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             春和景明       69×140 cm

  右は、芸術新聞社『墨』108号
(1994年5・6月号)所蔵の作品と。
その解説です。ともに74ページに載
っています。
  キャプションに「岳陽楼の一節」と
なっていますが、正しくは「岳陽楼記}
の一節です。
  やや厚い紙に書いたもので、墨
の潤渇に苦しみ、かつ楽しんだ記憶
があります。
  Kさんへーこの3月は多忙でした。以下簡記します。
  あわてて選文をした。『古文真宝後集』を末尾の方から逆
にめくって来て「岳陽楼記」に到った。一・千・萬など数字が
眼につく。
  通例「一」の字があると避けるのだが、「敢エテヤッテミル
カ」という気になった。
  数字の一がある・同じ字が2度以上出て来る・画数の少な
い字が連続する。こうしたものを題材にすると、書きにくいか
ら採り上げないように、と他人には日頃よく言うのだが、ハン
仲エンの名文にひかれた。
  全文350余字。全部はやめて、春和景明の楽しい84字
とする。2字程問題の字があるが検字も何とか。
  1行6字詰で小下図を作る。時間が限定されているので、
4Bの鉛筆で骨法をとる。7行目を1字ふやし落款の余白を少
しふやす。
  某日、1枚。翌日2枚。3枚目は〆切日。最初の1枚目が
よいようだ。だが・・・・・・。
        (85年産二層夾便夾・唐墨・和筆・唐硯)
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