珍しく寝ている時に目が覚めた。

半身を起こし注意を配る。

でも何の気配も無い。

 「寒い…」

耳を澄ませば、聞こえた。

 「そう、そのせい…」



 あめ




薄いカーテンの向こう。

窓ガラス越しに聞こえた雨の音。

決して激しく降っているわけではない。

どちらかと言えば静かに単調に、だ。

 「…いつまでも起きてられないわ」

音で目覚めたのではなく、寒さだと分かった。

もう意識を留めておく理由も無い。

髪を延ばし(正直こういう用途には自分でも遠慮があるけれど)薄手の服を一着、肩に掛けた。

 「面倒臭がりだな」

居ないはずの存在が其処に居た。

 「効率の問題よ」

慣れた、というのも釈然としないのだけど、事実。

特に気を張ることも無く返答を繰り返す。

 「そうかな」

 「…悪趣味よりはマシよ」

 「失礼、淑女?」

 「さっさと出て行って」

 「ご挨拶だな。今日は初めて会った筈だが?」

 「だから何?邪魔なのよ」

これ以上体温が下がるのは避けたい。

そう思って身をシーツの中へと沈めた。

 「…寒いのか」

 「もう平気」

 「そんなものよりは、温められると思うが?」

 「残念ね、そういうの、自信過剰って言うのよ」

 「……」

 「此処は貴方の休憩所じゃないの」

 「雨宿りも出来ないのか?」

 「そうね…タダじゃ嫌」

 「私に何かを払わせるのか…?」

 「貴方、何様のつもりで此処に居るのよ」

 「すまない」











 「貴方の所為で奪われた体温くらいは返して」










 -END-


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後書:
……ほんのりラブイザトミリ、書きたかったんです…。
ちなみに、ドラマCD聴いた後なのでそれなりの影響受けた文になってます(苦笑)
本当はもう少しいちゃついてたんですが…重かったのでもうこの辺で勘弁してください(笑)

お題について:
『あめ』…雨、ですね。
起きて、雨だと、少し憂鬱、少し倦怠、そんな感じがします。