暁星小学校聖歌隊
 小さな星たちのコンサート
                 2005年3月21日

当日のプログラム
 暁星小学校のある日のミサ
司祭 A.高田裕和
開祭
入祭の歌     典礼聖歌 388番 ガラリヤの風かおる丘で
あいさつ
回心の祈り   第2形式
あわれみの賛歌  典礼聖歌    203番

ことばの典礼
奉納の歌 典礼聖歌 143番 たて琴をかなでて
奉献文 感謝の祈り
叙唱前句 
叙唱
感謝の賛歌 典礼聖歌 205番
奉献文(第2奉献文)
記念唱
栄唱

交わりの儀
主の祈り
平和の挨拶 典礼聖歌 206番
平和の賛歌 カトリック典礼聖歌 1番 愛といのち
聖体拝領の歌

閉祭
派遣の祝福
閉祭の歌    カトリック聖歌 321番 めぐみの母

チェロの響きと共に          
1. マリアさまのこころ
2. 水を飲ませてください
3. 主は湖のほとりで

4.マザー・テレサの祈り
  わたしをお使いください
5.創造の詩篇
6. うたをうたうとき

懐かしい歌 新しい歌
1. あさやけゆうやけ
2. もののけ姫
3. 七つの子
4. ふるさと
5. さようならの言葉

 蒲田駅近くにある会場の大田区民ホール・アプリコの約1500席はほぼ埋まっていた。開演時間の2時間前から列はできておりこのコンサートの注目度がわかる。日本信徒マリアニスト共同体代表 長濱 至氏によるチャリティーコンサートの歴史と挨拶に続いてプログラムが始まった。
最初の『暁星小学校のある日のミサ』は司祭の祈りと約80名の聖歌隊とで進められていく。レシタヴィーヴォのような高田司祭の声はテノールでよく響く。聖歌隊の声もよく響き明るい雰囲気で進んでいく。聖歌隊は白い式服を着用し、左右の腕を反対側の袖の中に入れ前で組んでいる。伴奏のキーボードも合唱にマッチしており気持ちよく聴けた。共に日本語なので内容がわかるのがよい。音楽的な面で言えば原語の方が心に響くと考えているが日本語もいいものだ。このミサを聖堂で行うとどのような雰囲気になるか聴いてみたくなった。約30分の演奏後、休憩となる。通路から出口に向かうとぐっすり眠っている子どもが何名か目に付いた。そういえば後半、いびきも聞こえたから一般的な日本人にとって宗教曲は馴染みが薄く退屈するのだろう。ロビーで秋山直輝君のご一家、グロリア少年合唱団のGさん、K君と話しをする。
 『チェロの響きと共に』は少年たちの合唱とチェロが溶け合った心洗われる演奏が聴けた。最初の4曲は静かな雰囲気の曲。5番目の曲は原語の合唱で静かな中にも力強さが加わる。神の偉大さ、神の創造した生き物たちの素晴らしさを讃えるこの曲はプログラムのメインと考えてよい。指揮の蓮沼先生は体全体を使っての大きな動きで気合いが入っているのが見てとれた。最後の『うたをうたうとき』は一転静かな雰囲気となる。まどみちお作詞の新しい曲は歌詞の言葉をよく理解した上でもう一度聴いてみたくなった。このコーナーは5番目の『創造の詩篇』を除いては比較的地味な感じだがこれらをしっかり歌い観客の注目を集めるのは聖歌隊のレベルが高いことを示している。
 次の『懐かしい歌、新しい歌』に入る前に蓮沼先生は聖歌隊のために作曲や編曲を担当した先生方を紹介する。こういう光景を目にすると聖歌隊を取り囲む環境が恵まれていることがわかる。一つの曲が編曲で雰囲気が変わることは多い。きょうのプログラムはどの曲も少年だけの聖歌隊の雰囲気をよく捉えていた。これといった派手な曲はなくてもしっかりした雰囲気が伝わるのはこのあたりに要因がある。
 終演後、館長さん、Gさん、K君でお茶を飲み歓談。大阪に帰る館長さんを駅の改札口でお見送りするとGさんから夕食の提案があったので蒲田で唯一自信をもって紹介できるうなぎ屋Sへ案内して、うな丼を注文。若い二人の食欲は見ていて気持ちがよい。ごはんのおかわりを注文すると店の人は快く応じてくれ、タレのかかったご飯だけでなく小鉢と漬け物も持ってきてくれた。案内した甲斐があったと自分もうれしくなる。「指揮者が大げさに振っていたような気がするけど」という自分に対しGさんは「あれで声がぐっと出てましたし、あれぐらいやらないと子どもはわかりません」と答えてくれた。やはりいろいろな人の意見を聞くのは大切だ。「なんで手を前に組むんでしょうか。あれで中国服を着るとどうなるんでしょう」「おまえ面白いこと言うね」「グロリアは後に手を組んで歌うけどどうしてですか」「手をぶらぶらさせないためだよ」などとやり取りするGさんとK君の会話はおもしろくたちまち時間が経過した。


 充実した少年合唱
   小さな星たちのコンサート 暁星小学校聖歌隊
                                       2006年3月24日

当日のプログラム
第T部
 1.あるいていこう   2.こうふくはしずかなせかい
 3.ひとりのみどりごが 4.めぐみあふれる聖マリア(1〜4はユニゾン)
 5.答唱詩編 164番「よろこびに心をはずませ」
 6.ごらんよ空の鳥  7.マラナタ (6と7はOBとの混声)
 8.あしあと     9.青い地球
第U部
1. 同声合唱曲集「花のいろ 風のしらべ」(委嘱)
・夏は来ぬ   ・七つの子  ・しょうじょう寺の狸ばやし
・秋の子    ・故郷
 2.翼をください  3.風の贈り物 4.夢の仕立屋さん 5.私が呼吸するとき

 アンコール  感謝します

 この日は平日のため、勤務時間を終えてから会場となる蒲田のアプリコに着いたので10分ほど遅れた。ロビーにあるモニターテレビから流れる透明な響きに感動しつつホール内へ入る。演奏中のためT部は客席最後方の通路に立って鑑賞した。舞台には式典服を着用した約80名が整列し、神を讃える歌を合唱しているが、人数の多さにかかわらず声が一つになっていることを一番に感じた。合唱団によっては人数分の違った声が出てしまうが、そういうことはないのだ。また指揮者の振る通りに、ピタリと合唱が始まり終わる。当たり前と言えばその通りなのだが80名の気持ちが一つになると聴いていて気分がよい。プログラム5番が終わると下級生約20名に替わり、OB約25名が登場した。OBは白のカッターシャツに黒長ズボンを着用し楽譜を持って整列した。自分はこの演奏会は3度目だがOBとの混声は初めて聴いた。調和の取れた混声合唱は、この合唱団の歴史を感じさせるものがある。プログラム6番と7番は上級生による合唱で少年合唱本来の透明な響きと人数による強さを感じた。日本語がはっきりときれいに聞こえるのがなによりだ。ここで休憩に入る。座席を確保し、販売コーナーでカテドラル聖堂での合唱を録音したCDを買い求めた。「アジアの恵まれない子どもたちに募金をお願いします」と募金箱を持って呼びかける小学生に小銭を入れて応えた。
 U部は、引き続き上級生の合唱で、白いカッターシャツ、紺ベスト、黒の半ズボンで登場。先ずは、なじみ深い唱歌を横山潤子さんが編曲した作品からだ。いつも感じることだが、一つの曲が、編曲次第でより深い作品になることは驚きだ。この中で楽しかったのは『しょうじょう寺の狸ばやし』だ。少年たちの手拍子で歌は始まり、和尚役の先生による木魚とOBによる狸役のタップダンスが入る。和尚と狸の表情や仕草がなんとも面白く客席から笑いが漏れた。特に客席の小さな子どもたちに好評で童謡に親しむきっかけになってくれればと思う。プログラム2番の『翼をください』も横山潤子さんの作曲だ。ゆっくりしたテンポで始まり、本来のテンポになっていくまでの間が、この歌をより聴き応えのある合唱にした。次の『風の贈り物』と『夢の仕立屋さん』はレベルの高い合唱コンクールのような響きがあった。今回はパンフレットに全曲分の歌詞が入れてあり、終わってからあらためて詩を読めるのがよかった。そうするとより深い余韻を楽しめる。合唱が終わると、今回のプログラムにある曲の作曲者、編曲者に花束が贈られた。これを見て合唱団は様々な面で恵まれていると感じた。最後の『私が呼吸するとき』は同名の合唱組曲の中にある最後の曲だ。この組曲は愛と平和を訴える重いテーマの曲だ。全曲聴くと、このテーマはわかるが最後の1曲だけだとそれを伝えるのは難しいだろう。歌う前に簡単な解説をしてより深めるようにすれば完璧だった。合唱自体はメリハリを効かせたもので、プログラムの最後にふさわしい合唱だった。この後、大きな拍手に応えてアンコール曲を歌って終了。「あっ」という間の2時間だった。帰り際、関係者に、「この日の演奏は、CDで発売されますか?」と尋ねると「6月頃になると思います」と連絡先を教えていただいた。その頃を楽しみに会場を後にした。
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