No.11  7月23日
今年のジャガイモは出来が悪いと近所の人が言っていた。

粒が小さいのだという。

15年ほど前に書いた一文を思い出した。

母校の西台中学校のPTAに頼まれた時の文章だが、

一部を略してそのまま引用しよう。
じゃがいもの出来

"ジャガイモは収穫の時期が問題だ。

なぜなら、種をまいてからイモ掘りが出来る大きさになるまで、

一定の割合で大きくなるのではなく、はじめの数ヶ月間はほとんど成長せず、

収穫の前後一週間程で急速に肥大する。

その「一週間」より前ならジャガイモは全く小さいのだが、

ほんの「一週間後」なら立派に一丁前に成熟する。

この一週間がそれぞれのイモにとって早く来るか遅く来るか、

多少の違いがあるのだが、そのたった「一週間」が待ち切れず、

ある日限をもって、「このイモは良い。これは未熟でダメだ」

と烙印を押すように成績評価をして来たように思え、反省している。”

ある校長がそう書いていた。

少し位早く出来ても有頂天になることはないし、

多少遅いからといって悲観する必要もない。

手塩にかけて育てる。

やはり個々の持つ本来の性質を着実に伸ばしていくことが、

栽培にも教育にも大切なのでしょう。

(昭和60年12月19日西台中PTA広報第56号)






もくじへ 閑話一覧へ