山縣洋建築設計事務所
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国道17号に面する34坪ほどの敷地に建つ工務店のショールームと賃貸集合住宅の計画である。創業70余年の地域に根差した工務店のためのショールームを本社の横に新たに取得した土地につくることが求められた。1階はリフォームのためのショールームで、2,3階は収益目的の賃貸集合住宅となっている。
幅員15mの道路沿いには3階建ての建売住宅から15階建ての集合住宅まで様々な大きさの建物が建っていた。高さが10mぐらいから50mぐらいまで、スケールの落差が大きな街並みであった。ただよく見ると建売住宅も集合住宅も住居系であるため、部分は3mぐらいの階高でできていた。部分のスケールが同じであるためか、その繰り返しが生み出す単調さ、やつまらなさが感じられた。このような暴力的であるが単調な周辺環境に対して小さな建物であるが独特の存在感をもたせることはできないかと思った。
1階がショールーム、2,3階が賃貸集合住宅であるが、道路側からはなるべく集合住宅の存在を感じられないようにして、建物全体がショールームのように見えるようにすることを目指した。敷地の道路と反対側は墓地に隣接していて日照条件もいいため、集合住宅は道路と反対側に対して開き、道路側には共用の階段と廊下を配置した。
集合住宅の共用廊下と外部階段に2層にまたがる2枚の壁を奥行方向にずらしながら設けることにより、彫りの深い陰影のあるファサードを生み出している。 この大きな壁面が独特のスケール感を持ち、様々な落差のあるスケールの周辺環境に対して埋没しない独特の存在感を生み出している。
リフォームのショールームによくある情報過多のにぎやかな表情とは一線を画したものを目指した。品の良さと落ち着いた雰囲気を持ったショールームとなっている。

 
 
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