Fragment
4年前に初めてPARISを訪れて以来、ヨーロッパへの短い旅をくり返した。旧市街の路地を歩いている
とふと何かの気配を感じることがある。数百年の間、そこにあり続けている建物や石畳の囁きが聞こえ
てくるような気がするのだ。しかし写真家が時空の彷徨人であるならば、その声を捉えたことは自然な
事なのかもしれない。僕は静かにシャッターボタンを押す。
写真を撮ることそれ自体が旅をすることに似ていると思う。一枚一枚の写真が旅のかけらであり、人
生の断片となる。
(1997年写真展のための文章)
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