ボーイズ・エコー・宝塚

   プロフィール
創立       昭和59年7月11日
団員構成    小学生男子(平成14年1月現在21名)
指導者     中安保美先生とピアノ伴奏の辻潤子先生の二人。
練習日・場所 毎週水曜日午後3:00ー4:30 宝塚小学校
          毎週木曜日午後3:00ー4:30 第一小学校
レパートリー  世界の名曲・民謡、みんなの歌系のもの、ディズニーもの、 サウンド・オブ・ミュージックの曲、
手塚治虫の漫画テーマ、日本の子どもの歌、日本歌曲

平成10年度記録(公開中)
平成11年度記録(公開中)
平成12年度記録(準備中)


ボーイズ・エコー・宝塚」讃

 「ボーイズ・エコー・宝塚」の名前を初めて知ったのは、平成11年の初詣で清荒神に行ったときです。広報掲示板の新春コンサートのポスターに他の音楽団体に混じってこの名前が書いてあったのです。名前からして、少年だけの合唱団らしいという感じがしたのです。たいていの大きな市には少年少女合唱団があります。しかし、名前は「少年少女」合唱団でも、たいてい少女がほとんどの合唱団です。日本に少年だけの合唱団の数は全国に数えるほどしかありません。その理由としては、次の三つが挙げられましょう。第一には、外で遊びたい盛り、いわゆる腕白時代の少年に長期間にわたる歌唱訓練が好まれないことです。歌とスポーツを二者択一するとき後者を選ぶ少年が多いと考えられます。第二には、最近ではかなり解消しましたが、ボーイソプラノを「女みたいな声」だと言ってからかうような風潮がまだ残っているということが挙げられます。同世代の少年に認められるかどうかということは、この年齢層の少年にとっては、重大なことです。小学校においても、コーラス部に男子部員が集まりにくい理由の一つがそこにあります。第三には、最近の少年の変声期が非常に早くなったため、実質的に歌える期間が、短くなってきたということも挙げられましょう。声は、訓練によって鍛えられても、音楽性は人格の発達と密接な関係をもち、急には高められません。いわゆる「歌心」は、その少年が持つ素質的なものに加えて、人の喜びや悲しみを感じる心が育っているかどうかによって違ってきます。美しいものを美しいと感じる心のない少年に、声の力だけで、人の心を動かすような歌を歌うことはできません。それだけ少年を集めてその歌声を育てることは難しいのです。

 関西にも少年合唱団があるのだろうか、あったらうれしいなと思ってきましたが、忙しさにまぎれ放置してきました。ところが、インターネットを通して全国各地はもとより海外にも少年合唱ファンの友達ができるに至って、再び少年合唱への関心が高まってきました。
 平成11年の初詣で清荒神に行ったとき、ポスターを注目していると、「ボーイズ・エコー・宝塚」の名前の入ったポスターを発見しました。そこで、ぜひ一度見て確認したいものと思って、べガ・ホールの第16回宝塚ニューイアーコンサートに行ってきました。出番が少なかったのが残念でしたが、少年達のやさしく美しい歌声を聴くことができてとても嬉しかったです。

 あんまり嬉しかったので、面識がないのにかかわらず、プログラムに載っていた指導者の中安保美先生のおうちにお電話して感動の言葉を伝えました。中安先生はたいへん喜んでくださって、これまでの演奏会のプログラムなどを私に送ってくださいました。それによると、レパートリーは広く、世界の名曲・民謡、みんなの歌系のもの、ディズニーもの、サウンド・オブ・ミュージックの曲、手塚治虫の漫画テーマ、日本の子どもの歌、日本歌曲など多彩です。15年の歴史の中で常にいろんなことにチャレンジしておられます。また、音楽劇があるのも特色です。   

 中安保美先生は、児童発声の権威品川三郎先生の流れをくむすばらしい気骨のある教育者です。品川先生の名著「児童発声」は、昭和30年に音楽の友社から発行され、当時の音楽教育をリードしました。中安先生の情熱によってこの少年合唱団は支えられています。

 前掲したことだけでなく、少子化、受験という大きな社会的問題や、わがままと個性の区別がつかなくなり、みんなと揃えて協調することを罪悪視するような今の日本の悪しき風潮の中で、少年合唱団を運営するのはたいへん難しいと思います。事実、「ボーイズ・エコー・宝塚」でも、団員の確保と音楽的水準の向上という課題は常に大きいと聞きます。その厳しい状況の中で少年合唱団の灯を掲げ守り通しておられることは素晴らしいことです。数年間だけ与えられたボーソプラノの美に気づかないで過ぎる少年が何と多いことでしょう。少年の日に美しいものを美しいと感じる心を育てたり、仲間と協力して一つのものを作り上げる喜びを知ること、また、規律ある凛とした態度を身につけることは、一生の宝となります。価値観の混乱した今の日本で、少年達に美しい精神を植え付けるためにも、「ボーイズ・エコー・宝塚」の発展を心から祈念するものです。            

 平成13年度 のど自慢大会

 
 8月29日は、宝塚市立宝塚小学校で、ボーイズ・エコー・宝塚ののど自慢大会がありました。今年も中安先生より審査員を依頼されました。何と言っても、全員の独唱を聴くことができるのが、こののど自慢大会の最大の魅力です。といいますのも、どの少年合唱団の定期演奏会でも、独唱を聴く機会は少ないものです。全くないところもあります。この企画は、団員にとっては、ふだんの練習の成果を発表するよい機会になりますし、合唱団にとっても、一人一人の力を高めることが、全体のレベルを高めることにつながります。2年連続この大会に参加した私個人としては、この1年間の少年達の成長を見ることができ、また、半数近くが入れ替わったため、まだ名前と顔が一致していない団員もいますので、それを一致させることにも大きな意義がありました。

 会場の多目的室に到着すると、団員はくじを引いて出場順を決めます。今年度になって学んだ曲のうち好きな曲を1曲、自由曲として選んで短冊に書き込みます。また、最初に歌う課題曲は、在団歴によって、2とおり。今年は入団1年目が「団歌1番だけ」、2年目以上が「団歌2番まで」となりました。なお、欠席が3名ありました。採点基準は、@ふしがよい A言葉をまちがわない B声がはっきりしている C高くよく響く Dよい顔・よい態度の5点満点で審査員3名の合計点(15点満点)によって決まります。しかし、私はさらに歌の心をつかんで表現する「芸術点」があってよいのではないかと思いながら採点しました。一回きりの演奏ですから、失敗すると取り戻すのは至難の業です。ですから、ここでは点数に表せないものを含めて寸評を述べていきたいと思います。

名前(学年) 曲名(自由曲)                寸                評                    
1 池田(3) ドナ・ノービス・パーチェ 1番をあてて緊張したでしょうが、真面目な練習態度で去年より声が前に出てくるようになってきました。
2 高橋(2)新人 ハイキング やや線は細いのですが、曲の流れに沿ってきれいな音色を楽しむことができました。
3 曽我部(4) ドナ・ノービス・パーチェ 繊細な音色が磨かれてきて、去年は「点」だった美しい部分が「線」としてつながってきました。
4 井上(2)新人 さんぽ 口の開け方がきれいで、曲想をつかんでおり、将来スケールの大きな歌を歌う可能性を感じました。
5 西田(5) ドナ・ノービス・パーチェ 華やかな音色ではないのですが、音程の正確さは抜群で、今日も安定した歌を歌っていました。
6 塩谷兄弟(幼)新人 さんぽ 元気いっぱい頑張っている姿が曲の雰囲気とあって楽しめました。
7 圓井(5) 星に願いを この半年間で声も歌心も飛躍的に伸びて、抒情的な表現ができるようになってきました。自由曲は絶唱でした。
8 稲垣(3) アレルヤ 団歌は元気に満ちあふれたはつらつとした歌が歌えました。
自由曲は持ち味がやや出にくかったかもしれません。
9 宮城(5) ドナ・ノービス・パーチェ 繊細で抒情的な声質を生かした美しい歌が歌えていました。音程がよくなるとさらによくなります。
10 富谷(4) ドナ・ノービス・パーチェ いわゆる「かわいい声」が生きている場面がありました。音程がよくなるとさらによくなります。
11 鈴木(6) ドナ・ノービス・パーチェ 声が抒情性を増して、団歌はこんなに美しい歌だったのかと再認識しました。自由曲も安定した歌が歌えました。
12 伊地知(3)新人 つばさを広げて 音程がしっかりしており、また曲の山場をつくることもでき、将来スケールの大きな歌が期待できそうです。
13 亀谷(2)新人 とびだそう世界へ 声そのものはとてもきれいで、団歌ではそれが生きていました。自由曲は音程がよくなるとさらによくなります。
14 尾崎(5) ハイキング まっすぐな美声を今日も聴かせてくれました。「ハロー」という呼びかけは特に美しい表現ができていました。


     
第35回宝塚市民合唱祭

 11月3日は、宝塚ベガホールで行われた、第35回宝塚市民合唱祭に行って来ました。文化の日としては珍しく雨模様の一日でした。今年の出場団体は昨年より少し減って32団体でしたが、ボーイズ・エコー・宝塚の出場に合わせて午前10時前に会場に着きました。3番目の登場となったボーイズ・エコー・宝塚は、今年度になって久しぶりに人数が増加に転じ20名を超えました。これまで、横一列に並んでいたのが、この日は二列。合唱の醍醐味はやはり声の重なりですから、嬉しいことです。また、昨年度まではマネージャー兼司会として女子を入れていたのですが、大塚さんの卒団を機に、オール・ボーイズの合唱団となりました。曲の解説は少年たちが交替で行うというTOKYO−FM少年合唱団と同じような舞台運びとなります。

さて、この日の曲目は、@「イッツ・ア・スモール・ワールド」 A「ドナ・ノービス・パーチェ」 B「とびだそう世界へ」 C「ハイキング」の4曲です。「イッツ・ア・スモール・ワールド」は、春のコンサートの「おくりもの」に続き手話付きの曲ですが、これは、歌に変化をもたせるだけでなく、歌に集中できるという副次的な効果が見られました。もとより、福祉教育にも力を入れているボーイズ・エコー・宝塚ですから、たとえ会場に聴覚障害のある方がおられなくても、こういう姿勢は大切にして欲しいと思いました。「ドナ・ノービス・パーチェ」は、夏の「のどじまん大会」で最も多く選ばれた曲。平和への祈り心が荘重に歌われました。ソロでは、少し弱々しいと感じたところもありましたが、やは20人の声を重ねるとかなり違って聞こえました。「とびだそう世界へ」と「ハイキング」は、爽やかな演奏で、さらっとした仕上がりでした。この曲に求められているものを過不足なく表現していましたが、やや薄味の演奏であったとも言えます、来春の定期演奏会に向けて、今後どう高められていくかが楽しみです。

 

第17回定期演奏会に寄せて


 ボーイズ・エコー・宝塚のみなさん、第17回定期演奏会おめでとうございます。今年度はボーイズ・エコー・宝塚にとって、大きな変化の年となりました。一つは、久しぶりに団員が20人台を回復したことです。合唱音楽は人数が多くなるほど表現できるものが広がってくるのでたいへん喜ばしいことです。もう一つは、創立以来ずっと司会と曲目紹介をしていた女子マネージャーの新規採用をあえてせず、少年だけの合唱団に踏み切ったことです。今年度からは少年たちが交替で曲目紹介をしています。美しい声の理想は、
「話すように歌い、歌うように話すことである。」
という有識者もいます。今回からは、素材としての話し声が歌声としてどう磨かれていくのかを聴くことも楽しみの一つになってきました。      
 さて、昨今の日本では人心の荒廃が進み、児童殺傷事件や児童虐待といった子どもまでを巻き込んだ悲惨なできごとが後を絶ちません。また、わがままでだらしないことをよしとする「何でもあり」の風潮は、子どもの規範意織の低下に拍車をかけています。そのような劣悪な社会的背景の下でも、日本各地にわずかに残された少年合唱団では、歌を通して清純な心をもった規律正しい少年を育てるべく必死で努力されています。ボーイズ・エコー・宝塚は、創立以来一貫して歌による社会奉仕という巣高な理念のもとに今日まで歩んでこられました。社会が大きく変化する今こそ、どんな社会になっても動かないものを求めたいものです。中安先生、辻先生は、少年たちの今喜ぶ顔よりも、将来幸せになる道を大切にして日々指導されています。            
 今回のプログラムには、人の心に灯をともすような曲がずらりと並んでいます。このような時代だからこそ、少年少女には夢や憧れを、大人には心の安らぎを与えてくれるものが必要です。今日はボーイズ・エコー・宝塚のすばらしいボーイ・ソプラノの歌声によってそれは満たされ、至福の時を過ごせるものと確信しています。


                        (続く)
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