平成四年に六世宗家を継承致しましてより、十五年が経ち、舞踊家として一つの目標としておりました亡母の年齢に近づいてまいりましたが、母の年齢を越えた後に記憶にあるのは祖母の六十歳ほどの姿しかありません。それまでの空白に、舞踊家として宗家として何をめざしどう生きてゆくべきか、見つめなおしたいと「第五回 山村若の会」を企画構成いたしました。
私は、自身で振付致しました地歌『融』と上方歌舞伎舞踊で山村流の古曲として扱われます義太夫『仕丁』の二演目を舞わせて戴き、文化庁芸術祭に参加させて戴きました。
山村流の発展に尽くしました先人達―平成十九年八月に十七回忌を迎えました祖母四世宗家・若、平成二十年二月に十三回忌を迎えた祖父・平太郎、同じく四月に二十五回忌を迎えた母五世宗家・糸、来年七回忌を迎える大叔母・久子、若年の私を宗家として支えてくれました今は亡き高弟や門人達に捧げ心を込めて勤めさせていただきました。芸術祭優秀賞を賜ることが出来、何よりの手向けとなったのではと思っております。
ご支援ご声援に心より厚く御礼申し上げます。
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