のことはわからないが少年合唱が盛んになる土台があることは今日の演奏会で実感した。聖堂、オーケストラ、オルガン、少年合唱が揃うのは演奏効果においてもすばらしくこのコンサートをヨーロッパの伝統ある聖堂で聴いてみたくなった。
  すべての演奏が終わり、聖堂を出て無料サービスのコーヒーをいただき控え室の方へ行くとGさんがいたので「すばらしかった」旨を伝えた。ガラス越しに見える控え室での団員たちは浮かれた様子はなく落ち着いた雰囲気だ。12月23日にサントリーホールでソロを歌う中学生のK君にも会い、当日は『メサイア』と掛け持ちすることを知った。これを聞き応援せねばとすぐに『メサイア』のチケットを購入。余韻に浸りつつ会場を後にした。自分はキリスト教徒ではないがとても落ち着いた気持ちになった。「神様はだれにでも公平」なのだろう。この気持ちを大切にするべくいつもならどこかで軽く一杯なのだがまっすぐ帰宅した。
  関係ない話だが、コンサートレポートを書く時間は平日帰宅してすぐの1時間前後をあてている。その後夕食になるが演奏に関する部分を書いた2日間は酒を飲む気分にならなかった。これも神様のなせる業だろうか。宗教音楽の関心が高まってきた。


合唱を通して育っていく少年たち
           
グロリア少年合唱団ミニコンサート
                              2004年11月21日

                          
 横浜駅の東海道線ホームで電車を待っていると「鶴見付近で線路に人が立ち入った影響で遅れが出ています。」との放送が入った。今月3回目のグロリアのコンサートは事故による遅ればかりだったが幸いにして大勢に影響はなかった。乗り換えのため大船駅で横須賀線のホームに降りるとグロリアの制服を着たBクラスらしき男の子がいた。
会場である雪の下教会ホールのソファに座っているとCクラスの団員の祖父らしき人が「サッカーと合唱に友だちがたくさんいるんですよ」と楽しそうに話していた。このような年輩客が目につきアト ホームな雰囲気だ。そんな中でGさんから前回の聖堂コンサートでソロを歌ったテナーのNさんを紹介していただく。5月のバザーでもお会いしているがステージの時より穏やかな表情なのでソロを歌った人と気づかずにいた。更にこちらも前回、ボーイソプラノのソロを歌ったS君の母親も紹介していただき挨拶。鎌倉にも知り合いが出来つつありうれしい限りだ。開場になり前方右側の通路側を確保。隣には某児童合唱団の指導者であるMさんがいらしてSさんに紹介していただいた。「来日する少年合唱団を聴く人は日本の少年合唱団を聴きません。」という話しが出た。言われてみれば自分は海外の少年合唱団のコンサートを聴きに行くことは数少ないしそういうものかもしれない。
マスコミが日本の少年合唱団を取り上げないのも一因だろう。
この日のプログラムは以下の通り。

Cクラス
1. せかいじゅうのこどもたちが
2. ビビディバビディ・ブー
3. サモア島の歌
Bクラス
4. 海のマーチ
5. ぼくは雲雀
6. 卒業
Mクラス
7.「男声合唱とオルガンのためのミサ曲」より“グロリア”
Cクラス
8.アイアイ
9.ぽかぽかてくてく
2・3年生
10.アヴェマリア (サンサーンス)
11.アヴェマリア (グノー)
Bクラス
12 落ち葉
13.光の中へ さあ君と
BCクラス
14.たのしいね
GMクラス
15.ハレルヤ
全員合唱
16.天使の羽のマーチ

 先ずは、Cクラスが1曲目を歌うと指揮者の女性がCクラスについて「幼稚園の年中と年長のクラスで元気に声を前に出してうたうことを目標にしている。できれば怒鳴る声でなく頭声を少しずつ教えている。これが将来メサイアにつながるが先ずは歌が好きになり元気に歌うことを目指している」と紹介した。2曲目、3曲目は幼い声ながら音をはずしたり極端な大声を出すことはなく元気な声を聴かせてくれた。
 次のBクラスになると声がしっかりしてくる。Bクラスは小学1年生から3年生までのクラスで例年は12,3名だが今年は25名近くいる。2,3年生は2部合唱とラテン語の歌も歌う。全員元気いっぱいで練習と休み時間のけじめをつけるよう指導中とのこと。少年たちはどこでも同じだ。それにしても今の少年合唱団は20名を確保するのがやっとというところもあるのだからこの人数はたのもしい限り。会場から「ママ」という幼児のぐずる声が聞こえると指揮者の女性が「私の息子です」と一言で会場がなごむ。近い将来Cクラス入りしそうだ。
 続いてMクラスが登場。「Mクラスは、中学3年生以上で変声したメンバーがテノール、バスの男声合唱を行います。本日、中高生は期末試験の最中でいつもより現役が少ないです。このあたりにいるのが現役で期末試験をものともしない人たちです。(笑い)今日は元ボーイソプラノと元元ボーイソプラノの卒団した男声唱団といっしょに演奏します。」と指揮者が紹介した。いつも通りの落ち着いた重厚感のある合唱は男声合唱ならではだ。終わると再びBクラスが登場。Mクラスについて「あの子たちも、ちょっと前までは、ベレー帽をかぶり半ズボンをはいて歌っていたのですが」と指揮者が懐かしむように話した。小さい頃から歌っているメンバーが多いのだろう。Bクラスの『ぽかぽかてくてく』はこのクラスによく似合う曲だ。
 次の2,3年生の『アヴェマリア』はまだ幼い感じだが一生懸命歌っているのが良い。続いて1年生が加わり2曲を合唱。こちらはしっかりした合唱で歌い慣れている感じ。『アヴェマリア』も練習を重ねれば違う雰囲気になりそうで楽しみだ。ここでCクラスが加わっての『たのしいね』はその名の通り元気に楽しい雰囲気で歌った。
 次のGクラスは小学4年以上でソプラノ、アルト以外にMクラスが加わり男声だけの混声合唱を行うとのことだ。今日は『ハレルヤ』。この曲を聴くとグロリアの演奏会だなと思う。いうまでもなくさわやかな合唱で男声だけの『ハレルヤ』を何度も聴けるのは日本ではここ鎌倉だけだろう。
 最後は全員で『天使の羽のマーチ』の合唱だ。児童向けの曲だが混声で歌うとひと味違った重みが出る。これですべてのプログラムが終了。幼児期から青年期への変化がどのようなものかをゆっくり味わうことができ楽しかった。またグロリア少年合唱団の層の厚さを感じるとともに歌を通して人として必要なことを知らず知らずのうちに学んでいるのだなと思った。生涯教育といってもよいこの合唱団の名前がもう少し世間に広まり団員が増えることを願いたい。
 会場の外で1999年の海外演奏旅行記を購入。帰りの電車の中で読みながらヨーロッパの聖堂で聴く宗教曲はどういう感じかを体験してみたくなった。同時に年上の団員が年下の団員の模範になっている様子とそれが長い間、受け継がれてきたものということを認識した。日本人が忘れてしまった良い意味での少年の社会がここには残っている。

天正少年使節を思い起こした舞台
      
第45回グロリア少年合唱団定期演奏会
                            
          2005年4月8日


  会議が終わると同時に職場を飛び出し、鎌倉の会場へ到着したのは7時過ぎ、1曲目が始まっていた。係りの人が舞台に向かって右ブロックの後方の空席へ案内してくれた。どうにか間に合いやれやれだ。

 当日のプログラム
   第T部
ポルトガル
   1.山のオリーブの木(B)   2.ローザよ、まわれ(B)
   
イタリア
3.わたしのベランビンバ(C) 4.ジロマトンド・ジロトンド(C)
5.がちょうのおばさん

スペイン
6.禁じられた遊び(B) 7.スペインのセレナード(B/2・3年生)
  Special Program
 スペイン・セビリアの夏祭り/セビジャーナス

8.グラナダ(独唱;陣内俊生)

イタリア
9.くらやみ(C) 10.ママごめんなさい(C) 

11.自動車になったカメの歌(C) 12.白い道(B) 13.海はまねく(B)   
 
A.ヴィヴァルディ作曲 『グロリア』より(GM)
14.主なるひとりご イエス キリストよ  15.主のみ聖なり
16.聖霊とともに 父なる神の栄光のうちに

第U部
柴田南雄作曲 オペラ『忘れられた少年』第1幕より
1・序曲             2.ときゆく者のヴォカリーズ(M)
3.『少年よ 蘇れ!』(GM)   4.少年たちと村人の対話(語り)
5.『果てなき旅』         6.『なぜ』(語り)
7.『信じましょう、主のみわざを』 8.ヴァリナーニャと大名の二重唱
9.『かえっておいで』(G) 
O Vos Omnes(M) T.Ldeヴィクトリア作曲
10.船旅・嵐           祝典音楽と歓迎の合唱
12.ベルナルドのレシタチーフとアリア
13.『送別のソネット』(GM)

全体合唱
ローズマリーの歌(ポルトガル民謡)
 
  今回のプログラムは、約420年前、天正少年使節が旅したポルトガル、スペイン、イタリアの曲で構成されている。前半はBクラス、Cクラスがそれぞれの特性を生かした曲を披露した。Cクラスは幼いながらも声が揃っていて普段の指導の成果が表れていた。Bクラスは元気な中にもアンサンブルのよさがある。『メサイア』を見据えて子どもたちを育ていこうというグロリアならではの歌声だ。最初の「ポルトガル」の2曲は原語で明るい合唱を聴かせてくれた。続いてCクラスによる「イタリア」の曲も明るくリズミカルだ。身の丈にあった歌声は好感がもてる。終わると再びBクラスが登場。『禁じられた遊び』を歌い終えると2,3年生で『スペインのセレナーデ』。いかにもスペインのリズムという曲でステップを踏んでみたくなるような合唱を披露した。観客をそういう気持ちにさせたところでフラメンコギターを弾きながら登場した男性が朗々としたテノールを披露。それに合わせた早稲田大学フラメンコ集団による踊りは舞台を盛り上げた。続いて陣内さんが『グラナダ』を独唱。2年前の定期演奏会の幕開きで『荒城の月』を独唱したことを思い出した。この当時は高校生。現在は大学生になり、体格がよくなった分、声が響くようになった。残念ながらこの日は省略した部分があったがスペインの太陽と空をイメージできた。
 終わるとイタリアに入り再びCクラスが明るく元気な歌を披露。続いてのCクラスが合唱する『白い道』はヴィヴァルディの『四季』「冬 Largo」に日本語の詩をつけたものだ。嵐の後、暖炉の前でくつろぐ様子を表す曲で歌っている詩の意味は違うが曲想に合っており、知らなければ日本の曲と思うほどの仕上がりだ。
 GMクラスによる『グロリア』は力強さと同時に繊細な透明感を感じる合唱でこのクラスならではだ。変声前の少年合唱と男声合唱とのバランスもよい。「アルトがしっかりしてますね」休憩に入るとそんな声が聞こえた。
 第U部は本日のメインである。天正少年使節の存在はもちろん知っているが詳しいことまではわからない。そこで図書館に行きいくつか資料を読んでみた。ここでそのことを述べるのは避けるが旅の過程を簡単に述べる。
1582年2月  伊東マンショ 千々石(ちぢわ)ミゲル 原マルチノ 中浦ジュリアンの4名はヴァリニャーニョ神父とともに長崎を出発。
1583年11月  インド ゴア到着  ヴァリニャーニョ神父と別れる
1584年 8月  リスボン到着
   同年11月  マドリードで国王フェリペ二世に謁見
1585年 3月  イタリア、ピザでメディチ家のパーティーに出席
同年 3月  ローマにてローマ教皇グレゴリオ13世に謁見
同年 6月  ローマ出発
1586年 1月  リスボン到着
 同年 4月  リスボン出発
1586年 4月  インド ゴア着 ヴァリニャーニョ神父と再会
1586年 8月  マカオ到着
1590年 6月  マカオ出発
 同年 7月  長崎到着

  今では考えられないような長い旅である。半端な決意ではできないことで当時、13〜14歳の少年たちは何を思っていたのだろうか。そんな問題提起を感じる曲だった。演奏会形式の舞台はシンプルだがそれが却ってこの曲を観客に訴えかける効果があった。日本語の詩が聞き取りやすくはっきりしているのがよい。ヴァリニャーニョ神父を演ずる先生は足を怪我して車いすを使っているにもかかわらず豊かな声量で少年たちをリードした。少年役のS君をはじめとするソロ4名もしっかりと澄み渡る声を聴かせてくれた。これらを軸にして進んでいく物語性のある合唱は聴き応えがあった。
大きな拍手で終了するとヨハネパウロ二世に捧げる(当日は葬儀の日)歌を厳かに合唱。この日の定期演奏会と重なったのも何かの縁かもしれない。
  最後に4人の少年たちがヨーロッパで最初に上陸した国、ポルトガルの民謡『ローズマリーの歌』を全クラスで歌って終了。歴史の一齣を思い起こす充実したプログラムだった。

  ロビーで秋山君兄弟とおかあさんにお目にかかった。先ほどソロを歌ったS君とお兄さんの智紀君は進学した中学校で同じクラスになったそうだ。出てきたS君は智紀君と握手をしながら「グロリアに入ってください」と一言。飾り気のない率直な態度に純粋な心を感じた。420年前の少年たちも同じように一途で純粋な心をもっていたのだろう。

引用文献 小学館「天正少年使節」

関東の常連が集合
      
グロリア少年合唱団のバザー
                            
2005年5月3日


 鎌倉の雪の下教会に着くと道路に面した階段に整列したメンバーが『ハレルヤ』を歌い出す所だった。きょうは天気がよく絶好の行楽日和で道行く人も多い。バザーの売り上げ倍増といきたいところだが歌は聴いても中に入る人は限られている。行列のできている飲食店に入ることを考えればここの焼鳥(美味 タレと塩があり塩が生ビールに合う)や焼きそば、手作りサンドイッチなどの良心的な値段と内容のものを食する方が時間とお金の節約になると思うのだが。『ハレルヤ』は私服のGMクラスと制服姿のBクラスの混成だ。歌い終わって保護者の所へ戻ってきたBクラスの子が「ハレルヤ歌ったよ」とうれしそうに報告していた。グロリア少年合唱団員にとって『メサイア』は特別な曲なのだろう。Gクラスのメンバーは模擬店の店番など仕事を始めた。くじ引きコーナーに近藤喬之君がいたので声をかける。秋山智紀君、直輝君兄弟とお母さんにもお会いした。お母さんに促された直輝君は横須賀芸術劇場合唱団少年少女合唱隊でいっしょに歌っている中学1年生のW君を紹介してくれた。W君にぜひグロリアを見てもらいたかったとのことでこのような交流ができるのは喜ばしいことだ。W君は秋山兄弟同様礼儀正しく好感をもてる少年だ。「声変わりした人たちと歌えるのはいいですね」という感想を後から聞いた。
 この日はバザーと併せ、別の場所にある鎌倉彫資料館など周辺を見学し連休の1日を楽しんだ。団員たちが歌うミニコンサートはCクラス、Bクラス、GMクラスが出演し得意のプログラムを披露した。野外で歌う演奏は難しいことを考えず楽しむだけにする。午後になり再び秋山さんと一緒になったのでワインを飲みながらお話し。W君と兄弟はGさんが作った焼きそばをおいしそうに食べていた。焼きそばは夜店のものと違いキャベツやにんじんの量が多く良心的だ。直輝君とW君がお母さんから「小さな声でいいから歌ってあげなさい」と言われ『きみはおしえてくれる』を特別に披露してくれた。二人のボーイソプラノの歌声に思いがけず贅沢な気分を味わいうれしくなる。この曲は音楽の友社の雑誌『教育音楽 小学版4月号』(2005年)にCD付きで紹介されており横須賀芸術劇場合唱団少年少女合唱隊が歌っている。秋山さんによると少年合唱団に似合う曲なのでと教えてくださった。歌詞を紹介するので興味を感じた方は本を取り寄せをお勧めする。
            

      きみはおしえてくれる
                      新沢としひこ作詞 氏家晋也作曲

 高い所が嫌いな ぼくの手を引っ張って
 君は一本橋を渡らせてくれたんだ 
 「虫だってかわいいだろ」とぼくの人さし指に
 きみはてんとうむしを とまらせてくれたんだ
 きみはおしえてくれる 世界はおもしろいよ
 おしえてくれる 世界はすばらしいよ
 楽しいことがまだまだ たくさんあるんだよ
 「夕焼けがきれいだよ」とぼくの手を引っ張って
 きみは土手の上まで 連れて行ってくれたんだ
 「これを読んでみなよ」と 星の名前の本を
 きみは大切そうに カバンから取り出した
 きみはおしえてくれる 世界はおもしろいよ
 おしえてくれる 世界はすばらしいよ
 知らないことがまだまだ たくさんあるんだよ
 ぼくが どんなにこわがりでも きみは おこったりしない
 ぼくがどんなになさけなくても きみは わらったりしない
 きみはおしえてくれる 世界はおもしろいよ
 おしえてくれる 世界はすばらしいよ
 楽しいことがまだまだ たくさんあるんだよ
 知らないことがまだまだ たくさんあるんだよ

  去年までならこのあたりで引き上げるが、きょうはGさんと約束があるので残ることになっている。最後のミニコンサートを終えた団員たちはさすがに疲れた様子。バザーの準備や当日の仕事は大変だったろう。お疲れさまでした。バザーが終わり片付けが始まった頃、フレーベル少年合唱団のOB、Fひらさんが駆けつけてくれたのでGさんに紹介した。片付けの間、Fひらさんと喫茶店で時間調整をして鎌倉駅でGさんと落ち合い、中高生の団員とともにファミリーレストランで歓談。更にGさんの案内で穴場的な洋食屋でFひらさん、近藤君と食事を楽しむうち夜は更けてきた。

生きる者へのメッセージ
少年たちへのレクイエム グロリア少年合唱団特別演奏会

                                                          2005年10月9日(日)


  3連休の中日となる日曜日は雨だった。「この時期、2日連続で雨が降ることはあまりないんだけど」と言うと「いいんじゃない? レクイエムはこういう日に似合ってるよ」と薫が答えた。「そうかもしれない」と傘をさして歩くうち、目指す鎌倉芸術館の大きな建物が見えてきた。インターネットで申し込んでおいたチケットを受け取り入場。きょうは舞台を広角に見たかったので、2階に席を取った。プログラムに目を通していると「書き急げ。時間がない」のサイトを運営している遠野さんが3階席からいらしてくださったので初対面のご挨拶。この演奏会に合唱団員として出演するご子息の話しも伺った。
 当日のプログラムは以下の通り
 Mカルドーソ  タントゥム エルゴ   このように大いなる奇跡を前にして
         Tantum ergo
 
Mカルドーソ  パニス・アンジェリクス  天使の糧
        Panisu angelicus

TLヴィクトリア  ウナ・オーラ     一時間すらも
          Una hora

WAモーツァルト  ミサ・ソレムニス KV337  荘厳ミサ
          Missa Soleminis

休憩

WAモーツァルト レクイエム ニ短調 KV626
         Requiem

 今回のプログラムのメインは『荘厳ミサ』と『レクイエム』で、モーツアルトの生誕250年ということでの選曲だそうだ。モーツアルトのオペラは好きでよく聴くが、レクイエムを聴く機会は全くなかった。この分野に興味がなかったからである。レクイエムというものを初めて聴いたのは2年前の2003年、ここ鎌倉芸術館でグロリア少年合唱団によるモーツアルトのレクイエムだった。別にレクイエムが目的ではなく少年合唱団に興味があったから出かけたのだ。この日は忘れもしない9月15日、阪神タイガースが18年ぶりのリーグ優勝を果たした日だ。周囲の人たちに「阪神が優勝したら、馬鹿騒ぎをしてやる」と広言し、そのつもりでいたのだがレクイエムを聴いたことで気持ちが冷静になり騒ぐつもりなど微塵もなくなった。「これがレクイエムの効果なのだ」と感じつつテレビニュースで星野監督の胴上げシーンを見たことを覚えている。きょうはどんな気分になるか楽しみになってきた。
 最初の曲と2曲目、3曲目は男声合唱だ。オルガンの音を合図に始まるやわらかな高音と重い低音が重なった男声ならではの荘重な祈りの曲だ。オルガンの音がうまく溶け合い、目をつぶると自分をより深い部分へと導いていくように感じた。この気分に浸ったところで室内オーケストラ、変声前の少年合唱団とソリストが加わり『荘厳ミサ』が始まる。それぞれのパートが突出することなくきれいなアンサンブルを作り、音楽が素直に心に沁みてきた。ミサ曲は人をそういう気持ちにさせるものなのだろう。終わると休憩となり気分をリフレッシュする。
 本日一番の目玉である『レクイエム』も演奏会場で聴くのは初めてだ。時に重々しく、時に安息を与えるように、またテンポを変えたりなどするので人を飽きさせない。モーツアルトはそこも考えたのだろうかと推理しまう。要所で軸になるソリストが存在感のある声で歌い、合唱がこれを支える。女声合唱でなく少年合唱が入ると死者を純粋に悼もうという気持ちになる。不思議に思うが男声合唱の力強さに対し少年合唱の繊細さがそうさせるのだろうか。日本ではグロリアでしか聴けない混声合唱にどんどん引き込まれていった。終わると「ブラボー」という声と共に大きな拍手が起きた。「来て良かったです。ボーイソプラノはいいですね。涙が出ました」と話している年輩の女声グループの声が耳に入ってきた。2年前と同じく心はとても冷静になっていた。しばし余韻を楽しんでから席を立った。3階席にいたFひらさんと一緒になり会場を出て喫茶店を探すがこれといった店がない。Fひらさんも自分同様、コーヒーに関してはこだわりがあるようだ。自分としては無口なマスターが1杯ずつ煎れてくれる店がいいのだが目に付くのはチェーン店ばかり。仕方なくそんな一軒に入って歓談した。「歌の好きな男の子が自然な発声で歌っているのがいいですね」などと演奏会のことを話題にした。前の日まではよくなかったのを指揮者が気合いを入れたらこの日の演奏ができたと後日聞いた。練習は思いの外、大変だったのだろう。少年たちにあらためて拍手を送りたい。
 帰宅して食卓に座り、白ワインをグラスに注いでいたら「日本酒じゃないんだ。いつもと違うね」と薫が笑った。「西洋の曲の後は洋酒だね。きょうの合唱はすっきりした白ワインが似合う」「ぼくもわかるような気がする」「合唱はどうだった? グロリアをきちんとした会場で聴くのは初めてだよね」「とても敬虔な気持ちになった。男声の混声合唱がこんなにすばらしいと初めて知ったよ」「君もそう思う?」「こんなすばらしいレクイエムは生きているときに聴かなきと価値がないと思ったよ」「なるほど。確かにそうだ。何事も生きている時に経験してこそだね」「だからさ、昨日のワインの会にぼくも行けばよかった。10種類飲んだそうだね」「薫君、この先はオフレコだ」私も笑いながら唇に人差し指を当てた。

グロリア少年合唱団2題
・第47回鎌倉市民合唱祭のBCクラス 『アヴェ・マリア』に挑戦
・『魔笛』の童子役は少年がよく似合う


 鎌倉合唱連盟の理事長である児島百代さんの挨拶で合唱祭は始まった。児島さんはグロリア少年合唱団の母と呼ばれているそうで真摯な話を聞き懐の深そうな方だなと思った。その中に鎌倉市歌の話が出てきて「みなさんもご唱和ください」と結んだ。児島さんのような話し方だと唱和しようと言う気持ちになる。このあたりがグロリアの母と呼ばれる所以だろう。市歌は例年、合唱祭のトップに出演する団体が歌うことになっており今年は年輩の方々の合唱団だ。鎌倉の風景を歌った市歌はゆったりとしていて歌いやすい。昔、グロリア少年合唱団が歌うレコードがあったそうだ。前置きが長くなった。本題に入ろう。グロリア少年合唱団は43団体中、5番目の登場で、今日のプログラムは『ぼくらのクラス』、『夢の宇宙船』、グノーの『アヴェ・マリア』の3曲だ。「ぼくたちグロリア少年合唱団は、ヨーロッパの伝統的な音楽を歌っている日本でも数少ない少年合唱団です。今回は幼稚園年中さん〜小学2年までのBCクラスが、外国語の歌に初挑戦します。ぼくたちといっしょに歌ってくれる男の子、大募集中です!」とプログラムに書かれた紹介文は意欲を感じさせる。最初の2曲は小学生14名の合唱で1,2年生にしては声が揃っていて一人一人が一生懸命歌っているのがよい。『アヴェ・マリア』は園児3名が加わり17名の合唱だ。当然のことながら上級クラスに比べて幼い声だ。しかしこのメンバーだからこそ表現できる「温かさ」や「楽しさ」を感じた。この曲はマリアを讃える歌で上級クラスが歌うと敬虔な気持ちになるが今回はそれとは違う。信心とは本来、「温かさ」や「楽しさ」が根本にあるのだと気付かせてくれる合唱で初挑戦を多いに評価したい。もしマリア様が聴いていたらニコニコしながら一緒に歌っているかもしれない。そんなことを頭に浮かべた合唱だった。「この子たちが上級クラスになった時と聴き比べがしたいな」と思いつつ席を立った。(11月3日)

  さてこの日、グロリア少年合唱団員が3名の童子として出演する百音の会主催のオペラ『魔笛』のパンフレットを受け取った。『魔笛』は好きなオペラなので11月13日(日)に鎌倉駅近くの生涯学習センターホールに足を運んだ。
 舞台に置いてあるのはひな壇(中央が1段高くなっている)と中央後方に置いてある3台のライトのみ。下手にピアノとシンセサイザーが置いてある。幕があくと序曲が連弾で演奏される。簡素な舞台であの『魔笛』をどのように上演するのか、弁者やモノスタトス更に合唱団がいないのをどう補うのかと興味がわいた。今回、楽しみにしていたのは3名の童子役を歌うグロリア少年合唱団で白い式典服で登場した。上級クラスの中でトップクラスであろう3名は透明なよく通る声で役柄を表現した。やはり童子役は女声ではなく少年がやるべきである、直立姿勢で歌うのは歌唱を第一に考えての演出で少年たちへの配慮を感じた。欲を言えば手の使い方を工夫するなど簡単な演技を入れるとよかった。そうすれば、オペラの楽しさがより観客に伝わっただろう。他にも自分ならこう演出してみたいと思う場面がいくつかあったが全体的に見れば十分に楽しめた。歌手たちはしっかりした声とアンサンブルの美しさで観客をメルヘンの世界へと誘った。鈴の音や合唱団はシンセサイザーが、登場しない役柄は語り(児島百代さん)で補った。最近のオペラを観て感じることは余りにも舞台装置が凝っていて音楽を聴きに来たのか演出を観に来たのかわからなくなることだ。オペラをたくさん観る機会のあるヨーロッパならそれでもよいが『魔笛』ですら見る機会の少ない日本では音楽をもっと前に出すべきと思っている。この日の『魔笛』は音楽面がしっかりしていれば簡素な舞台でも観客は十分に楽しめることを証明した。終演後、ロビーでメモを整理していると童子役の少年たちが出てきて、夜の女王が歌うアリアの高音部を歌っていた。10日前に聴いたBCクラスの子もいずれこういう感じになるのだろう。成長が楽しみだ。

クリスマスはグロリア少年合唱団の『メサイア』
                                                           2005年12月23日


  自分の手元に『メサイア』の楽譜がある。以前にグロリア少年合唱団の近藤君が「メサイアを歌う日は、朝からワクワクします」と話すのを聞き「ワクワク」とは、どんな気持ちなのだろうとしばらく考えていた。そんな時、町を歩いていたら「メサイアを歌う合唱団員募集」の張り紙を見つけた。次の日、衝動的に合唱団の練習場所である某教会へ出かけ一緒に練習してみたが全員が上級者。自分とはレベルが違いすぎたので合唱は諦め、楽譜だけを購入した次第だ。その楽譜を見ると合唱だけでもかなりの曲数で休憩を入れるとはいえ素人が歌い続けるのはかなり難しい。舞台に上がり最後まで参加するには音楽をしっかり身につけるとともに体力が必要で、そのためにはかなりの練習時間を要するはずだ。近藤君のようにワクワクする境地になるのは努力があってのことと認識した。そんな予備知識を頭に置いて、グロリア少年合唱団の『メサイア』を聴きに鎌倉駅近くの雪の下教会を訪れた。当日は寒さのため、4時半開場の予定が30分ほど早まったのはありがたかった。並んでいる間にコーヒーなど温かい飲み物が配られるのは恒例で、コーヒーを口にしながらイエス・キリストのことを考えた。

 開演時間の5時になると年少のBCクラス15名が典礼服で整列し『あめのみつかいの』とグノーの『アヴェ マリア』を披露。幼い声ながら素朴な合唱は寒さで固くなっていた心をほぐしてくれた。続いて管弦楽や合唱団が所定の位置につき『メサイア』の準備が整うと指揮者が登場。大きな拍手が起きるのは演奏への期待感からだろう。短調のシンフォニーが始まると自分の席の後ろで私語を交わしていた声が消えた。最初、金管楽器の音がやや耳障りだったが次第に気にならなくなり音楽に集中していった。残響が丁度良くソリストも合唱団も伸び伸びと声を出しているのも聴いていて気持ちがよかった。このまま演奏は続き、たちまち前半は終了した。休憩中、メンバーは演奏会場隣の会館で待機する。ガラス張りで外から見えることもあるのだろうが合唱団の少年たちは、はしゃぎまわることなく飲み物を前にして落ち着いて過ごしている。外では寒さにもかかわらず保護者の方々がクリスマスの雑貨や軽食などを販売し、希望する人たちに飲み物を配っている。多くの方々がこの演奏会を成功させようとしている姿に心を打たれ、その光景を心に焼き付けつつ早めに席へ戻り後半に備えた。隣の席では2年生ぐらいの男の子が「しゅは きませり」と小さな声で歌い母親に「どういう意味?」と聞いていた。母親はそれに答えながら「先輩たちはみんなやさしいから入ってみれば?」と入団を勧めていた。男の子は興味ある様子なので入団を期待したい。良い演奏を聴いているから心が動くのだろう。

 後半も期待に反することなく音楽に集中できた。合唱の女声が少年だと『メサイア』の価値が高まるような気がする。教会には少年の声が似合うのだ。演奏は進行し自分が一番楽しみにしていた『ハレルヤコーラス』が始まった。グロリア少年合唱団の『ハレルヤ』はひと味違う。「どこが違うの?」と質問されてもうまく答えられないが男声部と女声部の調和になんとも言えない良さがある。グロリア少年合唱団の『ハレルヤ』か『ハレルヤ』のグロリア少年合唱団かと思う所以である。合唱が終わった時、「クリスマスだ」と実感した。ここで自分の集中度は落ちたが演奏は心地よく体内に入ってきた。客席にいる分にはこれでいいのだろうが演奏者はそうはいかない。最後まで演奏を続けるのは並大抵のことではないのだ。全てが終わり大きな拍手を受けて挨拶する少年たちを見ながら一人一人何を感じているのだろうと考えた。達成感、成就感、心地よい疲労感、満足感などいくつかの言葉が浮かんできたが、その子にしかわからないことなのだろう。もしかしたら「ワクワクする気持ち」はこの瞬間なのだろうか。それは困難を乗り越えた者だけが感じ取れることで簡単なことではないと自分に言い聞かせた。一生懸命拍手をしている隣の男の子は自分もやってみようという気持ちになっているようだ。最後は会場全体で『ADESTE FIDELES』を歌い、ほんの一瞬だがキリスト教徒の気分になった。席を立ち出口へ向かう途中「これを聴かないとクリスマスが来ません」と話す声が聞こえた。自分と同じ思いをしている人が大勢いるのだ。心が満たされた想いで外へ出ると冷気が心地よかった。

ピッコロ・グロリアが初おめみえ
グロリア少年合唱団ミニコンサート
    2006年6月4日


  道楽さんが『館』にレポートを送ろうとパソコンを起動させるとGさんからのメールを見つけた。それには「グロリア少年合唱団のミニコンサートが今日の3時に開かれる」と書いてあった。時間は12時近く、今から支度すれば十分に間に合う。「どうするか」と首を捻る道楽さんにぼくは言った。「こんな時間にパソコンを使うことは滅多にない。これは神様の思し召しだぞ。行かないでどうする」「それもそうだ。行くか」ということでぼくたちは鎌倉の雪の下教会隣の信徒会館にやってきた。
  ここ信徒会館のホールはロビーとガラスで仕切られているので中の様子が見える。着いた時はBクラスがリハーサルをしていたが防音効果で声は聴き取れない。舞台から見て右側の壁に沿って一列に並んだイスにはCクラスが座り落ち着かない様子だ。それに対し客席後方に陣取っているGクラスはきちんとした姿勢でBクラスの様子を見守っている。こういう様子は少年たちの成長過程を見ているようで待ち時間も退屈しない。ではプログラムを紹介しよう。

ピッコロクラス&Cクラス
 線路はつづくよどこまでも
Cクラス
 ・チャップリコ ザンブリコ       ・ウンパッパ
Bクラス
 ・はばたけ鳥    ・もしも   
・少年少女のための合唱組曲「宇宙(そら)」より  子犬のジャッキー
Mクラス
・ It‘s me.O Lord
Cクラス
 ・ゆかいに歩けば  ・エーデルワイス  ・ともだちさんか
3年生 
 小ミサ曲より  キリエ エレイソン  (フォーレ)
Bクラス
 ・ゆかいなサイクリング  星の大地に
G・Mクラス
・ ハレルヤ
全員合唱
・ 地球の仲間
 
 最初は新しくできた年少クラスのピッコログロリア4名と年中、年長グループCクラス7名が整列した。本題に入る前に「ピッコロ・グロリア募集」のチラシに書いてある文章を引用させていただく。
「優れた音感を養うには、3〜4歳児からの早期教育がもっとも有効とされています。そこでグロリア少年合唱団では、かねてよりご要望の多かった年少さんのクラスを新設いたしました。

   少年合唱団への前段階として、親子でのリトミックや楽しい曲の数々を、専門講師が丁寧に指導いたします。この機会に貴重な音楽体験の第一歩を、私たちとともにスタートさせてみませんか」 では本題に戻ろう。
  歌の前に、Cクラスの子がピッコロの立ち位置を直すのは見ていて微笑ましい。歌の方はひたすら元気な歌い方で曲もそれにふさわしい。終わるとピッコロは客席の保護者の元へもどりCクラスの歌となる。元気な歌い方に変わりはないが、大きな声ではなく歌うための声の出し方をしているのがピッコロとは違う。こういう所が先輩の貫禄と感じる。次は小学1年生から3年生のBクラスで17名が2列に整列した。このクラスの練習は2部合唱であること、2,3年生は上級クラスに上がる準備でラテン語や外国の歌をやってみることが紹介された。また2泊3日の合宿があり、中学生が面倒を見てくれる。この合宿が終わると「先輩」という言葉が初めて出てくるようになり良い意味の縦割り集団になっていくそうだ。合唱の方はまだ幼さが残っているが声はよく出ており、プログラムの進行に合わせて歌声は落ち着いてきた。

 次のMクラスは中学3年生から高校3年生までのクラスでテノールとバスを担当していること、GMクラスになってもソプラノやアルトが出せる少年たちもいてひそかにHクラスと呼んでいること、高校卒業後、音楽関係に進むことを希望している子が増えてきてうれしいこと、それとは別に違う道を進み例えばプロ野球選手やJリーがーになってオフシーズンに『メサイア』を歌いに来てくれるのが楽しみなことなどが紹介された。スポーツ選手が合唱というのは欧米なら多そうだ。もし日本にも、そのような人が出てくれば少年合唱の活性化につながりそうで実現すればと思う。さて、この日は中間試験や模擬試験の関係で現役は3名だけで指導者とOBが加わった。合唱はアカペラで男声合唱特有の深い声を響かせ、現役の一人が伸びのあるソロを聴かせてくれた。 

  終わると再びCクラスが登場。先生から「この子たちがこのメンバーで大人になってもMクラスのように歌ってくれるといいですね」と話があった。これを聞き合唱を楽しめる大人になって欲しいと思った。そのCクラスのメインは英語による『エーデルワイス』だ。他の2曲が幼児風の歌にもかかわらずこちらは少年合唱風の仕上がりになっていた。感心すると同時に特別な練習をしたのかな?と思った。もしかしたら英語の方が声を出しやすいのかもしれない。

  次は小学3年生8名による合唱で「GMクラスのように歌うことが目標」だそうだ。全員が音符を一つずつ丁寧に歌っている印象をもった。そしてなにより一生懸命なのがよい。一人一人が上級クラスへの過渡期を楽しんでくれればと思う。

  続けて再びBクラスの編成になり、最後の2曲は伸び伸びとした合唱になった。次第に声が暖まってきたのと他のクラスの歌が刺激になったのだろう。歌は気持ち一つで良くもなるし悪くもなる。待機時間中もきちんと過ごしている表れだろう。

  終わると小学4年生から中学2年生までのGクラス25名と前述のMクラスが整列した。このクラスになると外国の歌が多くなること、この春に演奏旅行を行ったことが紹介された。この後「Hクラスの人。手を挙げて」の指示で中学生4名が手を挙げた。前述した通りソプラノとアルトが出せるメンバーだ。この日の曲目は十八番の『ハレルヤ』でいつ聴いてもいいものだ。ソプラノやアルトの声はきれいに伸びていて上級生の力を証明した。こういう先輩たちを見てBCクラスも後に続くことになるだろう。最後は全員揃って元気に合唱をして終了。幼児から大人まで男ばかりで歌える場所は希少価値で、人間形成の上で非常に役立つはずだ。最後に指導者から「歌の好きな男の子をいつも待っています。ぜひ門を叩いて見てください」との言葉を聞き、入団希望者が出ることを願った。

  外へ出ると、会場の並びにある鎌倉彫り資料館を見つけた。道楽さんに誘われ中に入ることになった。道路沿いのガラス張りのコーナーで製作過程のビデオを熱心に見ている道楽さんから離れてぼくは展示物を見た。別に興味は感じなかったけれどビデオを見終わった道楽さんは受付の女性と熱心に話しをしていた。週1回、3年間で初級を勉強する教室があることを知り道楽さんは興味を感じたようだ。しかし話の途中で携帯電話が鳴り、残念ながら帰ることになった。外へ出てから「良いものを作ろうと思ったら手間が必要だから当然時間もかかる。そのための技術も伝え続けなければならない。途絶えたらおしまいということを再認識した」道楽さんがポツリと言った。「どういうこと?」「薫君も段々とわかるようになるよ。今日は、君の言葉通りにしてよかった」道楽さんはぼくの肩を軽くたたいた。

21世紀の少年使節たち
グロリア少年合唱団の帰国記念公演
                                       2006年8月27日


  「なに馬鹿なこと考えてるんだ。冗談じゃない」ぼくは道楽さんの発言に本気で怒った。「みなさん。聞いてください。道楽がなんて言ったと思いますか? 『レクイエム』を聴いて『このまま死んでしまうのもいいな』ですって。そんなことになったらたくさんの人にご迷惑がかかりますよね。えっ? ただ言ってみただけ? 悪い冗談はやめてレポートを書いてくれ」これ以上しゃべっていると怒りが増幅するばかりなのでしばらく黙ります。

 鎌倉雪の下教会に着いたのは6時前だった。この時点で並んでいる人は約40名。自分が列に加わった直後に列が伸びはじめたから開場30分前が一つのポイントだ。年輩の人が多いのは当然と言えば当然だが若いカップル客がいないのは寂しい。演奏終了後、喫茶店に行けば話が深まるだろうにと残念な気持ちだ。ただ最近、喫茶店が減ったなと思う。自分はカウンターでマスターがサイフォンやドリップでコーヒーを作る姿が好きである。自分はそんな店で客の会話を聞きながら活字を追うのが常だ。昔は喫茶店に若いカップル客がいて未来の話をしていたものだが今はおじさん、おばさんが老後の話をしているばかりだ。少年合唱団と同じく日本の喫茶店文化はどうなるのかと道行く人たちを眺めながら考えた。
 開場となり前方の右側の席を確保。出入り自由な通路側を確保したいが後から来る人のために中央に座った。以前、カバンを置いて席を立ったら後から来たおばさんトリオにずらされてしまった経験があるのでおとなしく座っていよう。会場係の保護者の方々が空いている場所を見つけて後から入ってくる観客を誘導する姿を見てご苦労なことと心の中で感謝した。さてグロリア少年合唱団の『レクイエム』は2003年に初めて聴いて以来、演奏会がある度に足を運んでいる。2003年と2005年が大船にある鎌倉芸術館。今回は雪の下教会なので一般のホールとは違った雰囲気が期待できそうだ。この演奏会はご案内の通り春にポルトガル、スペインで行った演奏会を帰国記念したものである。このコンサートのことがパンフレットに掲載されているので紹介しよう。

 East meets West  時をつなぐ心の架け橋
 グロリア少年合唱団は2006年春、下記の日程で天正少年使節の足跡を辿るポルトガル・スペイン演奏旅行を終えて帰国致しました。
 平素より私どもの活動に温かいご支援をいただいている皆様のおかげで、過去に比類なき成功を収めることができただけでなく、子どもたちにかけがえのない経験という贈物を持たせて、鎌倉の地に戻ってこられましたことに心より御礼申し上げます。
 現地ではメディアで大きく扱われ、現地での演奏会の申し込みが寄せられたばかりか、最大級の賛辞を頂きました。その昔、行く先々で欧州の人々から歓待を受けた古の少年たちが、かの地の人々の心に、そして今を生きるグロリアの少年たちの心に甦り、時を越えてつながったと思える至福の祈りを分かちあえる旅となりました。
3/27 聖地/世界遺産 サンチャゴ・デ・コンボステーラ 大聖地 演奏会
3/28 コインブラ 聖堂 ミサ奉仕
3/29 聖地フェティマ パジリオ ミサ奉仕(欧州7ヶ国に生中継)
3/30 世界遺産 リスボン ジェロニモス修道院 演奏会
4/1 サンタレン サンタ・マリア・ダ・グラッサ教会 演奏会
なかなか魅力的な旅程で自分も同行してみたかったがこの時期は休暇が取れないので断念した次第である。この種の旅をレポートしてみたいが当分は無理だろう。

  演奏に先立ち指揮の松村先生が、訪問した場所をスライドで紹介しながら解説した。演奏会には大勢の人たちが訪れたそうでなによりである。こういう話を聞くと現地を訪れたくなるのは性分だ。「早く本題に入ろう」薫が口をはさんできた。
先ずは客席後方から開幕を知らせるように金管楽器が鳴った。舞台には男声合唱団が登場し合唱が始まった。聖堂のせいか普通のホールより深い歌声に感じた。終わるとオルガンの音に合わせるように後方から少年合唱団が入場し定位置についていく。こういう演出は聖堂ならではだ。オケのチューニングが終わると指揮者とソリストが登場し演奏が始まった。出だしは厳かだが声はしっかりと会場を包み込んだ。これは良い演奏になりそうだと期待が高まった。その期待通り最後まで自分の心に訴えかけてくるすばらしい演奏だった。オーケストラ、ソリスト、合唱、そして聖堂という物理的要素が調和した結果だろう。うまい例えではないが料理とワインがある。料理だけあるいはワインだけを口にしてもそれだけではどうということはないとしよう。ところが料理とワインを同時に味わうと互いが引き立て合いすばらしい食事となることがある。この日の『レクイエム』はそんな感じだった。その結果、自分は演奏に気持ちよく酔い、薫を怒らせる言葉を口にした次第だ。他の観客も同じ思いを抱いていたようで曲が終わってもしばらくの間、拍手が出なかった。それだけ演奏に気持ちを集中させていたのだろう。この種の曲は、まだまだ初心者の自分でも感動したのだから、現地の人たちは更に奥深い感動を味わったことだろう。現地に行けばその感動を共有できたかもしれないと惜しい気持ちになった。団員たちは貴重な経験をしたわけで将来につながるだろう。

  アンコールの『アヴェ マリア』は初めて聴く曲だった。冒頭に松村先生の話に出てきたファティマの教会で歌った曲だろう。日本語で歌ったそうだが「アヴェ マリア」の部分は現地の人たちも一緒に歌い大合唱になったそうだ。この曲はゆっくり目のテンポで低音と高音の調和もよく落ち着いた気分になれる。団員たちが教会から帰る時に鳴ったカテドラルの鐘は、このメロディだったそうで彼らはいいようのない感動を味わったはずで、平成の少年使節としての役割も果たしたわけだ。ここ鎌倉でも歌い終わると「ブラボー」の声が上がり大きな拍手がおきた。すばらしい演奏を聴かせてくれた演奏者たちに感謝しよう。
「薫君、やっぱり現地に行けばよかったかな? 現地の空気に触れれば今日の『レクイエム』はもっと感動できたろうね」「考えてみなよ。お互い、いつまでも元気でいられる保証はないんだから思いついた時に多少の無理をしてでも行ったほうがいい」「そうだね。覚えておこう」「旅費を作るためと健康のためにお酒を節約しよう」「それは難しいな」「もっと本気になりなよ」ぼくは道楽さんの肩をたたいた。

きれいな声の男の子たち
合唱祭に出演したグロリア少年合唱団BCクラス

                                                        2006年11月3日

  「時間だよ」ぼくはコンサートレポートをパソコンに打ち込んでいる道楽さんに声をかけた。秋のコンサートシーズンに入り、鑑賞とレポートで忙しくなってきた。「ええ? もう?」とちょっぴり不満そうな表情の道楽さんに「ステージはぼくたちを待ってくれないんだぞ。早く行こう」と言った。道楽さんは渋々という感じで、できたところまでをプリントしカバンに入れた。電車の中でチェックを入れるためだ。イスの背にかけておいたジャケットを着ると「よし」とかけ声をかけて外へ出た。最寄り駅から電車に乗り座席に座るや居眠りが始まった。「原稿チェックどうすんだよ」と思ったけれど起こさないことにした。演奏中に居眠りされたら困るからだ。大船にある鎌倉芸術館へ着いたのは1時過ぎ。プログラム7番目の合唱団がステージに上がっていた。グロリア少年合唱団BCクラスは9番目だから間に合った。「よかった」ぼくたちは安心した。では道楽さんにバトンを渡そう。
 この日の曲名は『地球讃歌』と『野原で手をたたけ』の2曲。最初はBクラス18名での合唱。2曲目はCクラス5名が加わっての合唱だった。何度か紹介したがBクラスは小学1年生から3年生まで、Cクラスは年中、年長のクラスである。

 先ずはBクラスが2列に整列した。先生のサインで隣との間隔を微調整すると合唱の始まりだ。最初の出だしを聴き「きれいな声だ」と感じた。歌声はその時々によって違うものだがこの日は気分が乗っていたのだろう。ソプラノ、アルトのバランスは良く最後までそれが続いた。この歌は明るい曲調で子どもたちの声によく似合っているのも幸いした。男の子たちの歌声は大人の合唱団を聴いた後にはとてもさわやかで、この年齢でこれだけ歌えるのは立派である。終わるとCクラスが登場して前列に並び3列体形になると『野原で手をたたけ』の始まりだ。5名が加わっただけだが3列だと大勢いるように感じるのは不思議だ。Cクラスが加わっても声が幼くなることはなく1曲目のレベルを保っていた。子どもたちは緊張することなく伸び伸びと歌っており、普段から質の高い練習をしていると推測できる。ところでこの歌はご存じの通り、手拍子が合間に入る。観客がこれに応えて手拍子をすると良い雰囲気になるし子どもたちも気持ちよく歌えるのだが残念ながら反応はなかった。保護者のみなさんは、客席にばらばらに座り手拍子を打って周りの人を巻き込むようにしたらどうだろうか。

 歌が終わりロビーに出てプログラムを見ると参加団体は40団体だ。これはかなりの数で鎌倉周辺の音楽文化の高さを証明している。「さあ、お昼ごはんを食べに行こうよ」薫が声をかけてきた。「そうだ。忘れてた」「だめだよ。食べなきゃ。去年まであったおいしいお蕎麦屋さんはなくなったからどこか開拓しよう」「そうしますか」とプログラムをカバンにしまい外へ出た。「原稿のチェックも忘れずにね」


気分良く楽しんだグロリアのバザー
                              2007年5月3日


  虫の知らせというのはこういうことかもしれない。「薫君がわが家に来て3年目だよね。そろそろ後輩が欲しいだろ」道楽さんが言った。「ずっと、そう思ってたよ。でも見つからないじゃないか」これから家を出ようという時にそんな会話をかわした。後輩についてはお互いになんとなく考えていたけれど話題にすることはなかった。きょうは5月3日、グロリア少年合唱団のバザーだ。横須賀線の電車が大船駅を出発した時、「天気が良いから鎌倉を散策しようよ」と言うと「連休は人が多いから散策なんて雰囲気じゃない。バザーの会場でワインを飲みながら歌を聴いているに限るよ」という道楽さんは答えた。その言葉通り、北鎌倉駅と鎌倉駅の周辺はひどい混雑だった。これじゃ銀座通りだ。「銀座はもっと秩序があるよ。連休の鎌倉は秩序がない混雑だ」道楽さんはぶつぶつ言いながら、鎌倉駅前の人並みを縫うように雪の下教会まで歩いた。会場で模擬店を冷やかしていたらグロリア少年合唱団のマスコット人形を見つけた。Bクラスをデザインした人形で数は少ないけれどみんな顔が違う。「後輩が見つかった。どの子にしようか?」「こういうのは第一印象だ」と道楽さんはほとんど迷わず一つを選んだ。「名前はどうするの?」「もう決めた。『風(かぜ)』にしよう。薫を風にのせて広めて欲しいから」「風君? 薫風コンビだね。今の季節にピッタリだ」ぼくはうれしくなった。風君のことは近日中に紹介することにしてバザーの様子を道楽さんに書いてもらおう。
 人形を買ってしまうと後は野外コンサートを聴きながらワインを飲むだけだ。「まだ昼前だぞ。12時過ぎてからにしよう」薫に言われて時計を見ると11時になっていなかった。「11時に1回目のコンサートがある。外で待とう」ということで模擬店を眺めつつ外へ出た。通りに面したテントの下では焼き鳥、焼きそば、冷やしたペットボトル入り飲み物、生ビールなどを販売していた。炭火を使って焼いている焼き鳥の香ばしい匂いが開放感を味あわせてくれた。そこへ時々コンサート会場でお会いするMさんがいらしたので挨拶した。「どこも混んでいるのでお昼はここでビールと焼きそばにします」とのことで売り上げに貢献してくれそうだ。やがて11時になり最初に紺の半ズボンに白いカッターシャツを身につけたピッコロの3名が『山の音楽家』をかわいい仕草で歌った。続いては制服を着たBCクラス約20名が『ゆかいに歩けば』を元気に歌った。終わるとCクラスの2名が引き上げBクラスだけで『カリブ夢の国』を披露した。こちらは強弱をつけての合唱で先輩の貫禄を示した。続けて私服姿のGMクラスが登場し定期演奏会で歌ったドイツの学生歌『ガウデアムス』と得意の『ハレルヤコーラス』を披露した。制服を着ていないのは準備や片付けの作業を行うからだそうだ。どのグループも本日1回目なのでまだのどが暖まっていない感じだ。2回目以降に期待することにして会場に入りお目当ての白ワイン200円と手作りのミートパイを購入してイスに座りじっくりと味わう。なかなかの味で舌を楽しませることができた。グロリアのバザーの食べ物は味も値段も良心的で安心して食べられる。「外でソロをやっています」の声に誘われて行ってみると近藤喬之君が楽譜を手にドイツ歌曲を歌っていた。3年前のボーイソプラノはやわらかく深みのあるテノールに成長しつつある。この先が楽しみだ。もう一人、定期演奏会で『アルト・ハイデルベルク物語』の主役を演じた高校生のM君がドイツ歌曲を歌った。去年まではなかった新しい企画で喜ばしいことだ。気分をよくして会場に戻り2杯目は赤ワインとし外のイスに座って楽しむ。そこへ「オードブルはいかがですか」とお盆にオードブルを載せて売り歩いている助成から声がかかった。「タケノコにアンチョビーソースをかけた物です。ワインに合いますよ」こう言われたら買わねばならない。「余計なことを」薫がため息をついた。「ワインが足りないから買ってくる」と言うと「勝手にしてくれ」とあきらめ顔をされた。やがて1時になり2回目のコンサートが始まった。1回目と違いエンジンがかかってきた感じだ。ピッコロのメンバーの仕草を待機中のBCクラスのメンバーがやっているのが微笑ましい。歌が好きな男の子たちは年齢に差があっても共通点がある。1回目と同じプログラムで進行し『ハレルヤ』が終わるとMクラスと男声合唱が屋内で「グロリロリハレルヤ」(残念ながら正式な曲名を知らない。ごんべえさんのあかちゃんの節)を歌っていた。途中でジャズ風に変えて賑やかに歌い観客の注目を集めていた。この日は全員乗り乗りで楽しんでいた。「次は外に行こう。声は響かないからそのつもりでね」ということで外で歌い、再び屋内に戻って歌った。ちゃんと聴くのなら屋内がいいのはもちろんだが連休初日はどこで聴いても気分が良い。「あっ」という間に2時になり最後となる3回目のコンサートの時間になった。ピッコロ、BC、GM、近藤君とM君のソロ、男声合唱をワインのせいもあり気持ちよく楽しんだ。男声合唱が終わるとメンバーから「シマザキ、シマザキ」と手拍子入りのコールが起きた。当のシマザキ君は一度引き上げるとバイオリンを持って登場し演奏してくれた。そんなわけで今年のバザーは例年以上に楽しめた。終了後、会場に戻ると主だった品物はなくなっており盛況だったことがわかる。「あんたも売り上げに貢献したよ。ワイン4杯にミートパイとオードブル、それにカレーライスを頼んだんだから」薫が言った。「グロリアのバザーは特別なんだから行かなきゃだめと言ったんですよ」保護者らしきお母さんの声が耳に入った。全員が協力して運営しているからだろう。グロリア少年合唱団を見ていつも思うことは成長過程がはっきりわかることだ。また年下の子が先輩の名前を呼び捨てにして注意されたり、高校生の独唱をじっと聴き入っている小学生がいるのを見ていると良い意味での縦割り集団が成立している。互いに切磋琢磨しあう少年たちはこの先も楽しみだ。
 「電車が混まないうちに帰ろう」と道楽さんと一緒に鎌倉駅から横須賀線に乗った。幸いにして座席に余裕があった。「風君はしばらくの間、君が面倒見てあげなさい」「わかった。定期演奏会の時に買ったグロリア少年合唱団の海外旅行記にあるような先輩を目指すよ」「頼もしいね」道楽さんは笑った。ぼくにはもう一つ目的があった。風君を味方にして道楽さんがお酒を飲み過ぎないようにすることだ。「一人よりも二人」ぼくは口ずさんだ。

   

         風(右)と薫(左)                          オードブルとワイン

クリスマスは少年合唱団のコンサート(1)
                                             2007年12月23日


  連休初日の土曜日は雨の降る寒い日だった。だからと言うわけではないだろうが道楽さんは元気がなかった。休み前は映画を見に行く予定だったけれど出かける気力が起きないとぼやきながらソファに座り新聞を読み始めた。「もしかしてウツ病ですか」と心配そうな顔をする風君に「だったら掃除なんかしないよ」とぼくは言った。「くたびれてるだけだよ。ちょっと試してみよう」と道楽さんに話しかけた。「新しいパン屋さんがきょう開店するだろ。コーヒーも飲めるみたいだから行ってみない? 帰りに予約してあるクリスマスケーキを受け取ろう。それから食べるものを仕込まないと何もないよ」「そうだったね。行こうか」と道楽さんは立ちあがった。「大丈夫ですね」と風君が言う通り、買い物から帰ると、冬至だからとカボチャの煮物を作り、お昼ご飯に野菜をたくさん入れたヤキソバを作った。ただその他のことはやる気が起きず、夕食の支度をするまでソファで読書をしていた。「こういう日もあるよ」。ぼくは言った。

 翌日の天皇誕生日はグロリア少年合唱団のメサイアの演奏会だ。「行く気にならないなあ」と言う道楽さんに「チケットを会場で受け取るんだろ。行かなかったら係りの人に迷惑がかかるぞ」「そうです。行きましょう」と二人で圧力をかけて出かけることにはなった。しかし普段着の上にジャケットとコートを羽織っただけなので元気がないことは確かだ。「やっぱりくたびれてますね」「行けば気分が晴れるよ。途中、つまらないトラブルに巻き込まれないように気をつけてあげよう」。
 鎌倉の雪ノ下教会に着いたのは4時40分だった。すでに20名ぐらいの観客が列を作っていた。受付でチケットを受け取ると「当日券は3時から発売」という表示の横に「4時に売り切れました」と書いてあった。「すごいでしょう。これがグロリアの実力です」と風君が得意そうに言うので「TOKYO FMのクリスマスコンサートだって満席だったぞ。それも2日間だ」と言い返した。風君も負けてはいない。「客席の数はここの方が多いです」「やめなさい。また喧嘩になるから」と道楽さんが止めたのでそれ以上は言わなかった。ではこの先は道楽さんに任せよう。

 「もう少し前にお進みください」と整理係の男性の言葉に後ろを振り返ると列が延びていた。男性は合唱団員の保護者で寒い中、ご苦労なことだ。またテーブルの上にCDや手作りの品物を並べた売店があり対応しているのも保護者の方々だ。少年合唱団の演奏会は多くの保護者に支えられていると演奏会に来るたびに実感する。長い時間、並ぶことに不平を言うと罰があたるだろう。やがて開場時間になり「階段があります。足元に気をつけてゆっくりお進みください」の言葉に従い観客たちは落ち着いて入場した。2階の最前列に席を確保して入場する人たちが落ち着くのを待ちトイレに立った。トイレの横の控え室では少年たちが静かに白い式典服(というのかな?)を身につけている最中だった。いつもながら少年たちのマナーの良さに感心し客席に戻った。

  時間になると小学1年生から3年生までのBクラス13名が整列し、オルガンの伴奏で『あめのみつかい』と『神の御子は今宵しも』を歌った。声は幼いがBクラスの賛美歌は人の心を解きほぐすものがある。心が解きほぐされるといよいよ『メサイア』だ。序曲の出だしを聴き良い演奏が聴けそうな予感がした。その予感通りたちまちのうちに演奏に引きこまれた。この最たる要因は調和が取れていたことだ。オーケストラ、ソリスト、合唱団は互いに出過ぎることなくまた引っ込むこともなくそれぞれの役割を果たし見事なアンサンブルを披露した。目玉となる『ハレルヤ』が終わると観客から拍手が起きるのはいつもの風景だが今回は熱がこもっているような気がした。最後の曲が終わってからの拍手にもそれが表れていた。アンコールの『ADESTE FIDELES』が終わり時計を見ると9時をまわっていた。休憩を含めての3時間は「あっ」という間だった。
オーケストラが『神の御子は今宵しも』の演奏を始め、指揮者が観客に合図を出すとまわりの人たちは原語で歌い出した。「先輩、歌おう」「原語は知らないよ」「いいですよ。ぼくだって日本語しか知らないんだから」「OK」。ぼくたちはそれぞれの歌詞で歌ったけれどなんの違和感もなかった。それどころか風君と気持ちが通い合ったような気持ちになった。そう思ったのもこの日の『メサイア』がよかったからだ。すばらしい宗教曲は聴く者の心を一つにすることができるんだというのがきょうの発見だ。終わってから風君と交わすグータッチも自然に力が入った。「どこかで夕食を食べて早く帰ろう。明日は新潟だ」と言う道楽さんの言葉を聞き「元気が出たな」と確信した。


歴史ある二つのメサイア演奏会(2)
                        
 2008年12月23日


 新潟のまろやかさとはちがって力強いメサイアを演奏したのはグロリア少年合唱団の『メサイア』だった。鎌倉に着いたのは3時過ぎ。5時開演なのでこんなに早く来なくてもと思ったが会場の雪ノ下教会にはすでに列ができていた。「熱心だなあ」。ぼくが言うと「これがグロリアの伝統です」と風先輩がうれしそうに言った。この日は20回目の記念公演で全曲演奏するそうだ。ではその様子を道楽さんにレポートしてもらおう。
 今回も席は2階の先頭にした。他の人はどう思うか知らないが演奏を楽しむのならここがいい。続々と埋まっていく席を見ながらそう思った。時間になるとBCクラス約20名が『あめのみつかい』と『かみのみこはこよいしも』を歌った。BCクラスのキャロルはいつも楽しい気分になるのが良い。食前酒とでも言おうか、『メサイア』を聴く心の準備となる。さて今宵の『メサイア』は最後まで自分の気持ちが切れなかった。周囲に観客がいるのを忘れ、舞台しか見えなくなることもしばしばだった。それだけ指揮者と演奏者が一体になっていたのだろう。終盤近くでアルトソロを歌った高校生の声が少年でしか表現できない純粋さが印象に残った。
 大きな拍手が続くうちに『ADESTE FIDELES』(神の御子は今宵しも)の前奏が始まった。会場は一瞬静かになったが観客の大きな歌声が会場全体に響いた。薫風先輩が原語で歌うのにつられてぼくも真似をした。間奏の間、「去年はぼくたちも歌えなかったけど練習すれば歌えるよ」と先輩は言った。2番が始まるとぼくも声を出した。大きな声は出なかったけれど周囲の人たちの声で幸せな気分になった。


少年合唱で聴く日本の心
        
グロリア少年合唱団第49回定期演奏会
                                                         2010年4月9日


  「今回の演奏会レポートはすぐにかかってください。グロリア少年合唱団のレポートはこの何年間も書いていません。不公平です」。風君が強い口調で道楽さんに迫った。「風さん気合いが入っているなあ」。五月君がぼくに言った。「風君の気持ちはわかるよ。道楽さん、やろう」。ぼくは風君に加勢した。「OK、よし」。道楽さんはパソコンに向かった。
 会場の生涯学習センターに到着したのは6時過ぎ。インターネットで予約した旨を伝えてチケットを受け取った段階では列はできていなかった。それが6時15分には長蛇の列となった。6時半に開場し開演15分前にはほぼ満席状態になったからこの合唱団の人気のほどがわかる。「お茶でも買ってこよう。職場では忙しくて何も飲んでいないだろ。ばてちゃうぞ」。薫に言われて席を立ち自販機を探したが見当たらず、一度外に出て自販機のお茶を購入して一息ついた。ではプログラムを紹介しよう。

第一部
 1、箱根八里(GMクラス)  2、花(Gクラス)  3、お正月 うれしいひなまつり(Bクラス) 4、七つの子 たきび(ピッコロ Cクラス) 5、最上川舟歌(Mクラス)
6、こいのぼり たなばたさま 7、ていんさぐぬ花 早春賦(Gクラス)
8、あめふりくまのこ 一ねんせいになったら(Cクラス) 9、うさぎ あわてんぼうのサンタクロース(Bクラス) 10、うちにお帰り 青春の影
第二部
Cクラスメドレー
 雪 めだかのがっこう ひらひらちょうちょう どこかで春が
Bクラスメドレー
 しょうじょう寺のたぬき ずいずいずっころばし ほたるこい
 日本古謡集より さくらさくら お江戸日本橋 通りゃんせ
GMクラスメドレー
 ふるさとの四季
 故郷 春の小川 朧月夜 鯉のぼり 茶摘 夏は来ぬ われは海の子 村祭り
 紅葉 冬景色 雪 故郷
合同曲
 星の大地に

ピッコロクラス(年少) Cクラス(年中 年長) Bクラス(小1〜小3)
G・Mクラス(小4〜高3)

 グロリア少年合唱団の定期演奏会に初めて足を運んだのは2003年の春だった。その時のプログラムが日本の歌だった。それ以来となるプログラムはとても懐かしかった。その時は現在指導者の一人になられた陣内さんが『荒城の月』のソロでスタートした。そんなことを思い出しているうちに最初の曲が始まった。GMクラス42名による混声合唱である。最初の「はこねの やまは てんかの けん」の部分はアカペラだった。この一節で男声合唱ならではの力強さが伝わった。途中、ピアノ伴奏はあったが声だけで十分。酒に興味のない方にはおわかりいただけないだろうが上質のウィスキーをストレートで味わう感覚だった。同時に、全盛時代の江夏投手が王、長嶋を有する巨人打線を押さえ込んでいた頃の速球を思い出した。曲が終わると一緒に歌っていた服部先生が前に出て「日本で歌い継がれてきた曲は教科書にも載らなくなりました。でも一つ一つは良い曲です。子どもたちは旧いから歌わないのではなく、歌っているうちに曲が好きになりました。これからも伝えていって欲しいです」という旨のスピーチをした。

                                                          
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