作品と解説 20

 
  もくじへ


 

熹平六年ケン為國上計王翔奉(鍾銘)
     
137.5×17.4      




恭頌新禧

2日から始まった春秋展に左の作品を出品しました。
漢の熹平六年(西暦177年)に、ケン為の国(四川省南部)の上計(役職名)の王翔という人が奉納した「」の銘文を臨書したものです。
」は、酒をいれる壺のような器で(下図参照)、祭礼に用いられました。



漢代の金文(青銅器に刻された文字)には時に異体字やら通行体などの所謂「正字」とは違った字体が使われます。
ここでもケンの字が牛ヘンでなく木ヘンで書かれています。お上に奉納するのに、おおらかなものです。
私も少し遊び心を発揮して、落款(左側の小字)を書く時に「」を「鐘」で代用しました。
とはいえ、これは私の発明ではなく、漢代の人が他の「鍾銘」に「鐘」を使っていたものを猿真似しただけですが。
なお、王翔という人がそういう人だったかについては、よくわかりません。
臨書の対象としては、書跡名品叢刊『漢・金文集』(二玄社)を使いました。
(右図参照)
作品解説一覧へ