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No.31  12月18日          



お酉さま

今年の酉の市は12月14日(土)だった。
西台の善長寺の境内に大鳥神社が祭ってある。
毎年12月の10日前後に「お酉さま」といって
おかめの面や熊手などの縁起物が売られて、
せまい境内や旧道が結構にぎわう。
私には3歳下の弟と、9つ下の妹がいる。
私が高校1年生の時に弟は中学1年生、妹は小学1年生だった。
年の開きはちょうど6・3・3制だ
その妹が4つか5つの頃の話だから、
当の妹はきっと覚えてはいないだろう。

祖母に向かって、妹が言った。
どうしてお兄ちゃんたちにはオチンチンがあるのに、私にはないの?と。
祖母は
お前は女だからないの、オチンチンがあるのが男で、ないのが女なんだから。
とか言った。
妹は
私にもオチンチンがほしいよう!とねだった。
祖母
ダメダメ。あきらめな。という。
妹は
どうしてなの?と聞く。
祖母は
オチンチンはね、生まれた年にだけ、お酉さまで買うの。
その年でなけりゃダメなの。お前の時はね、買いに行ったんだけれど
売り切れで買えなかったの。あきらめな。買えない人も大勢いるんだから。
おばあちゃんも買ってもらえなくて女なんだから。

と言った。
それっきり、私も覚えていないが、
妹はこんな「子供ダマシ」に乗せられて、今でも女のままでいる。