3番目は中村海流君、小林佑玖君による『compass of your hands』(シンドバッドより)だ。小林君は自信に満ちた堂々とした歌い方、中村君は中学生らしい落ち着いた声で調和のとれたハーモニーに仕上げた。中村君の低くなった声も良いなと思った。二人ともミュージカル『オリバー!』を歌ってきた成果と推測できた。ここまで聴き練習をしっかり行ってきたことが窺えた。
オープニングの曲は『汽車』でいつものように元気な歌とダンスだった。合間に新しく入団した4名の挨拶があった。メンバーが増えるのはうれしいことだ。ただ卒業するメンバーがいるのは寂しいことだが新たな門出ということで祝福しなければならない。今回卒業するのは、深澤君、吉浦君、竹内君、中村君の4名。この日は卒業演奏会となった。
卒業する4名が今だから話せることを語り合った後、歌に移った。最初は竹内彰良君で『月の庭』。竹内君によると初めて聴いた時、衝撃を受けたけれどとても高音なので当時は歌えなかったそうだ。それが変声期により裏声が出せるようになったので今回歌うとのことだ。自分は初めて聴く曲でかなりの難曲だ。竹内君はゆったりしたテンポを利用して歌詞を丁寧に歌っていた。そのため聴き入ってしまった。声は裏声というより堂々としたカウンターテナーだった。
二番目は中村海流君で歌は『Compass of your hart』(シンドバッドより)。心がけたことは歌詞に合わせた感情表現とのこと。歌を聴いて成長したなと思った。声の出し方に余裕があり、これは腹筋が鍛えられた成果と推測した。聴いていて海風を受けながら自信たっぷりに航海している少年の姿が想像できた。歌い終わると「歌のお兄さんみたい」というコメントがあった。これを聞き、海流君ならかっこいい歌のお兄さんになりそうだと思った。
三番目は深澤幸也君、吉浦 陽君による『You can't stop the beat』(ヘアスプレーより)。えり先生が伴奏しますとのこと、それを聞きここまではカラオケ伴奏だったことに気が付いた。二人は速いテンポの曲をリズムに乗せ振りを入れて軽快に歌った。まさにソプラノ♪7ボーイズの本領発揮だ。日本語もはっきり聴きとれた。この曲は日本語よりも英語で歌った方が歌いやすいのではと思ったが二人は難なく歌っていた。聴いているうちに体が動かしたくなると感じたら後輩のメンバーたちが出てきて得意のダンスを披露した。これはソプラノ♪7ボーイズらしい演出だった。卒業生全体に言えることは体の成長とともにより大きな表現力を発揮できることだ。ここまで培ってきたものが大きく花開いたという感じだ。
歌が終わると卒業セレモニーとなり後輩から一人ひとりに花束と記念品が贈られた。卒業生のコメントを聞き4名は最初からのメンバーだったことをあらためて知った。続いて後輩代表5名が『上を向いて歩こう』を歌った。これだけを聴けば「元気に歌っていて良いな」ということになるが卒業生の歌を聴いた後だと「まだ発展途上」と感じた。そう感じたのは歌が一本調子だったこと、各自の声が張り切りすぎていたことが挙げられる。それに対し卒業生の歌は強弱があり気持ちがこもっていた。そのため曲が自然に自分の体内に入ってくるようなイメージになった。そうは言っても後輩たちも近いうちこの日の卒業生のように成長していくのだろう。今回の卒業生の歌を後輩たちは引き継いで欲しい。
最後は『かわいい魚屋さん』。ソプラノ♪7ボーイズはこの種の曲がルーツなのだとあらためて認識した。童謡でもこの年齢の少年たちが歌うと新鮮に聴こえた。