前へ 次へ

ベニスに死す

監督=ヴィスコンティ
主演=ダーク・ボガード

スタートのタイトルバックからマーラー交響曲No5が流れる。
主人公は、海からベニスに登場する。朝焼けの海 船のゆったりとした動きが、旋律 の流れとぴったりマッチして、音楽の美しさに感動させられる。
主人公のオッフェンバッハのメランコリーに捕らわれた表情の先にベニスの街が 現れる。船上で化粧をした老人にギョッとさせられこの映画のラストを暗示している。 この、主人公がホテルに入るまでの序章の演出は まさにヴィスコンティのマジックだ。
オペラの一幕を観ている様に導入部を作り上げている。
最後の砂浜から担がれて退場する場面さえ予想される。 ダーク・ボガードのわずかな表情の動きの演技がすばらしい。ベニスの駅で荷物の手配違いで ホテルに戻ることになった時の喜びをかみ殺したような表情を一瞬見せる。ほんの一瞬。すごい!
印象に残るシーンに、砂時計の話しがある人生の最後の時にならないと残りが少なくなっている のに。気づかないと言う、モノローグだ。人生の最後を飾るかのように美少年に心を乱される。
画面は主人公の表情と気持ちの動きを丁寧に追いかけていく。ピアノでNo5の旋律を弾く場面も よかった。
リド島のリゾートホテルと海岸が舞台だ。ベニスの旧市街とリド島はほんの少しの距離だが 今でもまったく違った雰囲気がある。
エンディングのタイトルと共にやはり音楽が流れ気持ちを落ち着けてくれる。
トーマス・マンの小説の映画化だがマーラー交響曲の映像化と言ってもいいほど、旋律が印象的だ。


他のページへ
この映画の、冒頭のすばらしいシーンを見事に分析している。マーラーのNo5が、こんなにポピュラーになったのもこの映画の影響かもしれない。
オペラと映画の素敵な関係
夏の嵐
さよなら子供たち
好奇心
鬼火
目次のページ