NO.6 
     6月28日
韓国健闘むなし, ドイツ一日の長
強い。うまい。ずるい。堅い。

韓国チームはよく闘った。アクティブに前へ前へという姿勢を崩さず、好試合を展開した。

しかし、ドイツの守りは堅い。オープンスペースを使う韓国得意の攻撃も数少なく、ドリブル

突破も長い距離はやらせてくれない。韓国選手は、自分のプレーが「やりにくくて仕方ない」

と思ったことだろう。自分のプレイイングディスタンスに相手がいるので、思うようにボール

が扱えないのだ。これがドイツの強さの秘訣といえよう。

韓国はジリジリと主導権を奪われ、守勢に回った。時折逆襲を見せてなんとか無得点にし

のいでいたが、とうとう一点取られた。

右サイドをドリブル突破したヌビルがゴロのセンタリング。トップにはピアホフがいて、フリー。

シュートをするかと思ったら、その後方から走り込んできた。バラックが打った。キーパーが

弾いたボールを再度バラックが蹴りこんだ。シュートを打てたはずのピアホフが打てば入ら

なかったかも知れないが、走り込んだバラックの勢いに幸運も味方した。キーパー李雲柱

も一度は体に当てたが、二発目は防げなかった。決勝戦となった。

その後の15分は、ドイツの経験豊な老獪さに時間切れ。古豪ドイツの真骨頂だ。一日長く

休養がとれたこともドイツに有利だった。

東アジアの赤い軍団韓国とともに台風の目となった西アジアの赤い英雄トルコは共に準

決勝で散った。そして3位決定戦で相まみえる。互角の闘いになるだろうが、サポーターの

声援で韓国有利か。


ファンタスティック ブラジル


ブラジルも凄い。弱いと前評判の守備も、どうしてどうして。特に中盤のツブシが早くてうま

い。FWのリバウドがMFと同じように中盤の守備で活躍した。「中盤を制するものは試合を

制す」の語を思い出した。トルコもテクニシャンが多く、ドリブルも上手い。しかし、トルコの

ドリブルは横にボールを動かすのが目につく。ブラジルのドリブルは縦に突破するのに特

長がある。縦にゴールに向かって来られると、守備側には脅威である。最も特長的なのが

ロナウドの決勝ゴールだ。二人のディフェンダーの間を割って出ようとする出鼻でいきなり

のシュートだ。このトウキック(つま先蹴り)には驚いた。

だいたい、一才半の子供がボールを蹴る時に最初にする蹴り方がこれで、最も幼稚なキッ

クであり、プレーヤーとしては「もっとましな蹴り方」をするものだ。ロナウドも二人を抜いて

からシュートかパスをするのが常識だ。それを、「抜く前に」「だしぬけに」シュートをした。

この非常識ともいえるひらめきがファンタスティックなのだ。あまりの不意打ちに、ゴールを

死守していた名手リュシュトウも左手に当てたが、ボールはポスト根本に転がり込んでしま

った。あと5cm前でコンマ何秒か早く手に当てれば外れただろうに、してやられてしまった。

結局は決勝は古豪同士。計算高い「静」のドイツか?柔らかい中に意外性を秘める「動」の

ブラジルか?互いに相手のよさを消し合う厳しい試合になるだろう。カーンのおまじないが

通じるか、目が離せない。




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