ボーイソプラノ伊勢

 成長が楽しみなボーイソプラノ伊勢
2021年12月11日(土)
シンフォニアテクノロジー響きホール伊勢


 宇治山田駅に到着したのは17時頃ですでに暗くなっていたが、会場の響きホールはすぐに分かった。ロビーではクリスマスフェスティバルが開催されており、このご時世で恒例になっている検温をして連絡先の記入を行った。中に入ると手品コーナー、クイズコーナー、物産販売のスペースがあり賑わっていた。販売スペースで若いスタッフに勧められて利休饅頭とどら焼きを購入した。帰宅して食べたらどれも上品な甘さだった。会場を一周してから、一度外に出て商店街を歩いてみた。そこで巨人の沢村栄治投手の出身地ということがパネルで紹介されていた。松阪に墓があると紹介された記事を読んだことも思い出した。
 会場へ戻り、18時過ぎにホールへ入った。きれいで立派なホールだった。ステージを見ると、中央に指揮者用の譜面台、その左右に出演者用の譜面台が1台ずつ、スタンドマイクが5本、その奥中央にグラウンドピアノが置かれていた。開演時刻の19時になると照明が暗くなり、ピアニストが登場して『荒野のはて』の演奏を始めた。それに合わせてボーソプラノ伊勢の5名のメンバーが指揮者と一緒に入場した。メンバーは白いガウン、グレイのベレー帽を身に付けていた。プログラムは以下の通りだ。
1.サンタクロースがやってくる  
2.わたしはだれでしょう  
3.森のくまさん(おばあちゃん、詐欺にだまされないで ソプラノ伊勢バージョン)
4.アヴェマリア(カッチーニ)  
5.彼方の光        
6.翼をください
7.あおい空 あおい海

 どの曲にも共通しているのは元気に歌っていることだ。緊張あるのだろうがそれを感じさせず、背筋を伸ばし堂々と歌っている姿に好感をもった。1曲目が終わると指揮者が挨拶した。それによると今年も元気な男の子の声を届けていきたいと思っている、昨年のメンバーの中には進学や転校で抜けた子がいる、今年は3年生2名が加わり5年生3名と合計5名で元気に練習している、5名とも学校は違うが仲良く練習している、コロナの影響で練習会場が閉鎖され思うように練習できなかったがどうにか演奏会を迎えることができましたとのことだ。それぞれの曲を聴いて思うように練習できなかったことは感じた。しかし演奏会ができたことは価値がある。100回練習するよりも1回観客の前で演奏した方が勉強になり向上するからだ。
印象に残ったことを書いてみよう。

1は、サンタクロースが来るのを楽しみにしている素直な気持ちが表れていた。
2は、各自のソロが聴けたのが楽しかった。
3は、電話による詐欺に気を付けてという気持ちが表れていた。
4は、素朴な歌い方だった。強弱をつけるともっとよくなるだろう。ただ、これをマリア様が聴いたらニコニコしながら「いいですね」とおっしゃりそうだ。信仰とは本来素朴なものから始まっているはずだ。
5は、出だしが不安だったが次第によくなった。喚くことなく、声も伸びていたし英語の歌詞もしっかり歌えた。現段階では「よくやった」と評価したい。
6は、緊張が解けたような伸び伸びとした歌い方だった。本来なら観客と一緒に歌いかったとのことだがコロナ禍では無理だろう。代わりに指揮者から手拍子の合図が出ると観客は「待ってました」とばかりに大きな手拍子で応えた。応援する気持ちの表れだ。
7は、ボーイソプラノ伊勢のために作られた曲だ。作詞作曲したのは、株式会社「ギュートラ」(スーパーマーケット)の社長で、舞台にマスコットキャラクターと一緒に登場した。社長と指導者のやり取りを要約すると店内で流れている曲はすべて社長の作曲で1000曲ぐらい作ったこと、ほとんどが青春歌謡なこと、ソプラノ伊勢のようなグループの歌はどうだろうかと考えたこと、しかしこのような時に子どもたちの笑顔に救われるので作ってみようと思ったこと、『あおい空 あおい海』はコロナが終わったら三重県の空と海をのんびり眺めながら歌って欲しいの思いを込めたこと、子どもたちが初めて練習した時、とても気に入って休み時間にも歌っていたとのことだ。今回初演となるこの曲をボーイソプラノ伊勢のメンバーは楽しそうに歌っていた。この日一番の歌声で子どもたちはこの曲が本当に好きなのだと思った。この曲はボーイソプラノ伊勢の財産になるはずで歌い続けて欲しい。すべての曲を歌い終えたメンバーは登場時と同様『荒野のはて』のピアノ伴奏に合わせて退場した。

 今回初めての鑑賞だった。伸びしろは十分にあるのでボーイソプラノのグループとしての成長が期待できそうだ。委嘱作品があるのも心強い。