最初に書かれた「読み切り連作」の形の時代小説は、柴田錬三郎の『眠狂四郎』シリーズだそうです。
現在でもそうですが、シリーズものの小説では、主人公やおもな登場人物の年齢や設定など、変化がないのが普通ですが、「読み切り連作」では、シリーズが進むにつれて、登場人物の身の上が変化していて、その上ひとつひとつの短編とは別に、シリーズを読み終えたときに、大きなストーリーが完結しているものまでもあります。
『眠狂四郎無頼控』は、「週刊新潮」に連載されていたそうですが、毎回完結する話に加え、狂四郎と美保代の関係、男雛と女雛の行方なども、読書の興味を引きます。
池波正太郎の『剣客商売』のシリーズも、本を読んでいくうちに、秋山大治郎は佐々木三冬と祝言をあげ、小太郎という子供も生まれます。二人の成長物語としても読むことができます。
藤沢周平も「読み切り連作」ものをいくつか書いていて、例えば、『よろずや平四郎活人剣』や『三屋清左衛門残日録』などがそうですが、藤沢作品では、短編とは別の大きな長編の方も、しっかりとした流れを作っていて、「縦糸」と「横糸」がきっちり編み込まれているような印象を受けます。
平岩弓枝の『御宿かわせみ』シリーズは、初期の頃は、登場人物たちの身の上は、閉塞状態の中にあったようですが(笑)、ある時期からストーリーが動き始め、畝源三郎は結婚して、麻生の七重も婿を迎え、神林東吾とるいのカップルも祝言をあげ、その上千春という女の子まで設けたようです。
そこまでおおらかになるとは、以前は想像がつきませんでした(笑)