第43回宝塚市民合唱祭
        平成21(2009)年11月1日 ベガホール


 以前は、毎年11月3日(文化の日)に行われていた宝塚市民合唱祭も、出場団体も多くなってきたため、2日に分けて行うようになってきました。今回のボーイズ・エコー・宝塚の出場は、この日のトップバッターと言うことで、それに合わせて午後12時半ごろに会場の宝塚ベガホールに着きました。ボーイズ・エコー・宝塚の演奏を聴くのは、今年度になってから初めてです。

 この日採り上げたのは、「君をのせて」と「カントリーロード」の2曲で、一言で言えば、さわやかな演奏でした。ただ、「君をのせて」の伴奏譜が旋律を演奏しないものであったため、歌が伴奏に乗りにくいところがありました。それと比べると、「カントリーロード」は、曲のドラマ性を浮かび上がらせるような演奏で、3月の定期演奏会にさらに完成度の高い演奏が聴けるのが楽しみです。

第25回定期演奏会に寄せて


 ボーイズ・エコー・宝塚のみなさん 第25回定期演奏会おめでとうございます。

 ついに25回目を迎えるのか・・・という感慨の大きい定期演奏会になりました。その間一貫した指導理念のもと、歌を通して規律と気品を備えた数多くの卒団生を世に送って来られた指導者の中安保美先生、辻潤子先生の献身的なご労苦に対し、感謝の誠を捧げたいと思います。また、団員の少年たちは、この少年の時にボーイズ・エコー・宝塚と出会えたことに、時がたつにつれて、誇りを感じてくれるものと思っております。

この1年間の日本における少年合唱界を振り返ると、何と言っても栃木少年合唱団の解散という残念な事実が挙げられます。かつては、75人の団員を擁し、全国少年合唱祭を開催する原動力となった栃木少年合唱団の解散は惜しまれます。今年度訪問した西日本の少年合唱団も、音楽的によい演奏はできても、人数的には厳しい状態が続いています。

 さて、ボーイズ・エコー・宝塚の今日のプログラムを見ると、「スタジオ・ジブリの世界」と「サウンド・オブ・ミュージック」が目をひきます。昨年は「崖の上のポニョ」が大ヒットしましたが、「スタジオ・ジブリ」がこの20年ほどの間に世に送った曲を集めると最近の児童合唱曲の縮図を見るようです。また、「サウンド・オブ・ミュージック」は、これまでにもボーイズ・エコー・宝塚が採り上げてきましたが、卒業演奏で何人もの6年生が独唱曲として採り上げるなど、45年ほど前の曲でありながら少年たちにとって魅力的な曲が集まっています。昨年の紅白歌合戦に、加藤清史郎やスノープリンス合唱団が出場したことを考えると、人と選曲にさえ恵まれれば、ボーイ・ソプラノに世の注目が集まり、全国の少年合唱団の入団希望者が増えるのではないかと考えたりします。今日のボーイズ・エコー・宝塚の演奏を心から味わって至福のひとときを過ごしたいと思っています。


ボーイズ・エコー・宝塚 第25回定期演奏会
        平成22(2010)年3月14日 宝塚西公民館



 とうとう、初めてボーイズ・エコー・宝塚の定期演奏会に遅刻することになりました。公務最優先ですから、欠席ではなく遅刻であっただけでも幸せなのかもしれません。電車を4つ乗り継いで、会場に着くと、ちょうど第1ステージが終わったところで、受付でご案内して頂いて、ソプラノの前あたりの席で鑑賞することができました。この席からは団員の表情が非常によくわかります。

   曲想の違いを
 第2ステージは、「スタジオ・ジブリの世界」と題されていましたが、スタジオ・ジブリがこの20年ほどの間に世に送った映画音楽は、最近の児童合唱曲で採り上げられるだけでなく、夏休みの映画の上演が1か月あまり後の秋の運動会へと直結するということもしばしば見られました。しかし、久石譲の曲は音楽的には多様で、どの曲も同じ色で染め上げてはいけません。この日のボーイズ・エコー・宝塚の演奏は、1曲ごとの曲想の違いをかなり意識した演奏をしていました。最後の「カントリーロード」は、「耳をすませば」の中で使われていたようですが、歌声が伴奏に乗って、11月のステージよりかなり進歩の跡が見えました。
   
   この日の白眉は
 第3ステージの「「サウンド・オブ・ミュージック」よりは、「ひとりぼっちのひつじかい」「エーデルワイス」「私のお気に入り」「サウンド・オブ・ミュージック」「ドレミの歌」の5曲が演奏されました。「ひとりぼっちのひつじかい」は、まだヨーデルにぎこちなさを感じながらも、うまくまとめた感がします。「エーデルワイス」は、音楽的にはやさしい部類にはいるでしょうが、ていねいに仕上げていました。「私のお気に入り」は、編曲によってかなり違う曲になる歌ですが、むしろおとなしい感じがしました。この日一番の白眉は、5年生4人による重唱で「サウンド・オブ・ミュージック」。これは、曲想に変化が大きく、山場をうまくつくったためにかなり聞かせる曲となりました。やはり高学年になるとこういう表現も可能になるということを感じさせるステージでした。

   イタリアの歌は明るく   

 イタリアの歌といえば、哀しみがあっても明るく歌いあげる「カンツォーネ」を連想しますが、この日採り上げた「わたしのベラビンバ」「はさみとぎ」「海はまねく」「フニクリ・フニクラ」は、明るさを全開させるような曲です。もう少し声(ボリュームと磊落さ)がほしいと思った曲もありますが、今年のメンバーは、ボーイズ・エコー・宝塚としては、おとなしくまとまった感がするので、このメンバーらしい表現であったとも言えます。
   
   桃太郎少年合唱団と共に
 「平和をねがって」も、ここ数年の定番になってきました。「青い空は」「折り鶴」「さとうきび畑」「フィンランディア」とおなじみの曲が続きますが、これは、一連のものと感じるようになりました。「世界が一つになるまで」は、歌詞が不鮮明な部分があるので、最後を盛り上げるにはややもの足りないものを感じました。ところが、重厚な「さようならみなさま」が始まると、一瞬、桃太郎少年合唱団のラストステージを思い出しました。今、ボーイズ・エコー・宝塚には、桃太郎少年合唱団から移籍した団員もいることや、かつて、棚田団長先生、浦池前副団長先生が、ボーイズ・エコー・宝塚のステージに来られたことを思い出し、こういうつながりもよいのではないかと思いました。