NEC玉川吹奏楽団 第24回定期演奏会 〜演奏曲のミニ解説〜


歌劇「運命の力」序曲 (ジュゼッペ・ヴェルディ)

歌劇「運命の力」はヴェルディが作曲した26曲のオペラの22番目の作品で、ロシア、ペテルブルグ帝室劇場からの依頼で作曲され1862年11月10日に同劇場で初演された後に1869年ミラノ、スカラ座で改訂版の初演が行われました。

ピストルの暴発事故をきっかけに数奇な運命に翻弄され、主要な登場人物のほとんどが死んでしまう悲惨な物語で現在ではあまり上演されていません。しかし、序曲そのものは悲劇的でなく多くのヴェルディの歌劇序曲の中でも単独で演奏される機会が多い名曲です。

あらすじ:
舞台は18世紀半ば、セビリアのカラトラーヴァ侯爵の娘レオノーラは、恋人のアルヴァーロがインカ帝国の血を引いていために父親から結婚を反対されて駆け落ちを決意していました。やがてアルヴァーロがやってきましたが、気配を察して現れた父親の侯爵に、無抵抗を示すために持っていたピストルを床に投げ出したところ、そのピストルが暴発して侯爵に当たってしまい、二人はその場から逃げ出しました。

その後、レオノーラの兄ドン・カルロは父の敵を討つために妹とアルヴァーロを探していました。ところが既2人ははぐれてバラバラになってしまい、レオノーラは岩山の修道院で1人で静かに神に祈りつづける生活を送っていました。一方、アルヴァーロはイタリア軍の兵士として参戦していましたが同じく参戦していたレオノーラの兄ドン・カルロに正体を知られ、ドン・カルロは決闘を申し込んだのですが、他の兵士たちに決闘を止められてしまい剣を捨て、修道院に行くことを決意して去っていきました。

5年後、修道生活を送っていたアルヴァーロのもとにドン・カルロがやってきて再び決闘を迫ります。決闘はアルヴァーロがドン・カルロを刺して決着しました。アルヴァーロは山上の洞窟にいた修道女に相手の最期を看取ってほしいと頼みに行きましたがその修道女こそレオノーラでした。兄ドン・カルロが刺されたことを知って近づいていったレオノーラを、ドン・カルロは最後の力で刺してしまいます。レオノーラは駆けつけた神父とアルヴァーロに看取られて息を引き取ります。