2013年秋 頂点への挑戦Ⅲ 最終章 Load To Legend A-Team
2013年春、連盟春季大会を制し、くりくり大会への出場を決めたAチームは順風満帆であった。
しかし、5月の都知事杯中野区予選1回戦敗退。6月の全日本学童東京都大会2回戦敗退。
7月のジャビット予選準決勝敗退。Nリーグ春季大会決勝戦敗退。8月のくりくり大会1回戦敗退。
東京23区大会出場決定戦1回戦敗退。9月連盟秋季大会準決勝敗退。
狂った歯車は容易には元に戻ってくれず、7回も転び続けたAチームはこのまま終焉を迎えるかに
見えた。11月、秋季大会第三位で出場が決まった最後の上部大会である第33回四区親善少年野球
大会に臨んだ。
1回戦、杉並区秋季大会決勝戦に駒を進めている杉並区代表、西田野球クラブと対戦。
初回、死球で出した二塁走者を二塁ゴロでホームに帰し先制された。
その裏、1番佳明君左中間三塁打。2番寿明君の遊ゴロバックホーム間に合わず同点に追いついた。
3番塁君左中間適時打。4番颯馬君中越適時三塁打で3点を挙げた。先発塁君被安打1、与四死球2、
自責点0の2対4で完投勝利。
準決勝戦、くりくり大会、都知事杯東京都大会の新宿区代表、四谷フェニックスとの対戦は4年生の
ときジュニアベースボール大会1回戦でレッドサンズに1安打コールド負けを喫した苦い思い出の和田堀
球場B面1塁側ベンチ。息詰まる投手戦の均衡を破ったのは4回裏、3番塁君、4番颯馬君連続四球
で5番洋斗君の1塁ライナーダブルプレーでチャンスが潰えたかと思われたが、6番真菜さんが前進守備
のセンターの頭を越す適時二塁打で先制。しかし6回裏に同点に追いつかれ、最終回の攻防。
四死球で1番佳明君、2番寿明君出塁。3番塁君自ら左中間適時打で勝ち越す。さらに5番洋斗君中前
適時打。7番祥希君左中間2点適時打で4点を挙げた。7回裏の5番からの攻撃を三者凡退に打ち取り
ついに8年ぶりに2回戦の壁を越えた。
決勝戦、65チームの練馬区春季大会で優勝した東勝ファイターズに敗れ、34チームの練馬区秋季大
会で優勝した向山アパッチにサドンの末敗れ、いづれもベスト8の成績だった練馬区代表練馬レッド
サンズ。決勝戦のさらに高い壁と練馬区の壁、区は違えどもレッドサンズというチーム名に対する
トラウマと更なるハードルがあった。ヤングポパイは8年前の四区大会決勝戦では豪腕山下投手を擁し
て涙をのんでいた。昼食にはトンカツ弁当、キャプテンのじゃんけんは珍しく勝って後攻をとり、スタッフ・
父母・兄弟・Bチームの大応援団を揃え、できることはやった。あとは選手の力を信頼することだけで
あった。
1回裏、1番佳明君ヒットで出塁、盗塁、2番寿明君の内野ゴロで三塁進塁。3番塁君のときに
パスボールで先制のホームイン。この1点だけで、両チームとも無得点でさすが決勝戦、緊迫した試合
であった。4回裏にチャンスが訪れた。4番颯馬君ショート脇を痛烈に抜け左中間深々と破る三塁打。
5番洋斗君自らも出塁する絶妙なスクイズバントを三塁前に転がした。二盗を決め、6番真菜さんの
三ゴロで三進。7番祥希君投ゴロ一失。8番崇翔君四球。9番侑輝君四球。2死満塁。
1番佳明君三塁線2点適時打。リードを5点に広げる。5回を終わって、走者を一人もだしていない。
あと6人打ち取れば大記録と思ったが、意識し始めると得てしてできないものである。しかし、7回表、
最後の打者を打ち取り、悲願の上部大会初優勝を飾った。さらに、内野手の抜群の守備でアウトを積み
重ね、外野に打球を飛ばさせず完全試合という偉業を達成してしまった。
試合後、富士見ヶ丘球場での表彰式では優秀選手賞に塁君が選ばれた。七転び八起き、呪縛から解
き放たれ、ヤングポパイ創設31年目にしてAチームの上部大会初優勝を遂げた。
過去を遡ると11年前、上部大会で10勝を挙げた伝説の第20期卒団生は9名しかいなかった。
13年前、四区大会決勝戦でセンター前ヒットで三塁を回ってホームへ向かっていた二塁走者をセンター
からバックホームで刺したプレーは4年生として驚異的でした。その四区大会低学年の部優勝を遂げて
から13年の歳月が流れていた。
現Aチーム選手たちは開会式での5年生2名を加えた11名の行進を見ても2名の体格の大きい選手は
いるけど、1番弱そうな中野区のチームにしか見えなかった。昔、羊の皮をかぶった狼と言われていた
車があった。市販されている車にレーシングカーのエンジンを積んだニッサンスカイライン。
羊の皮をかぶった11名の狼たちは最後の舞台で最高のパフォーマンスを魅せてくれ、13年の時を
経て四区大会に降臨した。
朝に晩にチーム練習以外にも練習を積んでいた選手たち。練習は嘘をつかなかった。
試合前、江古田の森公園で泣いても笑っても上部大会最後の試合だ。今までやってきた事を信じて楽し
んで来いと送り出した。それから3時間半後に最高の結末を迎え、はるか彼方にあった夢を現実のもの
としてくれた。一番輝いている金メダルを首にかけて優勝旗を持っての場内1周を胸を張って堂々と
行進していた。たくさんの感動をありがとう。上部大会での優勝おめでとう。
2013年12月7日 by HORINO
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