今日という今日は付き合ってもらうぞ


 ウザってぇ…







私は…間違っているのだろうか…









-嘘-










◇Ky◇


争いはいけないこと。
人の命が奪われていく。
そこには平等など存在しない。

争いとは何も生まない。
愚かな行為だ。
人の命を何とも思わない。

だが時代はそれを必要とした。
絶えず繰り返される戦争。
惜しげもなく奪われる命。

立ち尽くすだけでは何もならない。
けれど前へ進む道を知らない。
すぐ隣では命が消える。

得体の知れぬ恐怖と圧迫。
震える体は何も受け入れない。
目に映るのは艶やかな赤。

立ち向かう強さを欲した。
受け止める覚悟を決した。
現実を、見たんだ。


生まれてから記憶にあるのは崩壊の音と赤い映像。
瓦礫の音、人々の叫び、金属のガチ合う音、そして生体兵器の唸り。
空へ向かう炎、それに灼かれたかのような変わらない、紅い空、飛び散る血液。

けれどその中で見た、光。
雑音を静寂に変え、青い空を与えてくれた。
白い正装の騎士達。

憧れないわけがない。
憎むべき敵を消し去るその姿に。
人は、強くなれるのだと。


ギアは人を襲う。
何の罪もない人間を。
そんな思考など理解できるわけがない。

ただ悪しき存在であるだけだ。
それを排除することこそ正義。
命を刈ったその罪を身をもって受けるべきなのだ。

私は人々が心から笑って暮らせるように。
ギアの恐怖に怯えずにすむ世界を望む。
だから戦う、その悪と。









◆ソル◆


聖戦。
皮肉な名だな。
ただの後処理に過ぎない。

生体兵器の運命は、所詮造り手に握られているとでも言いたいのか。
全ての罪は、彼らにあると。
人間は正しい道を歩いたと。

ギアが悪だとは言わない。
絶えぬ人間の欲望。
あの男の欲望。

終わることなど考えられなかった。
先が見えなかったから。
けれど終わらせた、この手で。

ジャスティス。
神の名と同じ名を受けたギア。
最愛の女神。

額に同じく傷を持つ意識体。
辛くはなかった。
これで表向きは終わりになるのだから。

…今でもあの目は記憶から消えない。
見上げた眼に映った自分の顔も。
死ぬことを恐れていない眼は彼奴だけ。

自分の無力さを知った。
大分昔に覚悟したつもりだった。
その甘さも思い知った。

やり直しは無い。
ならばせめてその罪の欠片を。
灰とし還してしまおう。

人間と共に歩むこともしない。
他に何も望まない。
だから今は戦い続ける。

自分の存在理由さえ簡単に手に入る。
生きる目的など見えなくても。
前へ進める気がした。

賞金稼ぎなんていう便利な仕組み。
余計な人間関係もない。
一人背を向け立っていよう。

その名と同じ、背徳の炎を背負って。







…なぁ、俺は間違ってるか?

…………ジャスティス…

















何故本気で戦わない!


 坊やだからさ…




お前は何も知らない、そんなお前にどうして本気になれるってんだ。











  -END-



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後書:
カイソルです!暗くったってカイソルです!見えなくてもカイソルです…。
団長は団長の思う正義を振るい、民を救おうとする。
あまりに一方的で人間的な正義は時として全てを隠してしまうとしても。
ソルは正義だとかの定義は関係無く、身内狩りを続ける。
それが非難され、怖れられ、自分に感化されなくなっても彼は耐えるから。
自分のやるべきコトをやっている人間は少ないかもしれない。
けれど与えられたやるべきコトをやっている人間は多い。そんな世の中。

お題について…
『嘘』。はい、嘘です。お題は嘘ですよ作者。
全く関係無くなってしまった…一応ソルとか団長とかね、嘘で生きてそうだなぁって。
……ダメですか。