栃木少年合唱団


栃木少年合唱団の制服の美的センスは特筆できます。
  
プロフィール

 栃木少年合唱団は、ウィーン少年合唱団の来日を機に昭和37(1962)年に発足し、平成13年で40周年を迎えましたが、創立50周年を直前にして平成21(2009)年に解散しました。最大時は70名を越す団員を擁し、少年独特のきれいに澄んだボーイソプラノ、響きのある美しいハーモニーを目指し、また、ミュージカルという新しい分野にも挑戦し、二世の団員なども加わって練習に励んでいましたが、団員の減少により団を維持することができなくなり、ついに解散となりました。その経緯を述べたホームページは現存し、再興への想いを感じることができます。

 私が、栃木少年合唱団の舞台を鑑賞したのは、第2回と第3回の全国少年合唱祭で20分程度のステージに接しただけです。ですから、それだけで、この少年合唱団の全貌をつかむことはできませんが、第1回の全国少年合唱祭を栃木の地で開催したという心意気には感動しました。「無」から何かを創り出すというのはたいへんな情熱がなければできないことです。考えてみれば、私がこのHPを開設して、ファンサイドから日本の少年合唱団を応援しようと決意したのも、栃木少年合唱団の心意気と重なるものがあります。ここでは、第2回と第3回の全国少年合唱祭のステージを紹介し、以後は情報が入り次第、書き込みたいと思います。

第2回全国少年合唱祭」より

 幕が開くと、2‘nd Japan Boys Chorus Festibalという横断幕を背景に栃木少年合唱団が整列していました。ベレー帽とベストがオレンジ、シャツと胸ハンカチとハイソックスが白、蝶ネクタイとズボンと靴が黒で、この色彩的な調和は目を引きます。半ズボン22名(小学生)長ズボン3名(中学1年生)の25名で、今度初挑戦する合唱ミュージカル「けんちゃんとおばけ」の8曲を演奏してくれました。最初声部のバランスがやや悪いようでしたが、次第に調子をあげ、最後の「信じてる夢を」では、おそらくこの合唱団の持ち味の繊細な声の音色を楽しむことができました。ただ、この合唱ミュージカルは初挑戦の分野だけに、この合唱団の持ち味が十分発揮されたかというと疑問が残ります。きっと、旋律の美しい作品なら、この合唱団のよさをもっと見つけることができたでしょう。また、1曲ごとに解説をしてくれたのはよかったのですが、ズボンのポケットからメモを取り出して読むというのは感心しません。暗唱して語りかけるようにすべきだと思いました。ところで、解説の話し声を聞くと、中学生の2人は変声し、小学生にも変声期に入りかけている少年がいましたが、それでもがんばっている姿には好感が持てました。これは、後輩によい影響を与えることと思います。

「第3回全国少年合唱祭」より

 栃木少年合唱団は、今回もベレー帽とベストがオレンジ、シャツと胸ハンカチとハイソックスが白、蝶ネクタイとズボンと靴が黒で、この色彩的な調和は秀逸です。はっきり言って前回の、合唱ミュージカル「けんちゃんとおばけ」は初挑戦の分野だけに、この合唱団の持ち味が十分発揮されたかというと疑問が残りました。今回の演目は団歌と「ふるさとの四季」よりという小学唱歌のメドレーです。こういう曲は、みんなが知っているだけに、よくも悪くも失敗があれば目立ってしまいます。しかし、今回の演奏ではそういう破綻は見られませんでした。むしろ、この合唱団の特色である繊細な声による美しい日本の自然の移り変わりとそこに住む人の心の美しさを楽しむことができました。「故郷」で始まり「故郷」で終わるこの組曲は、ともすれば忘れがちになる日本の美を体現していました。人数的には厳しい状況ですが、それだけに、少人数でも表現できる曲に挑むことが大切だと感じました。神永秀明先生の指揮には秘めたる情熱を感じました。

「栃木少年合唱団を想う」
 このたび、栃木少年合唱団のホームページと相互リンクすることになりました。そのきっかけは、相互リンク先の「児童合唱頁」に、栃木少年合唱団のホームページが誕生したという情報を得たからです。一面識もありませんでしたが、ホームページ管理者で副団長の大豆生田さんにメールを送ってその想いを伝えました。大豆生田さんのホームページには既に、「ボーイ・ソプラノの館」についての紹介文もあり、見えない糸を感じた次第です。
 かつては70人を超える団員を擁した栃木少年合唱団も、今は団員10名程度という厳しい状況であるとのこと。何としても栃木少年合唱団の灯を消してはならないとの想いから、この文を書きます。
 桃太郎少年合唱団が平成10年6月にまとめた「日本の少年合唱の現状と課題」がきっかけとなって、かつて日本に40団体あった少年合唱団が9団体になっていることが確認されました。その後、調査漏れとなっていたボーイズ・エコー・宝塚や、新しく創設された新潟少年合唱団等が発見されましたが、それらの団体が厳しい状況におかれていることに変わりはありません。金沢少年合唱団も解散となりました。
 しかし、その厳しい中、栃木少年合唱団は、全国の少年合唱団がお互い励ましあって頑張ろうと、「全国合唱祭」を企画され、第1回の主管をされました。その志の高さは特筆できるものです。ただ、昔はよかったと言うだけでは発展性はなく、今だからこそ少年合唱団が少年の音楽的・人間的成長に貢献できるという新機軸を打ち出さなければならないときが来ています。この相互リンクをきっかけに、さらに新しい人間関係が生まれ、栃木少年合唱団が発展することを期待するものです。



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