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イザヤ姫さん今日の日に

 

子供の頃には色々の思い込みがあった。
あちこちにある「月極駐車場」の看板を見ては
「すごいなあ、月極さんは。地主で金持ちだ。
もしかしたら日本で一番の大地主かもしれない」と思った。
これは私だけではないらしい。

 私の通った小学校は、小高い丘にあり、
私の家はその北側の低い田んぼ道に沿っていた。

 運動会には、紅白に分かれて競争と応援合戦をするのだが、
その応援歌が面白かった.
何の説明もなく、ただ覚えさせられたので、
意味も判らず歌っていた。


   緑したたるコウジョーの

   わが学びやにみがきたる

   ダイゴ健児の腕のさえ

   イザヤ姫さん今日の日に

   フレー! フレー!赤!白

  少し説明しよう。
コージョーの・・・・工場? 広場?荒城?
大学を出てからやっと、岡の上の「崗上の」と思い至った。
 
ダイゴ健児・・・・はじめは、後醍醐天皇と関係があるかと思った。
何のことはない志村第五小学校の「第五」だった。

隣接の第六小学校の悪口を歌にして
「第六小学校いい学校、上がってみたらボロ学校。・・・・」
と囃し立てると、お返しに
「志村第五はいい学校、上がってみたらボロ学校。・・・・」
と同じ歌が返ってきた。たわいもない話だ。

 イザヤ姫さん・・・運動会の当日には、
イザヤ姫という「お姫さん」
が来るから、みんなで頑張らなければならない。
よし「オレもがんばろう」と思った。

土地の人々は「シ」と「ヒ」の区別が出来ず、全部「シ」で発音していた。
私も「東」をシガシと言っていたが、
中学校の頃には「ヒ」が言えるようになり、
「品川」をシナガワと言ったら馬鹿にされると思い、
わざわざ「ヒナガワ」と言っては笑われた。

そんなことだから「イザヤ示さん今日の日に!」
と解った時には、興がさめてしまった。










  No.17  9月10日