「挫折」から「悪い先輩との夜遊び」へ。しかし・・・【後編】
S太と両親との膠着(こうちゃく)状態を何とかするため、カウンセラーは一つの課題を
両親に出した。「親子の接点さがし」である。「テーマは何でもけっこうです。S太くんが
よく口にする話題の中で、ご両親にも興味がもてるものを探して下さい。そして、次回まで
にその話が弾むようにがんばって下さい。」。
両親は、課題の理由をカウンセラーから説明をうけたものの、それで良くなるのかどうか
半信半疑だった。しかし、今のままでは良くならないことはわかっていた。父親は「サッカー」
母親は「晩ごはん」をそれぞれ選ぶことになった。
一週間後の面接日。S太は最初こそノリが悪かったものの、父親との間でサッカーの話題で
盛り上がるようになり、週末にはJリーグの試合を見に行く約束まで取りつけた。母親は、前々
から晩ごはんのメニューや味付けに、いちいち口出しするS太をうっとおしく思っていた。
それを今までは違って「聞いてやる」ことにした。その結果、「文句はいっそう増えました。
でも前のようにイヤそうな顔じゃないし、文句を言いながらもパクパク食べるんです」。
両親ともに熱心に取り組んだため、最初の課題から大成功である。カウンセラーは、ひき
つづき「S太の非行」ではなく、「親子の会話を弾ませる」ことを勧めた。