ソロを歌うプレッシャー
宝塚にある少年合唱団、「ボーイズエコー宝塚」の団員一人一人がソロを歌う「のど自慢大会」に出かけた。今年3月に定期演奏会を聴きこの合唱団に興味をもったのがきっかけだ。この時のメンバーは約20名。内半分が1年生で演奏レベルはそれほど高くないものの何か自分を惹きつけるものがあった。1年生にしっかりした声の子が二人いてどう成長しているかが楽しみだった。
のど自慢大会は22名の団員が参加して行われた。さすがと思わせる上級生もいれば音がはずれる、歌詞を忘れたのか歌えない下級生もいて希望者が集まった合唱団とはいえレベルの差が著しい。そんな中で自分の楽しみにしていた二人の現2年生は予想以上の出来だった。一人はソプラノで「気球に乗ってどこまでも」を歌って1位になった。この子は一見大人しそうだが芯はしっかりしている感じ。もう一人は「大空讃歌」を歌ったアルトで2年生に似合わず響きのある強い声を聴かせてくれた。この子はエネルギッシュな感じ。3月の演奏会ではもう少しシャキッとした態度ができればと思ったがいい感じになった。自分の目に狂いはなかったと自己満足を味わった。
のど自慢が終わり、トイレタイムの後に何曲か合唱を聴かせてくれた。先ほどのソロと違いそれなりの出来だ。指導の中安先生の話によるこの「のど自慢」の目的は一人一人にソロを歌うことを通して度胸をつける、みんなで歌うことと一人で歌うことの違いを肌で感じてもらうことだとのこと。ソロを歌うということは、歌が好きでも想像以上のプレッシャーがあるのだろう。その意味で特に下級生の団員にはこの日の体験をプラスの方向に転じ、よりよい歌を歌って欲しい。プレッシャーに打ち勝つのは自分自身との戦いなのだ。これを乗り越えることでよりよい演奏ができるのだ。ボーイズエコーの演奏を聴いて心を慰められる人が少なからずいることを知って欲しい。
(平成15年8月27日)
宝塚合唱祭のボーイズエコー
11月3日、10時30分頃、雨の降る中をベガホールに到着した。入場料300円也を払って前方右端の席へ座った。ホールは想像以上に立派なので驚く。宝塚市が文化を大切にしようという気概が伝わってきた。女声コーラスが4団体続いた後、いよいよボーイズエコー宝塚の登場だ。メンバーは20人。整列したところで女子中学生の団体が前の方の席に置いた荷物を取りに入ってきてざわついたが、指揮の中安先生は冷静に静まるのを待った。それを見て「大丈夫。いい演奏ができる。」そう確信した。先ず8月の「のど自慢」で1位になった2年生が「おいしいホットケーキとアイスクリームを召し上がれ」と挨拶。続いて「ホットケーキ飛んだ」と「アイスクリームの歌」が演奏された。次に竹内弟君の「空の旅を楽しんでください」の挨拶に続いて「気球にのってどこまでも」と「翼を広げて」が演奏された。竹内君は、挨拶が終わってひな壇に戻るとき、こけて一瞬ひやっとさせたが大丈夫。3月には一番前の列で歌っていたのが考えられないぐらい堂々とした感じになった。挨拶した二人は3月の段階で注目していたが期待通りに伸びてきた。演奏はメンバー全員が姿勢よく力を合わせ一生懸命歌っているのが伝わってきた。欲を言えばもう少し楽しそうな顔で歌えるとよいが「のど自慢」の時、心配な子が何人もいたことを考えれば上出来といってよい。ここまでもってきた指導者の苦労は並大抵でなかったろう。ホールの外で解散するメンバーに「今日は、かっこよかったよ」と声をかけた。「猫かぶるのがうまくて」とのことだがそれができるのも能力の一つと考えよう。本当にかっこよく歌えたのだから。「特に先生方に苦労をかけている下級生諸君。6年生が終わるまで歌い続けて、『立派になったね
』とまわりの人に言われるようにがんばれよ。」必要な時に猫をかぶれる君たちへのメッセージである。
(平成15年11月3日)
北九州少年合唱隊第17回定期演奏会
〜『少年隊の美しいハーモニーをとどけよう』〜
11月24日(月)、小倉にある北九州芸術劇場を訪れた。客席に入ると「こんにちは、席はおわかりですか」とOBらしき高校生の少年が声をかけてきた。チケットを見せて「K―30です」と答えると席まで案内してくれた。数名の中高生の少年が案内係りをしておりきびきびと対応する姿は見ていて気持ちがよい。席に座りパンフレットでメンバーを見ると4歳から中学1年までの24名だ。(中1 2名 小6 3名 小5 3名 小4 6名 小3 3名 小2 2名 小1 2名 6歳、5歳、4歳が各1名)未就学児が3名ということはメンバー集めに苦労していることがうかがわれる。開演が近づくと300席程度の客席がほぼ埋まった。当日券が買えたのはラッキーだった。当日のプログラムを紹介しよう。
第1部、よろこびのハーモニー
1 扉(交響曲5番から)
2 だれだろう(ピアノソナタ"悲愴"から)
3 すてきな世界(エリーゼのためにから)
4 探検(交響曲第3番から)
5 こころ(ピアノソナタ"悲愴"から)
6 空から声が(メヌエットから)
7よろこびの歌(交響曲第9番から)
ベートーベンの曲をアレンジしたものである
第2部
少年隊OBと共に
・ この星に生まれて
・ 夢の世界を
・ Let's search for Tomorrow
OBによる男声合唱
・ 見上げてごらん夜の星を
・ どんな時も
・ 世界に一つだけの花
みんなでうたいましょう「もみじ」
第3部
友情出演 北九州市小倉少年少女合唱団
第4部
合唱ミュージカル「ピーター・パンのぼうけん物語」
以上4部で構成されている。
1部は、音楽的にレベルの高い曲だが、高山保材先生指揮の下で引き締まった合唱に仕上がっていた。高音低音ともしっかり声が出ておりメンバーの一生懸命さが伝わってきた。ソプラノ、アルトのソロは声量のあるはっきりした言葉で歌い全体をリードしていた。
2部はメンバーとOBの声がバランスよく一つになっていた。1部に比べてメンバーの声もリラックスした感じになりポピュラーな合唱曲を力強い声で楽しそうに歌っていた。次のOBだけの合唱は、強弱を使い分けメリハリの効いた合唱になった。中高生の男の子の合唱もいいものだ。大学生や社会人の男声合唱の重厚さとは違う魅力がある。全員が楽しそうに歌っているのを見てこの合唱団の指導方針がわかるような気がした。歌う楽しさがわかり大人になっても歌い続けるのはすばらしいことだ。OBの合唱団があればと思う。欲を言えば「世界に一つだけの花」はステージで動きまわらず、合唱に徹した方がよかった。
4部の「ピーター・パン」。少年合唱団の演奏会でミュージカルを見るのは久しぶりだ。それぞれの子が自分の歌や踊りでしっかり役割を果たし、アンサンブルのよい楽しいステージになった。舞台装置の海賊船は工夫が施され感心。出演者はピーターパンをはじめ演技が全員うまい。特にフック船長役の子がよかった。普段は威張り、ワニを前にすると気弱になる船長をコミカルに演じていた。歌や台詞はないが着ぐるみ姿のワニも楽しい。終演後、この演奏会を最後に卒団する2名が紹介された。フック船長とウェンディ役の中学1年生だ。ウェンディ役の子は客席から「男の子だったんだ」という声が上がるぐらい年下の子の面倒を見る少女役になりきっていた。
話は違うが新幹線を小倉や博多で下車するたび「行き交う人たちに活気があるな」と思う。北九州少年合唱隊にもそのような活気を感じた。元気な声が出ている。歌詞がはっきりと歌われ聴き取りやすい。元気さという点では日本の少年合唱団の中で一番ではないだろうか。北九州という土地によく似合う合唱団というのが自分の印象だ。北九州少年合唱隊憲章があるので紹介しよう。
1、 美しい物を大切にします。
2、 いつも明るく集中して練習します。
3、 隊員としてはずかしくない態度で行動します。
4、 歌をとおして、みんな仲よくします。
5、 歌う喜びを深めすばらしい合唱隊にします。
この憲章を守り、九州を代表する合唱団になるようにと願い会場を後にした。
新潟少年合唱団第2回演奏会
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新潟少年合唱団第2回演奏会
プログラム
・新潟少年合唱団の歌 歌は風にのって 相川高子 作詩 久住和磨 作曲
・エーデルワイス
・白い花
・ずいずいずっころばし
・あらののはてに
・道を歩くのは君
・練習風景
(ソルフェージュ・ワークショップ)
・ハレルヤ(3声のカノン) 久住和磨 作曲
・キリエ 久住和磨 作曲
・『レクイエム』より G・フォーレ作曲
・パートナーソングを楽しみましょう
・だれかが口笛ふいた
・フニクリフニクラ
・禁じられた遊び
・ドーナ ノービス パーチェム
・とうげのわが家
・海はまねく
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指導者 久住和磨 相川高子 長川絢子 樋口由紀子 吉村陽子
メンバー構成
中1→4名 小6→2名 小5→11名 小4→5名 小3→3名
11月9日(日)新潟少年合唱団第2回定期演奏会を聴きに新潟を訪れた。新潟駅から徒歩で会場の「だいしホール」に向かう。この日は曇り。万代橋から信濃川を見るとカモメが飛んでいるのが目に付いた。吹く風も心地よく東京を離れたことを実感する。旅が好きな自分にとって心ときめく一瞬だ。会場のだいしホールはすぐに見つかった。満席になれば入場不可という旨が書かれた掲示を見て急いで昼食とする。ホールに戻れば余裕で席を確保できた。食後の紅茶をもう少しゆっくり楽しめたがここまで来て席がなければシャレにならないのでやむを得ない。ホールは1992年11月に完成したとのことできれいだ。定員274席というのは室内楽や合唱にはちょうどよい広さだ。当日は団歌『歌は風にのって』でスタート、作詞相川高子、作曲久住和磨でお二人ともこの合唱団の指導者だ。この合唱団を育てていきたいという思いが心なしか伝わってきた。この後『エーデルワイス』『白い花』『ずいずいずっころばし』『あらののはてに』『道を歩くのは君』が演奏された。よく練習している曲とのことで団員に余裕が感じられた。24名という人数はそう多くないが声はよく出ていて清らかな感じだ。
続いて練習風景としてリトミックとソルフェージュが紹介された。この合唱団がいつも何をやっているのか。こういうことをやっているなら入ってみたいと子がいればということで紹介するそうだ。先ずは絶対音感でピアノの音をドイツ語で発声する。絶対音感は相対音感とちがい、小学校2年までにつくものでそれ以降は確実には身に付かないそうだ。次は斉藤先生のハンドサインでドレミファを提示しそれに合わせて発声するとともに手を音階に合わせて動かすものだ。これは楽譜が読めることが前提になり大変重要とのことだ。初めて見る者にとっては複雑だが子どもたちはしっかり声が出ていた。少年たちに音楽に関し興味を感じさせようという工夫が感じられた。今日は比較的わかりやすいサインだったそうで実際はもっと複雑のようだ。最後に「キンコンカンコン鐘が鳴る」と手をたたいたり足をならしたりしながらの歌があった。このような練習風景を舞台で行うのはよい企画だ。これで入団希望者が来てくれればと願う。ソルフェージュについて久住和磨先生の言葉をパンフレットから引用させていただこう。「音楽の基礎教育としてのソルフェージュの力は、その身体を通して、いつの間にか子どもたちの感覚の中に根を下ろし、楽譜は読めなくてもハンドサインだけで新しいメロディーを歌うことも出来るようになりました。ハーモニーの大切さを学び、美しい声とは何かを追求することが、敷衍して豊かな人間性を得ることにいくらかの貢献をしているようにも思われます。」
次は宗教曲になり『ハレルヤ』『キリエ』、フォーレ曲の『レクイエム』が歌われた。まだ取り組んで間がないそうだがきれいなハーモニーだ。やはり少年合唱団には宗教曲がよく似合う。『キリエ』は手拍子をする、膝をたたく、足をならしながらの合唱だ。中でも興味深かったのは一人の子がグラウンドピアノの中に向かって「キリエ」と発声したことだ。不思議な残響きがありこういう方法があることを発見した。
その次は「パートナーソングを楽しみましょう」のコーナーだ。『アマリリス』『きらきら星』『こぎつね』が三つのグループに別れて演奏された。「この3曲を重ねると仲良くハモります」という話の後、聴くことになる。終わると「三つの曲のうち、ある曲の終わりに長さを調整するために付け加えてある部分があります。その曲はどれでしょう」というクイズがあった。客席から反応がないともう一度「どれでしょう」と怒った感じの声で質問が繰り返された。教室で授業を受けているような感じになり笑い声が起きた。正解は「きらきら星」。「3曲合わせるとおもしろいのでお客様も一緒に歌いましょう。」ということで客席も三つに別れ子どもたちと歌うことになった。自分の座った席は「アマリリス」になった。練習という感じで2回やり3回目が本番となった。これは楽しい企画で団員も熱が入っていて「みんなで一緒に楽しみましょう」という雰囲気が伝わった。この楽しさを文章にできないのは残念だ。
最後のコーナーは『だれかが口笛吹いた』『フニクリフニクラ』『禁じられた遊び』『ドーナ ノービス パーチェム』『とうげのわが家』『海はまねく』という海外のポピュラーな曲だ。誰でも知っている曲を歌い、聴く人を惹きつけるのは簡単なようで難しい。にもかかわらずはっきりした言葉できれいに、時に力強くメリハリの効いた合唱に仕上がっていた。ソルフェージュの練習がこのような合唱をする要因なのだろう。『とうげのわが家』でこの日初めてソロ2重唱が聴けた。素直な感じの声で好感がもてた。演奏が終わり子どもたちのお礼の言葉の後『歌よありがとう』『歌は風にのって』ですべての曲が終わった。
全体的にきれいなハーモニーで清々しい印象を受けた。指導者の熱意が団員たちにしっかり伝わっているようで今後の成長を楽しみにしたい。
新潟駅に戻る途中、信濃川のほとりを短時間散策し、川を眺めながら喫茶店で休息した。プログラムに載っている新潟少年合唱団の団歌『歌は風にのって』の詩を読みながら癒された気分になった。
歌は風にのって
歌は風にのって大空にひろがる
風は雲にのって大地をめぐる
ぼくの心から歌はわき上がる
人々の愛につつまれて歌う
ひとりぼっちになったとき
くじけそうになったとき
ぼくのそばに友だちと
いっしょに歌う歌声が
やさしく強く響き合う
歌は風にのって大空にひろがる
歌は雲にのって海をわたる
ぼくらは伸びる清く健やかに
未来へ夢を輝かせ歌う
ぼくらの歌は
風にのって
世界にひろがる
子どもたちの力 ― 宝塚ニューイヤーコンサート ―
1月11日(日)羽田を朝7時発の便で伊丹着、そこから清荒神、売布神社、手塚治虫資料館を見学した。この話だけでもかなり書けるがそれは別の場所で発表することにして本題に入ろう。
1時40分の時点でべガホールは観客でにぎわっていた。舞台には今年の干支である申を使った舞台装飾がありニューイヤーの雰囲気が出ていた。開演するとまずは千吉音頭子供会による千吉音頭の演奏だ。子どもたちが入場し床に置いてあったマイクを取り上げた男の子が歌い始めた。ボーイズ・エコーの稲垣君に似ているなと思ったらそれもそのはず本人だった。舞台をよく見ると他にもボーイズ・エコーのメンバーが歌っていた。友情出演なのだろう。稲垣君の声はますます磨きがかかってきた。日本の民謡を好んで聴くことはあまりないがボーイソプラノが歌うと新鮮に感じる。堂々と歌う稲垣君にさわやかな印象を感じた。
5番目にボーイズ・エコーが入場してきた。ひな壇で一人こけたが無事。前回も似たようなことがあったことを思い出した。整列したところで人数を数えた。19名、一人減ったかと思ったが稲垣君が挨拶のため離れた場所にいた。11月と人数が変わっていないことでほっとする。稲垣君の「明けましておめでとうございます」で始まる挨拶はマイクを使わなくてもよく通る。
曲名は「くいしんぼうのカレンダー」「世界がひとつになるまで」「青い空は」の3曲だ。
「くいしんぼう」は始めて聴く曲でうぐいす餅や栗鹿子など季節の和菓子を歌にしたものだ。聴く方も歌詞をしっかり味わいたいものだ。静かに歌うのを聴きながら11月に聴いたボーイズエコーと違うと思った。あの時は小学校低学年の歌という感じだったが上級生の歌声に変わっていたからだ。次の「世界が一つになるまで」でその思いを強くした。「青い空は」は稲垣君と森本君の声が光りそれを支えるメンバーの声が調和のあるハーモニーを創り出した。夏の『のど自慢』を思えば考えられない進歩だ。ここまでもってきた中安、辻両先生の計り知れない力量と情熱を感じた。「諦めるな。子どもには無限の力がある。」そう語りかけてくるような合唱だった。
全員合唱の「アイーダ」と「ラデッキー行進曲」はボーイズのメンバーもしっかり声が出ていた。すごく進歩していてうれしくなった。
終演後、中保先生に会うと気のせいか顔色がよかった。今日は手応えを感じたのだろう。定期演奏会は期待しています。そう思って会場を後にした。
帰京して間もなくOBの西田君からメールが来た。「ぼくに気がつきましたか」と素敵な笑顔の写真を送ってくれた。ボーイズエコー宝塚をこれからも応援しよう。その思いを深くした。たった10分ほどの演奏を聴きに出かけることは他の合唱団ではあり得ない。そんな自分を東京から足を運ばせる力が君たちにはあるのだよ。
心温まる合唱 第19回ボーイズ・エコー・宝塚定期演奏会
2004年3月21日
先ず、自分のハンドルネーム「道楽さん」について数名から問い合わせがあったので書いてみる。人は「人生」という人の道を歩いている。この道は苦労が多い。この苦労を楽しむようになりたい。道を楽しもうということで「道楽」なのである。とはいってもなかなか思うようにいかないがそれも人生と割り切るようにしている。
伊丹空港からモノレールに乗り蛍池で阪急宝塚線に乗り換えるのにはすっかり慣れた。阪急電車はいつ乗っても落ち着きがある。この沿線を訪ねるのはけっこう楽しみで時間があればゆっくり歩いてみたいと思う。おばやし小林駅に降りて西公民館併設の図書館でしばし時間をつぶす。開場時間が近づき入口に行くと「ボーイソプラノの館」の館長さん(後は館長さんと略す)がいらしたので挨拶し話をしているとOBの西田君が来た。メールをやり取りしたことはあるが会うのは初めてなので初対面の挨拶をする。今日は手伝いがあるそうだ。ここ宝塚で次第に顔なじみの人が増えてきたのはうれしいことだ。開場になり名前を書くときに来賓の名簿に書くよう勧められたのでそのようにした。客席に座ると保護者の方から「子どもたちに一言メッセージをお願いします」と頼まれたので軽い気持ちで引き受けた。
プログラムを紹介しよう。
団歌「ボーイズエコー宝塚」の歌
ぼくたちの好きな歌
1. 大きな古時計
2. 切手のないおくりもの
3. すみれの花咲く頃
4. ひょっこりひょうたん島
5. 少年時代
大空に向かって
1. ぼくはひこうき
2. つばさを広げて
3. 気球に乗ってどこまでも
4. にじを歌って
5. うちゅうのうた
6. 星物語
7. 見上げてごらん夜の星を
8. 大空讃歌
9. 太陽のマーチ(ラデッキー・マーチ)
おやつタイム
1. おなかのへる歌
2. ふしぎなポケット
3. チョコレートの歌
4. ホットケーキとんだ
5. くいしんぼうのカレンダー
6. アイスクリームの歌
ぼくたちからのメッセージ
1. 世界がひとつになるまで
2. さとうきび畑
3. 折鶴
4. 青い空は
5. しあわせはこべるように
6. 世界に一つだけの花
さようなら
時間になりメンバーが整列した所で「団歌」が始まった。指揮は寺本君、伴奏は有留君。ゆっくり目の演奏でその分、メンバーの声がしっかり出ていた。終わって中安先生、辻先生が出てきて本番の始まりだ。「ぼくたちの好きな歌」はまずまずの出来。期待していた「少年時代」は新しく加わった曲ということでまだ自分たちのものにできていない。もう少し静かに歌った方がこの歌のよさが伝わるだろう。時間をかけて練習し、またプログラムに入れて欲しい。2部の「大空に向かって」はジャケットを脱いでの合唱だ。ここから本調子になった。昨年はライト兄弟が初飛行に成功してからちょうど100年とのことでプログラムに入れたそうだ。「ぼくはひこうき」は3人が飛行機の振りを見せてくれた。次の「つばさを広げて」「気球に乗ってどこまでも」は11月にもベガホールで聴いた。そのときよりうまくなっている。ステージで観客を前に歌った曲はメンバー一人一人のものになっている。観客を前にして演奏することは貴重な財産になる。「うちゅうの歌」は5年生3人がソロを聴かせてくれた。落ち着いて歌う3人を見て来年度も楽しみになった。ボーイズ・エコーは他の少年合唱団に比べいろいろな子がソロを歌うのが特徴だ。夏の「のど自慢大会」が今回の演奏にいかされているのがわかる。「星物語」はボーイズ・エコーのレパートリーになった感じだ。今回はソロなしだがこれもいいものだ。2部で印象に残ったのは竹内玲君の「見上げてごらん。夜の星を」だ。声変わりした竹内君はしっかりした音程で静かに歌った。6年生でこの曲の特徴を掴んでいるのはさすがだ。無理な発声をすることなく歌えているのは中安、辻両先生の指導の結果だろう。弟の郁君はじめ下級生のメンバーがコーラスをつけるのも心が暖まった。声変わりしてもやめることなく団長を続けた竹内君に心から拍手を送った。次の「大空讃歌」はアルトが頑張り過ぎソプラノが目立たなかった。もしかしたらアルトの子たちはこの曲の特訓を受けその成果かなと思う。「太陽のマーチ」はニューイヤーコンサートでも元気に歌えたが今回もしっかり声が出ていた。下級生のだれかに観客への手拍子の指揮をやらせたらおもろしろいだろう。
休憩後、宝塚市教育委員会、館長さんの挨拶が続き最後に自分がスピーチした。舞台に上がるとは思っていなかったので少々あせったが無事終了。客席がほぼ満席なのでうれしくなった。
次の「おやつタイム」は歌う前に「なんだかおなかがすいたなあ」とか「おかあさんの作ってくれたホットケーキが一番だ」など簡単なスピーチがあった。こういう言葉は歌へのイメージを深めてくれる。自分も「ビスケットはこの何年間も食べてないな」とか「季節に合った和菓子はいいな」とお菓子のことをあれこれ思った。和菓子といえば贔屓にしている和菓子屋の主人が「若い人が来ない」と嘆いていた。何年か前にかのこ鹿子やきみしぐれ、きんつばなどの和菓子を知らない若い人がいるのを知った。かのこ鹿子をボーフラと勘違いしていた人もいて驚いた。「くいしんぼうのカレンダー」に出てくる和菓子がわからなかったら味わってみることだ。そうでないとこの歌を聴いてもなんのことだかわからないだろう。話がそれた。本題にもどろう。次の「ぼくたちからのメッセージ」に移るに前に稲垣君が平和で安全な世界を願うスピーチをした。素朴な話し方だが心に染みた。「世界がひとつになるまで」は、ハーモニーきれいになった。曲によってはばらけた感じがあったがこれは全員の心が一つになっているように感じた。この感じは最後の「しあわせはこべるように」まで続いた。ボーイズ・エコーは歌を通して命の大切さを学びそれを訴えることができる合唱団だ。特に阪神淡路大震災の犠牲になった人々に捧げる「しあわせはこべるように」でそれを感じた。歌声が自分の心になにかを語りかけてくるようだ。他の団体の演奏を聴いてこのような気持ちになれるだろうかと思う。これからも歌い続けて欲しい曲の一つである。
「世界に一つだけの花」を観客、保護者全員で歌った後、団長の竹内君がお礼の挨拶をし新団長の稲垣君とバトンタッチの握手をした。「ボーイズ・エコーを一つにまとめていきます」と話す稲垣君は張り切っている。来年度は3名の6年生を中心に3年生の成長が期待できるのでよりすばらしい合唱になりそうだ。来年の第20回定期演奏会が今から楽しみになった。最後に「さようなら」を歌いながらメンバーが客席左右に分かれて降りていき「きょうのよき日」を歌って終了した。
演奏会が終わり中安先生、辻先生に挨拶すると緊張が解け、舞台で転げまわっている数名の下級生を見ながら「練習していて本当にどうなることかと思いました。」とホッとした表情で応えてくださった。「本番に強いということだろうけど先生たちを心配させないように練習しようよ。もっとうまくなれる力があるから。」そう言いたくなった。それでも、昨年開場前に数名がきゃーきゃー騒ぎながら走りまわっていることを考えれば、マナーは少しずつよくなっているのだろう。この後、館長さんに池田の町を案内していただき町歩きができたのは楽しかった。近いうちまた訪問しようと思わせる町並みだった。阪急宝塚線沿線への興味が更に深まった。
期待する分、注文もあります
第20回TOKYO FM 少年合唱団定期演奏会
TOKYO FM 少年合唱団の定期演奏会は珍しく女性同伴で出かけた。この女性に2年前の定期演奏会のビデオを見せたら興味をもち「生で聴いてみたい」ということでチケットを送り会場で待ち合わせとした。今回はこの女性をKさんと名付けてレポートを進めていく。
当日の会場である第一生命ホールはほぼ満席だった。先に着いた自分が前方右側の席を確保しKさんを迎えた。ホールが立派なことと満席の客席を見て「すごいですね。」と感心していた。いつものようにプログラムから紹介しよう。
第1ステージ ぼくらのレパートリー
1. おお牧場はみどり
2. 汐の匂いのする町で
3. つるつるとざらざら
4. さかさま
5. 翼をください
6. ビリーブ
7. 世界に一つだけの花
指揮 太刀川悦代 ピアノ 安東陽子
第2ステージ 佐藤 宏作曲『少年合唱のためのミサ曲』
1. Kyrie
2. In memoria ?terna
3. Lacrimosa
4. Hostias
5. Dies illa
6. Libera me
7. In Paradisum
指揮 佐藤 宏 ピアノ 安東陽子
第3ステージ 『おぺら・オペラ・OPERA』
以上から構成されている。
「おお牧場はみどり」が今年も最初の曲になった。ウォームアップに適した曲なのだろう。この日の合唱は期待を抱かせるものだった。その通り第1ステージは力強さと繊細さを織り交ぜたすばらしい演奏になった。なかでもよかったのは「つるつるとざらざら」で谷川俊太郎による楽しい詩を明るく表現していた。どの曲も太刀川先生の指揮の下、伸び伸びと歌っていた。メンバーが折り目正しく曲の紹介をするのも清々しい。
第2ステージは悪くはないが印象が少々薄い。一昨年の北村協一先生による「キャロルの祭典」があまりに強烈だからだ。Kさんは佐藤先生を「厳しそうなかたですね」と評した。厳しさと同時に暖かさが必要なのが少年合唱団の指揮者だが北村先生を超えられるだろうか。
第3ステージは、合唱団が出演したオペラの合唱で先ずは「トスカ」から教会内での合唱だ。堂守り役の新保堯司さんと一緒に演技をつけた歌は本番さながらで一昨年来日した二つのオペラ団体に出演した実績を見せてくれた。子どもたちは普段通りに動き回れるこのオペラが好きだそうだ。終幕の「羊飼い」のソロが聴けるとさらによかったのだが残念。次の「アマールと夜の訪問者」は王様3人の歌を全員で歌う。太刀川先生の母親と共にアマールを歌った子がソプラノのいい声を聴かせてくれた。王様の衣装は保護者が作ってくれたそうで後輩へ引き継がれていくのだろう。このあたりは伝統ある合唱団ならではだ。続いては「魔笛」。本来で3人で重唱するのだが今日は全員で合唱だ。本番でも3人の童子にこだわらず大勢で歌う演出もおもしろいのではと思った。最後は「トゥーランドット」。数年前、エジンバラでも公演したこのオペラは、二つの演出を経験したとのことで団員たちは詳しいそうだ。合唱しながら独自の歩きをするのが大変だったとかで説明がなければわからないことだ。自分も日本公演を渋谷の文化村で観ており、井上道義指揮の引き締まった演奏は今でも印象に残っている。6年生3人が幕開けの男性3重唱を歌った。仮面をつけて歌うのは本番と同じで気合いが入っていた。一度歌ってみたい曲だったそうで少年によって演奏されると当然雰囲気が違いこれはこれで興味深い。歌ってみたい曲があるというのはいいことだ。この歌が始まると少年合唱団はスタンバイするそうでこういう舞台裏の話しも楽しい。群衆の合唱で締めくくられたがここまでやるのなら有名な「泣くな、リュー」や「誰も寝てはならぬ」「氷のような姫君の心を」を抜粋でよいから紹介し、メンバーがこのオペラに詳しいことをもっとアピールできるとよかった。
最後は6年生から先生方への花束贈呈だがこれは舞台裏でやればよい。それより6年生に一言ずつ話してもらい、更に6年生だけで思い出の曲をなにか1曲合唱して観客にも「卒団おめでとう」と祝える雰囲気を出して欲しい。全員で歌う最後の曲も「一千億の夢」のような力のこもった曲が聴きたかった。後半はなんだかんだ書いたが日本の少年合唱団のトップクラスにあるTFBCにはいろいろ注文したくなる。Kさんは「今日はとてもよかったです」と感動した様子。「観客はほとんど関係者のようだけど道楽さんみたいな固定のお客さんを増やしたいですね」と一言。同感である。話の続きはゆったりとくつろげる店へ案内し互いの感想を話した。TFBCファンになってもらえそうである。
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